世界の映画館vol.35〜アジアの旅〜 チョウ・ユンファの吹き替えは誰がやる?

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中国・南京で『DRAGONBALL』を鑑賞 photo:ishiko
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  • チョウ・ユンファの中国語吹き替えは誰がやる? photo:ishiko
  • 中国・南京の映画館 photo:ishiko
南京の街に到着した頃、ちょうど映画館で『DRAGONBALL EVOLUTION』が公開中だった。欧米や南米を旅しているとドラゴンボール人気を肌で感じることがある。僕のような東洋人が少し髪の毛を立てていると「ゴクウ」と呼ばれ、かめはめ波のポーズをされることは一度や二度ではない。中国はドラゴンボールとドラえもんとどっちの人気が高いのだろう。ドラえもんのイラストが描かれたトレーナーを着た子供を横目に映画館へ向かった。

ドラゴンボールは中国語のタイトルは「七龙珠」となる。20元(約300円)支払い、10排11号と書かれた指定席に座る。日本で言う10列11番にあたる。平日の昼間ということもあるのか、客の入りは400名程度の客席の5分の1が入っているかどうかといったところだろうか。

僕の隣に、いかにもアニメが好きなんだろうなぁという若い女性が座った。僕も詳しくはよく知らないがセーラームーンってこんな感じの服を着ていたような気がする。手にはマクドナルドの袋をさげていた。マクドナルドのハンバーガーを食べながら、ハリウッド映画を観るというスタイルは中国にも根付いているのかと思うと嬉しいような寂しいような何とも言えない複雑な気持ちである。

彼女は中国語で話しかけてきた。中国語が話せないんですと片言の英語で言うと彼女の眼がきらりと光った。

「Where are you from?」

きれいな英語だった。もちろん「Japan」と答えた。今から考えると「ドラゴンボール」の生まれた国からやってきたんだぞという自信ありげな「Japan」という言い方だったかもしれない。

「I like Japan」

そう言って彼女はマクドナルドの袋からポテトを取り出し、一緒に食べましょという感じで話し始めた。僕はほとんど英語ができないので、こういったコミュニケーションが苦手なのだ。場内が早く暗くなることを祈った。願いが通じたのか僕がポテトを一本だけいただいたところで場内はすぐに暗くなった。

映画『DRAGONBALL EVOLUTION』は20世紀フォックス側が作品の仕上がりに満足しておらず、お蔵入りする可能性があるといううわさが流れていた。そういう目で見ていたからかもしれないがいま一つストーリーに集中できず、亀仙人の役で登場するチョウ・ユンファの中国語の吹き替えって誰がしているのだろうなどということを思った。自分の国の言葉をほかの人がするというのは俳優自身にとってはどういう感じなのだろう。『ラスト サムライ』で渡辺謙の英語の部分の吹き替えを別の日本人の声優がやるようなものである。後で調べたら、中国映画では同じ中国人が演じていても、広東語や北京語など標準語でなければ、標準語の吹き替えが入ることは普通なのだそうだ。

隣の女性? 終わると同時に僕は逃げるように映画館を後にしてしまった。映画の感想を聞かれてチョウ・ユンファの吹き替えが気になったなんて言えないじゃないですか。しかもそれを英語で。

《photo / text:ishiko》

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