ウディ・アレン インタビュー 「ニューヨークを舞台にあと50本は作ることができるよ」

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ウディ・アレン -(C) GION
  • ウディ・アレン -(C) GION
  • 『人生万歳!』  -(C) 2009 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.
  • 『人生万歳!』  -(C) 2009 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.
  • 『人生万歳!』  -(C) 2009 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.
  • 『人生万歳!』撮影現場 -(C) 2009 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.
  • 『人生万歳!』撮影現場 -(C) 2009 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.
  • 『人生万歳!』撮影現場 -(C) 2009 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.
  • 『人生万歳!』撮影現場 -(C) 2009 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.
つい先日、75歳の誕生日を迎えたウディ・アレンだが、その創作意欲は衰えることを知らない。何せここ十数年、1年に1本というペースで新作を世に送り出しているのだ。歳をとって偏屈になった? いや、彼が偏屈者なのは数十年も前からのこと! そんな彼が2004年の『メリンダとメリンダ』以来となる全編ニューヨークでの撮影を敢行して作り上げたのが、まもなく公開となる『人生万歳!』。原題は「Whatever Works」——つまり「うまくいくなら何でもアリ」。皮肉屋の監督がそこに込めた意味は? さらに、ヒロイン役のエヴァン・レイチェル・ウッドの意外な(?)魅力とは——? ウディ・アレンがたっぷりと語ってくれた。

中年物理学者と、ひょんなことから彼と暮らし始め、彼を“運命の男”と見定めてしまった家出娘。さらに、彼女の両親までをも巻き込んでややこしい事態が進行していく。ヒロインのメロディ役のエヴァンが、これまでにない役柄で新たな魅力を見せているが、彼女の起用には意外な経緯が…。
「実は、僕が彼女を見つけたわけではなく、名前も聞いたことがなかったんだ。妻のスン・イが彼女のことを教えてくれて、美術監督からも話を聞いた。それから彼女が出演した作品を観て、とても才能のある女優だったので、ここへ呼んでちょっと話をして、キャスティングしたんだ」。

メロディは南部からニューヨークへやって来た田舎娘。エヴァン自身はノースカロライナ出身だが、劇中、自然な南部訛りを披露している。そのときのやりとりについて、監督はこう明かす。
「僕は、彼女が南部訛りを話せるとは知らなかったんだ。彼女は『できる』と言っていたけれど『前もって話すのは見せたくない』と言っていたから、実際に彼女のアクセントを聞いたのは撮影のときだったんだ。僕はリハーサルをしないし、会話でも聞いていなかったからね」。

主人公の物理学者・ボリスを演じるラリー・デヴィッドの演技も見事のひと言。いつも不機嫌でネガティブで…と、どこかウディ・アレン自身を思わせつつも、憎めない主人公を魅力的に演じている。
「ラリーは僕よりもずっとうまくできるよ。ラリーはとても悲観的で、痛烈で、皮肉屋でネガティブで手厳しい。それでも彼を好きになれる。彼は面白くて、生き生きしているんだ。彼の人格がそうさせるんだよ。もし、僕がこの映画に主演していたら、ただの頑固でうんざりする、意地悪な男になっていただろうね。ボリスという男は何にでも文句をつけて、欠点を見つけ、いつもネガティブなんだけど、ラリーはそれを表現できる。そういう才能を持っているんだよ」。

「人生には運が必要」とは、監督が様々なところで(もちろん映画の中でも!)表明してきた金言。偶然による出会いや出来事が入り乱れるこの作品も、それを如実に表している。
「毎日、ルームランナーで運動して、ちゃんとした食事をすれば、長生きと健康に貢献すると僕も思っている。けれどもそれは小さな貢献に過ぎない。結局のところ、みんなが大きく運に頼っていると思うんだ。頑張って自己管理をすることで貢献できるものはある。でも『マッチポイント』でも言及したように、うまくやるより運があった方がいいんだ。あらゆる方法を使って、愛する人を探す努力をすることはできるだろうが、同時にそれは何の意味もないことなんだよ。突然、道を渡っているときに、誰かが袋を落として、君がそれを拾ってあげて、そこから会話が始まってその相手が一緒にいて楽しい人であることもあるでしょう。でも、その後も実に多くのことがうまくいかなくてはならない。人には幸運が必要なんだ。思っているよりもずっと多くのね」。

“インモラル”とも言える登場人物たちが、自分なりの方法で幸せを掴もうとする姿が描かれ、それが観る者に“幸福感”までも感じさせてくれる本作。「Whatever Works」という言葉を彼はこう説明する。
「本当のところ、人生は厳しいことばかりだよ。だから他人を傷つけない限り、うまくいくならなんでもアリでいいんだと思うんだ。どんなにおかしな恋愛関係であっても、うまくいくならうまくいく。それは仕事や趣味や住む場所にもあてはまることだね。孤島にひとりで暮らすことがその人にとってうまくいくならそれでいい。うまくいくんだ。それ以上、言うべきことはない。誰かの権利を侵害したり、傷つけたりしさえしなければ。その人の人生を生きるのにうまくいくならそれが何でも構わないのだということなんだ」。

また、久々のニューヨークでの撮影となったが「生き生きとして、エキサイティングで、神経質な街で、そこが好きなんだ」とニューヨークへの歪んだ(?)愛情を語る。
「僕はニューヨークという都市自体を登場人物の一人だと考えているんだ。ニューヨークが舞台の映画をあと50本は作ることが出来るけれども、そのための予算がないね。何しろとてもお金がかかる都市になってしまったからね。僕にとっては、ニューヨークそのものがとても想像をかきたてる存在なんだ。朝、マディソン・アヴェニューへ散歩に行って仕事に行く人々や学校へ行く子供たちを眺めるだけで、たくさんのアイディアがわいて、もっとこの街についての物語を語りたくなるんだよ」。

この映画は幸せの掴み方を極意を…いや、それを掴むことの難しさを教えてくれると言った方が適切か…。では監督自身、最近幸せを感じたことは?
「何もトラブルがない状態が僕にとっての幸せだよ。周囲に何も問題が起きていないこと、だから便りがないのが良い便りだね」。

記念すべき40作目。だが、そんな“記念”などお構いなしに皮肉っぽく、そしてユーモアたっぷりに言いたいことを言い続けるウディ・アレン。10年後、50作目でも、同じようなことを言ってそうな気もするが…。

© GION
《text:cinemacafe.net》

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