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やんちゃな天才たちのお仕事 プロデューサーに聞く『トイ・ストーリー3』の作り方

初のフルCGアニメーション作品として『トイ・ストーリー』が生み出されたのが1995年。1999年には続編『トイ・ストーリー2』が製作される。それから10年とちょっと。ついに…やっと待望の最新作『トイ・ストーリー3』が公開される。これだけの月日を経て、最新作が製作されることになったのはなぜなのか? そして、ピクサーにとって間違いなく代表作と言える本シリーズだが、どのように生み出されたのか? 今回、プロデューサーとして本作に携わったダーラ・K・アンダーソンに“『トイ・ストーリー3』の作り方”を聞いてみた。

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『トイ・ストーリー3』 ダーラ・K・アンダーソン
『トイ・ストーリー3』 ダーラ・K・アンダーソン
  • 『トイ・ストーリー3』 ダーラ・K・アンダーソン
  • 『トイ・ストーリー3』 -(C) DISNEY/PIXAR
  • 『トイ・ストーリー3』 ダーラ・K・アンダーソン
  • 『トイ・ストーリー3』 -(C) DISNEY/PIXAR
  • 『トイ・ストーリー3』 -(C) -(C) DISNEY / PIXAR
  • 『トイ・ストーリー3』 -(C) DISNEY/PIXAR
  • 『トイ・ストーリー3』 - (C) DISNEY/PIXAR
  • 『トイ・ストーリー3』 -(C) DISNEY/PIXAR
初のフルCGアニメーション作品として『トイ・ストーリー』が生み出されたのが1995年。1999年には続編『トイ・ストーリー2』が製作される。それから10年とちょっと。ついに…やっと待望の最新作『トイ・ストーリー3』が公開される。これだけの月日を経て、最新作が製作されることになったのはなぜなのか? そして、ピクサーにとって間違いなく代表作と言える本シリーズだが、どのように生み出されたのか? 今回、プロデューサーとして本作に携わったダーラ・K・アンダーソンに“『トイ・ストーリー3』の作り方”を聞いてみた。

『2』を作っている段階でJ・ラセターは『3』の構想を練っていた

いきなり話が横道にそれるが、『ファインディング・ニモ』('03)に歯医者さんの姪として登場するダーラというキャラクターをご存知だろうか? 魚たちの天敵として描かれる“恐るべき”女の子なのだが、実はこのキャラのモデルになったのが、今回登場していただいたダーラその人。彼女の見かけが恐ろしいから…ではなく、プロデューサーとしての剛腕ぶりから、畏敬の念を込めて(?)このキャラクターが生み出されたとのことだが…。ちなみに取材中のダーラは笑顔がとっても素敵なユーモアたっぷりの女性でした。単刀直入に「この『トイ・ストーリー3』はどうやって作られたのか?」と尋ねると、彼女は「とっても複雑で、壮大な物語になるわよ」とニヤリ。そしてこう続けた。
「ジョン・ラセター(ピクサーの創設者のひとりで『1』と『2』の監督・脚本、本作の製作総指揮)は、『2』を作っている最中から、“『3』をやりたい”と構想を練っていたのよ。でも、彼自身が忙しくなり過ぎてしまった。結局、彼が全てをやるのは難しいということになって、私と(本作監督の)リー・アンクリッチが中心となって進めていくということになったのよ」。

やがて企画が動き出すが、具体的なアイディアが練られたのは、このシリーズの“聖地”とも呼ぶべき場所だった——。
「サンフランシスコの郊外に、最初に『トイ・ストーリー』のアイディアが生まれた“隠れ家”があるの。“Poet's Loft(=詩人たちの小屋)”っていう名前なんだけど(笑)。そこに、ジョンと私とリー、それにアンドリュー・スタントン(※『ファインディング・ニモ』、『ウォーリー』などを監督)、ボブ・ピーターソン(※『カールじいさんの空飛ぶ家』共同監督)、ピート・ドクター(※『モンスターズ・インク』、『カールじいさんの空飛ぶ家』監督)も参加して、みんなで新作のアイディアを出し合ったのよ」。

