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美しき男たちvol.3(最終回) 『シングルマン』の美しすぎる男たち

『アナザー・カントリー』から27年。私が好きだったコリン・ファースが戻ってきました…というお話は前回しましたね。1985年に日本公開された耽美的な男たちの世界を描いた作品は、その3年後に公開されヒュー・グラントを輩出した『モーリス』と共に話題を集めました。いずれも、それまでなかなか描かれることのなかったゲイの世界を、美しく切なく描いた画期的な作品。当時は、私の周囲では『アナザー・カントリー』派と『モーリス』派に分かれていたと思いますが、私は断然『アナザー・カントリー』派。学内で英雄的な存在だったエリート青年(ルパート・エヴェレット)が、美しい青年に恋し共産主義に傾いていく様を見守る親友がコリン・ファースで、登場するキャストの美しさが別格でした。(実は、『アナザー・カントリー』VS『モーリス』という構図を考えると、後に『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズにおける、コリン・ファースVSヒュー・グラントという構図は、極めて面白く感じるというわけです。全くの余談ですが。)

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『シングルマン』 -(C) 2009 Fade to Black Productions, Inc. All Rights Reserved.
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『アナザー・カントリー』から27年。私が好きだったコリン・ファースが戻ってきました…というお話は前回しましたね。1985年に日本公開された耽美的な男たちの世界を描いた作品は、その3年後に公開されヒュー・グラントを輩出した『モーリス』と共に話題を集めました。いずれも、それまでなかなか描かれることのなかったゲイの世界を、美しく切なく描いた画期的な作品。当時は、私の周囲では『アナザー・カントリー』派と『モーリス』派に分かれていたと思いますが、私は断然『アナザー・カントリー』派。学内で英雄的な存在だったエリート青年(ルパート・エヴェレット)が、美しい青年に恋し共産主義に傾いていく様を見守る親友がコリン・ファースで、登場するキャストの美しさが別格でした。(実は、『アナザー・カントリー』VS『モーリス』という構図を考えると、後に『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズにおける、コリン・ファースVSヒュー・グラントという構図は、極めて面白く感じるというわけです。全くの余談ですが。)

『シングルマン』のトム・フォード監督が、『アナザー・カントリー』ファンだったかどうかは謎ですが(きっとそうだったと思っているのですが)、作品から約30年の年月を経て、彼をこの作品にキャスティングしてくれたことにファンとしてはこよなく感謝しています。

そんなコリンについて、監督はこんな風に語っています。
「コリンの役はキャスティングがいちばん難しかった。ジョージ役を演じる感受性をもった俳優は世界中にほとんどいないからだ。彼はすべてのシーン、すべての瞬間に登場している。大変だったと思うが、彼に失望させられたことは一度もない。本当のプロだ。素晴らしいよ。驚くべき俳優だった。特に表情が素晴らしい。何も動かさなくても、感情が分かる。考えていることが分かるんだ。カメラを長い時間彼の顔に向けて撮影した。彼の表情を捉えるためだけにね。驚くべき表現力だ。コリンのすごいところは、目を通して、ほとんど顔も動かさず、セリフも言うことなく、思っていることを伝えられる才能だ」。

主人公・ジョージのキャスティングは難航したと聞きますが、それも実はコリンのスケジュールが合わなかったため。後に、スケジュール的に出演が可能になったと聞きつけた監督は、すぐにロンドンに向ってコリンを説得したのだとか。多くの監督が、作品の出来、不出来の80%はキャスティングにかかっていると言うのを聞いてきましたから、コリンの出演が決まった時点で、この作品の成功はほぼ約束されていたのかもしれません。

そんな渋いコリンに、眩しいほどの輝きで絡んでくるのがニコラス・ホルト。彼が演じるのはジョージの生徒役なのですが、実は彼は、『モーリス』側であるヒュー・グラントと子役時代に共演しています。どの作品だったか彼のいまを見て分かる人は少ないかもしれませんね。あまりに美しく成長していますから。なんと、ニコラスとは『アバウト・ア・ボーイ』で、ヒューに懐いてしまういじめられっ子の少年・マーカスを演じていた小太りの男の子。びっくりしましたか? 私も、初めは自分の目が信じられませんでした。才能はそのままに、上手い具合に育ってくれて、お姉さんは嬉しい! トム・フォードももちろん、彼と仕事ができたことを喜んでいます。
「ケニーはジョージを信頼している。ジョージに興味を抱き、自分の疑問に答えてくれる人だと期待し、惹きつけられる。そしてジョージもまたケニーに惹かれている。もちろんジョージは教授という立場から、人を寄せ付けないところがある。ケニーも人を寄せ付けないキャラクターだ。ケニーは天使のような存在で、ジョージの心を、文字通り救い出すんだ。ニコラスは実に素晴らしかった。撮影時はまだ18歳だった。非常に真剣にプロに徹している彼の姿は、現実の面白いイギリス青年という印象とはかけ離れている。カメラの外での素顔は、ものすごく愉快な青年なんだよ」。
そうですか、そうですか。さぞや、現場は輝いていたことでしょう。

さらに、ジョージのパートナーを演じたマシュー・グード(『マッチポイント』)や、本作が映画初出演となるトム・フォードブランドのアドキャンペーンモデル、ジョン・コルタジャレナら、登場するのは美しい男たちばかり。素晴らしいのは、彼らが演じたどの役も、男であるか女でるかということは実は物語の本質とは関係なく、それぞれの人間的な魅力、主人公との関わりがしっかりと描かれているというところ。それは、主要キャストの中で唯一の女性であるジュリアン・ムーア演じる女性も同じ。ミッドライフクライシスの只中にあり、危うい精神状態でありながらも、最愛の人を失ったジョージを支える彼女は、ジョージともはや性別を超えた関係にあるのです。

ついつい、キャストたちの美しさに目を奪われがちな本作。ですが、ぜひ丁寧な人間描写についても忘れることなく、『シングルマン』の素晴らしい世界観、そして作品性を堪能してくださいね。

『シングルマン』は10月2日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。

vol.1 『シングルマン』を彩るファッションと美学
vol.2 『シングルマン』から見えてくる“時代”

《シネマカフェ編集部》

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