【シネマモード】アカデミー賞授賞式を見ているような『NINE』 こんな気分にオススメ

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『NINE』 -(C) 2008 The Weinstein Company. All rights reserved.
  • 『NINE』 -(C) 2008 The Weinstein Company. All rights reserved.
  • 『NINE ナイン』 - (C) 2008 The Weinstein Company. All rights reserved.
  • 『NINE ナイン』 -(C) 2008 The Weinstein Company. All rights reserved.
この映画を何と評すればいいのでしょう。豪華で煌びやかで、贅沢。それぞれ正しいのですが、こんな言葉を並べてもまだ何かが足りない、そんな気分だった『NINE ナイン』。

ミュージカル版『オーシャンズ11』とでも言いましょうか、とにかくオールスターキャストなので、出てくる主要人物のすべてが主役級なのですから、もったいない限りです。しかも、主演のダニエル・デイ=ルイスはじめ、脇を固める美女軍団は、マリオン・コティヤール、ペネロペ・クルス、ケイト・ハドソン、ニコール・キッドマン、ジュディ・デンチ、ソフィア・ローレンと見事にオスカー絡みな人々。監督、製作、振付を行っているロブ・マーシャルだって、『シカゴ』を6部門のアカデミー賞に輝かせた凄腕ですからね。スタッフには、2年前に他界したオスカー監督、アンソニー・ミンゲラ(『イングリッシュ・ペイシェント』)も参加。さらには、原点となっているのが、1963年にオスカーを受賞したフェリーニの『8 1/2』(主人公の9歳当時の姿も登場すること、また不朽の名作に半歩進んだ解釈、歌+ダンスを加えたことから“NINE”というタイトルがつけられたとか)という堅さなのです。この作品に関わったキャスト&スタッフが獲得しているオスカーは全部で17冠というのですから、凄いものですよね。

しかも、舞台となっているのは映画業界。世界屈指の美女たちが、こぞって才能を競い合います。そんな背景、この構図、このお祭り具合、なんだかアカデミー賞授賞式みたい。観ながらそう思っていた私。そんなわけで、“アカデミー賞授賞式を見ているかのような映画”という感想となったわけです。

でも、実際に今年のアカデミー賞にノミネートされたのは助演女優賞、衣裳デザイン賞、楽曲賞、美術賞の4部門。そして受賞はゼロ。スタッフ&キャストの実績からすると、ちょっと寂しいですよね。ゴールデングローブ賞でも5部門へのノミネートのみにとどまっているし。とはいえ、世界、そしてアメリカだけでも1年間で公開される作品は数知れず。ノミネートだけでも大した話なのですが、ここまで豪華、ここまでオスカーを意識した作品なだけに、なんだか寂しい感じがしてしまうのでしょうか。

確かに、1本でアカデミー賞授賞式を見ているような迫力と豪華さです。でも、正直言って、物語をどう語るかというところに集中するなら、オールスターキャストでなくてもいいのにという気分は否めません。脚本や演出が素晴らしければ、それが映像作家によって最も効果的な選択だとされるなら、何も最先端の3D技術がなくても、色さえついてなくても良い私としましては。根が地味映画好きなものですから。

中盤から後半にかけて、共演というよりもコラボに近い俳優たちの競演に、この映画どうなっちゃうんだろうと不安になった私。凄い顔ぶれが次々に登場するものの、女優たちはほぼ互いに絡んでないという事実。大物の共演にありがちなプレゼンテーションですよね。でも、最後の落とし方は、お見事でした。だって…、ってこれを明かしてはいけませんね。エンドロールで女優たちの歌と踊りのレッスン映像がドキュメンタリーとして流されるのが面白い、というのは明かしてもいいでしょうか。実は、本編よりも興味深い…なんて言ってはダメかしら。

とにかく、随所にお祭り感覚いっぱいの『NINE』ですから、結局のところ難しいことは考えずに、みんなでわいわいイベントとして楽しむのが正解なのかなとも思ったのでした。さらには、原作となったミュージカルを観て、フェデリコ・フェリーニの『8 1/2』を見直してみようという心の動きも。ついでに、ペネロペがつけているセクシーなビスチェやコルセット、胸元のカットワークがキュートなドレス、ケイト・ハドソンが魅せるレトロ・モダンなエディターズファッションに憧れ、主人公が栓を開けるモエのシャンパンもたっぷり飲みたいなどと、購買意欲もむんむん。私のように思う女子が増え、『NINE』周辺で、こんな特需が生まれたら、景気回復の起爆剤になるかもしれませんね。不況のときこそ、思い切り豪華に。『NINE』は、そんな気分にぴったりな作品と言えるのかもしれません。

《text:June Makiguchi》

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