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【どちらを観る?】2009年もあとわずか…年末年始オススメ映画レビュー第2弾

1本目のオススメは、ほろ苦く甘酸っぱいラブストーリー『(500)日のサマー』。「自分の愛する相手が自分を愛していることほど幸せなことはない」。そんな恋愛の真理を胸きゅんタッチで教えてくれる珠玉の一作だ。

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『かいじゅうたちのいるところ』 - (C) 2009 Warner Bros. Entertainment Inc.
『かいじゅうたちのいるところ』 - (C) 2009 Warner Bros. Entertainment Inc.
  • 『かいじゅうたちのいるところ』 - (C) 2009 Warner Bros. Entertainment Inc.
  • 『(500)日のサマー』 - (C) 2009Twentieth Century Fox
  • 『フローズン・リバー』
1本目のオススメは、ほろ苦く甘酸っぱいラブストーリー『(500)日のサマー』。「自分の愛する相手が自分を愛していることほど幸せなことはない」。そんな恋愛の真理を胸きゅんタッチで教えてくれる珠玉の一作だ。

主人公は、夢はあるけれど追い求める気合いの足りない青年・トム。優しさと頼りなさが背中合わせにあるような彼が、クールでドライな女性・サマーに恋をし、関係を築き、恋に破れ、傷つき、成長していく。その間、500日をくるくると行き来しながら、恋のあんな瞬間やこんな瞬間を突きつけていくスタイルがシビアでユニーク。繊細な分だけうじうじ、夢見がちな分だけ能天気な繊細くん、トムの純情がお腹いっぱい伝わってくる。ただし、男目線を大威張りで掲げた物語ではあるものの、女性の気持ちも確実に把握しているのが本作の侮れないところ。恋を信じないのではなく、トムとの恋を信じなかったサマーの500日こそが恋愛の真理を物語り、“(500)日のサマー”は案外身近な存在であることを教えてくれる。恋してきた人も恋する人も恋したい人も必見!

2本目のオススメは、モーリス・センダックの絵本を映画化した『かいじゅうたちのいるところ』。『アダプテーション』などでも非凡さを見せつけたスパイク・ジョーンズ渾身のファンタジーだ。主人公の少年・マックスは何だか上手くいかない日常への苛立ちを隠せず、家を飛び出して不思議な島へ。そこに暮らす“かいじゅうたち”と夢の王国を築こうとする。マックスを丸呑みできるくらい大きいかいじゅうたちが、どの子もどこか物悲しげで愛くるしくキュート。等身大の着ぐるみで実写撮影した上CGを施し、かいじゅうたちのふさふさボディやちょっとグロテスクな鼻、つぶらな瞳に息を吹き込んだジョーンズ監督のこだわりが光る。しかも、不思議な島には不思議な島なりの事情と人間模様があり、喜びも哀しみも、楽しさも痛みも、愛も憎しみも存在する現実感の妙。愛おしくなるほどファンタジー感たっぷりの作品世界の中で、切なくなるほど生真面目に現実と向き合うストーリーが心を震わせる。決して大仰ではなく、さり気なさが心憎いマックスの旅の終着点も出色!

そして3本目のオススメは、主演のメリッサ・レオがアカデミー賞候補に挙がった『フローズン・リバー』。夫に生活資金を持ち逃げされ、息子ふたりを抱えて途方に暮れる白人女性が、北アメリカの先住民、モホーク族の女性を相棒に、不法移民を密入国させる犯罪に手を染めていく。食べ物にも困るほど貧しい暮らしを強いられるシングルマザーのレイと、夫に先立たれ、我が子を義理の母に奪われたモホーク族のライラ。異なる事情の世界に生きるものの、それぞれ追い詰められた人生を送るレイとライラの“共犯関係”が凄まじく、凍てつくニューヨーク州最北部の田舎町とカナダの国境を行き来する姿がやるせない。母親であるという共通の事情と感情を胸に、不運の連鎖にはまり、やがてひとつの結論に達する女性たちのドラマが感動的。雪に覆われた地を舞台に“社会”をシビアにあぶり出しながら、それでもどこか温かく、雪を溶かすほどほっこりと人と人の絆を描き、人間の可能性を信じる女性監督コートニー・ハントの人柄が感じられる。「主人公たちを理解し、最後には少しでも好きになってもらえたら嬉しい」。こう語るハント監督の願いが、きっと観客に届くであろう秀作。

《渡邉ひかる》

映画&海外ドラマライター 渡邉ひかる

ビデオ業界誌編集を経て、フリーランスの映画&海外ドラマライターに。映画誌、ファッション誌、テレビ誌などで執筆中。毎日が映画&海外ドラマ漬け。人見知りなのにインタビュー好き。

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