“聖地”で行われたピクサーのトップクリエイターたちによるアイディアの出し合い

ピクサーが誇るトップクリエイターたちによるブレインストーミング! 一体どのようなものなのか? 想像するだに凄まじそうだが…。
「とにかくすごいエネルギーよ! ひとりが何かを言い出したら、その人の言葉を別の人が繋ぐ、といった感じ。でも、ピクサーには協力体制という素晴らしい伝統があるの。だから、他人と競争すると言うよりは、最高のものを作ろうっていう雰囲気の中で最高のディスカッションができるの」。

そして、この原案を基に脚本が執筆される。ちなみに、執筆にかけた時間は…およそ3年!
「そう、隠れ家で話し合われたことを基にして、(脚本担当の)マイケル・アーントや私で、じっくりと具体的な脚本に落とし込んでいったわ。その後にやっとアニメーションの製作の開始? いや、まだよ(笑)。アニメーションを作り始めるのは、そこからさらに1年半後くらいね。その前に、“ストーリーリール”を作るの」。

ストーリーリールとは、原画(ストーリーボード)を映像化したもの。絵コンテによる白黒のラフな原画をアニメーション映像にしたもので、これがピクサーの映画作りにおいて、かなり重要なプロセスを担っているとダーラは言う。
「このストーリーリールをスタジオでみんなの前で見せるの。今回は、“隠れ家会議”のメンバーに加えて、新鮮な目に触れさせるためブラッド・バード(※『レミーのおいしいレストラン』などを監督)やほかのクリエイターたちも集められたわ。ここで、みんなが率直な意見を出し合うの。正直言って、かなり厳しい言葉も出るわ。でもそれは、最高の作品を作るためであり、みんながそのことを理解しているのよ」。この後、各部門に引き継がれ、アニメーションが作り上げられていくのだという。

ダーラの目から見た、各クリエイターたちの姿は——?

『トイ・ストーリー』シリーズをはじめ、『モンスターズ・インク』、『カーズ』など数多くのピクサー作品に様々な形で携わってきたダーラ。曰く“プロデューサー”としての彼女の仕事は「とにかく、人と仕事を前に進めること」とのこと。
「アーティストやライターという生き物は、とかく自分の仕事を『まだ未完成だから…』とか『まだ人に見せる段階では…』と言いがちなんだけど、企画を前に進めるには、とにかく大勢の人たちに見せて、意見を言い合って改良していくことが大事なの!」

このあたりの“強さ”が『ファインディング・ニモ』のダーラ誕生のきっかけなのかも…? 最後に、彼女が一緒に仕事をしてきた、先述のピクサーの錚々たるクリエイターたちについて、ひと言ずつ“寸評”を頂戴した。
「OK…ブラッドとアンドリューは似たタイプね、とっても元気がいいわ(笑)。ブラッドはライターとして素晴らしい才能があり、アニメーターとしても本物。アニメーターたちは彼のことを神のように崇めてるわ。アンドリューは、ストーリーの構築の王様。とっても論理的なの。ジョンは天才…でもそう言うと周りのみんなは怒るのよねぇ…(苦笑)。でも、頭にくるぐらい彼の言うことはいつも正しいの。そりゃ天才って言いたくなるわよ。この仕事をやるべくして生まれた男ね。最後に今回の監督を務めたリー。彼は(作品の)編集のプロとしてキャリアをスタートさせたの。しかも、元々は実写畑の人間。それもあって、映像の見せ方、カメラワークにおいて素晴らしいものを、この作品にも持ち込んでくれたわ。それからペーソス(=哀愁、物悲しさ)と言えばいいのかしら…観る人の“感情”を掻き立てるのが得意なの。時にユーモアで、時に恐怖を煽ったり。まぁとにかく、みんな“名監督”なのは間違いないわね」。
《シネマカフェ編集部》

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