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阿部サダヲインタビュー その“笑い”を支えるものは…「“勘違い”することが大事」

『舞妓Haaaan!!!』以来2年ぶり、“家族”の物語『なくもんか』で監督・水田伸生、脚本・宮藤官九郎と再びトリオを組み、2作目の映画主演を飾った阿部サダヲ。前作では稲妻のようなハイテンションな笑いを届けてくれた彼が、今回スクリーンで存分に見せるのは、“笑い”とその裏にある“泣き”。好評中の劇場公開を経て、あらためて阿部さんにとっての“笑い”、そして今年一年をふり返ってもらった。

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『なくもんか』 阿部サダヲ
『なくもんか』 阿部サダヲ
  • 『なくもんか』 阿部サダヲ
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  • 『なくもんか』 阿部サダヲ
  • 『なくもんか』では、“受け入れる”役に
  • 「宮藤さんの台本をおもしろいっていう芝居で伝えたい」
  • “笑い”の演技を支えるのは、“勘違い”
  • 映画にドラマに舞台に、2009年も多彩なフィールドで活躍
  • “笑い”の裏にある“泣き”に注目
『舞妓Haaaan!!!』以来2年ぶり、“家族”の物語『なくもんか』で監督・水田伸生、脚本・宮藤官九郎と再びトリオを組み、2作目の映画主演を飾った阿部サダヲ。前作では稲妻のようなハイテンションな笑いを届けてくれた彼が、今回スクリーンで存分に見せるのは、“笑い”とその裏にある“泣き”。好評中の劇場公開を経て、あらためて阿部さんにとっての“笑い”、そして今年一年をふり返ってもらった。

阿部さんが『なくもんか』で演じるのは、お惣菜屋の店主・下井草祐太(山ちゃん)という、どこまでもお人好しな男。前作とは打って変わって、主役でありながら一歩“引いた”役というのは新境地となったという。
「今回の役のタイプとかポジションって、鬼塚公彦(『舞妓Haaaan!!!』)が押していくタイプだとしたら、山ちゃんは引いていく、受け入れるタイプだから、全然違うんですよね。鬼塚という人は誰の意見も聞かないですから(笑)。そういうお芝居はこれまで宮藤さんの脚本ではあまりなくて、『木更津キャッツアイ』とか『タイガー&ドラゴン』とか突飛なことをばーっとやる役が多かったんですけど、今回はとにかく人が言うことを全部飲み込んで生きてきた役。そこをどうやって演じるかは悩んだところでもあるし、面白かったところでもありますね。とは言っても、『舞妓Haaaan!!!』みたいにテンション高いものが好きな方もいるし、僕もそういう所をしまい込むのは好きじゃないので、出せるところは出しました」。

家族ならではの喜びや悲しみが物語の軸となる本作。悲しい過去を隠すように常に笑顔を振りまいて生きる、祐太の二面性を演じる上でどのようなアプローチをしていったのだろうか?
「(弟役の)瑛太くんの台詞で『あいつは笑顔だけど、1ミリも笑ってないんだよ』というのがあるけど、本当の笑顔も本当の泣きも、素を見せてない人ということでずっとやっていかなきゃいけないんですよね、この役って。監督にも、最後のエンドロールでの笑顔が本当の笑顔になればいいって言われていたので、見せ泣きみたいなところから始めていって、最後に本当の涙が出てくればいいんじゃないかと。でもやっている最中は、時間も限られていたので難しかったですね」。

「大人計画」を始めとする舞台に映画、TVドラマで、唯一無二の存在感を発揮し、俳優としての才覚を示してきた阿部さん。その“笑い”のセンスはどこから生まれてきたのだろうか?
「物心ついて一番よく見てたのは『ひょうきん族』ですね。小学生のとき、ちょうど漫才ブームがあってよく見てました。元々、亀有の方で生まれたので、(ビート)たけしさんとか、下町出身で身近な感じがして、それまでは漫才師というとちょっと遠い存在だったのが、地元のネタとかが出てきて嬉しかったというか。毒舌な笑いというのも新鮮でしたね。僕、ほとんど漫画を読まないので、テレビからなんです。とんねるずとかダウンタウン、ウッチャンナンチャンとかのコントが好きでした。あと、小さい頃に映画館でアニメの『スヌーピー』とか観て笑ってましたね。何で笑ってたか覚えてないんですけど、チャーリー・ブラウンがいつもダメだなーって(笑)」。

では、いまの阿部サダヲの“笑い”を支えているものは何なのだろうか? 「“勘違い”をするというのが、僕の中で一番大事にしていること」と、阿部さんは話す。
「勘違いをすることが面白かったり、役者としても勘違いしてないと演じるのが無理なときもあるんですよね。だからイイ男風の役のときは、自分を180cm位の男だと勘違いしないと出来なかったりするときもありますよ(笑)。今回もハムカツ作るのにいろんな店を見に行ったりしたけど、『いらっしゃいませー』っていう言い方一つ変えるだけでちょっとカッコイイみたいな。そういうのが積み重なってる気がするんですよね。成り切ってる店員さんのはやっぱカッコイイじゃないですか。そういうのが僕は好きなんです」。

時に脚本家と俳優として、時にミュージシャン同士として、宮藤さんと絶妙なコンビネーションで新鮮な芝居と音楽、そして笑いを届けてきた阿部さん。映像作品では久しぶりのタッグとなった本作然り、二人ならではというものに対する期待は確実に高まってきている。そこで改めて聞きたい。阿部さんにとって宮藤作品とは、どんな存在なのだろうか?
「元々、僕が俳優として知られるようになったのは宮藤さんの作品のおかげもあるし、原作にないような役を描いてくれたりして、僕のプロデュースのようなことをしてくれた気がするんです、すごく。だから僕は宮藤さんが書く台本を、その台本がおもしろいっていう芝居で、いままで知らなかった方にも伝えていきたいというのが大きいです。絶対におもしろいですよ、という芝居が出来る自信があるんです。だっておもしろいですもん。やってそうでやってない題材とか、いらなそうでいる台詞とか。それが後で繋がってもいくんだけど、無駄なことがないと面白くないじゃないですか。最近は主演もやらせていただいてますが、筋にいらない役とかも結構あるんですよ。でもその人がいないといけない、というのが宮藤さんの愛情なんでしょうね」。

2009年だけでも、本作以外に映画では『ヤッターマン』『ぼくとママの黄色い自転車』で父親役という新たな役に挑戦、さらに宮藤作・演出の「メカロックオペラ R2C2」ではロック+演劇という表現の場を広げた阿部さん。最後に、今年一年をふり返ってみての心境を聞いてみた。
「『R2C2』は、昔からグループ魂でコントやってた頃からロックオペラというのをやりたくて、やっと形に出来たので嬉しかったですね。昔は宮藤さんのギター1本で、アンプもこれくらい小さかったのが、あんな大きい規模で出来たのだから、すごいなと。映画も3本も出れるなんて、昔はそんなこと思ったこともなかったから幸せですよね。いまふり返ってというのはないのですが、この状態が続けばいいなと…、で、ちょっと劇団公演が増えればいいな(笑)」。
《シネマカフェ編集部》

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