ナオミ・ワッツ インタビュー “愛する人”をお腹に宿しての撮影がもたらした変化

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『愛する人』ナオミ・ワッツ
  • 『愛する人』ナオミ・ワッツ
  • 『愛する人』-(C) 2009, Mother and Child Productions, LLC
  • 『愛する人』 -(C) 2009, Mother and Child Productions, LLC
まもなく公開となる『愛する人』でナオミ・ワッツが演じるのは、母の愛を知らずに育ち、思いもよらぬ妊娠を契機に37年間会っていない母に思いをめぐらせるエリザベス。アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞で主演女優賞候補に名を連ねた『21グラム』をはじめ、ナオミ・ワッツにとって“母”を演じるのは未知の領域ではない。だが、本作は、彼女が実際に妊娠している最中に撮影が行われ、実際に彼女は妊娠中のお腹を堂々と披露し、妊婦の役を演じているのである。映像的な面でのリアリティのみならず、心境の上でも、妊娠、出産という経験は彼女に何を与えたのか? 作品に込めた思いと共に彼女が語ってくれた。

37年前、産まれたばかりの我が子を手放し、いまは老いた母親の介護をしながら多忙な日々を送るカレンと、親の顔を知らず、愛を信じずに大人になったエリザベス。ナオミが最初に強く惹かれたのはエリザベスではなく、アネット・ベニングが演じているカレンの方だったとか。出演の経緯と共にこう説明する。
「『21グラム』を一緒にやった友人のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥから『僕は監督しないけど、プロデュースするから』とこの映画の話を聞いたの。『僕の親友のロドリゴ・ガルシアが脚本を書いて監督する』と言われ、すぐに興味を持ったわ。ロドリゴは女性の描き方が上手だと知っていたから。そしてすぐに脚本を読んだ。読んですぐに気に入ったわ。でも、最初は彼に『カレンの役をやりたい』と言ったの。彼らは少しの間、真剣に考えようとしてくれたけれど、娘の役(=エリザベス)もキャリアを持つ女性として人生のある時期に来ている女性という役どころだったし、何より私の年齢はカレンをやるには若すぎたの。エリザベスの役も気に入ったわ。私が惹かれたカレンよりもユーモアがあって多才。自分の人生の全てを完全にコントロールしようとする、彼女のそんなところも気に入ったし、彼女の痛みが理解できたわ」。

撮影のスケジュールが当初の予定より遅れることになるが、監督はナオミの出産と、その後の復帰まで待つことを決意。その中で妊婦としてのシーンを、作り物のお腹ではなく、実際の彼女で撮影することになったという。だが、大きなお腹を抱えての撮影はかなりハードだったのでは? 
「そうね、でも妊婦として撮影したのは1日だけだから大丈夫だったわ。そうは言っても、その後、授乳中の時期に撮影のために仕事に戻ったのは大変だったわ。子供ができると人によっては半年産休を取る人もいるけれど、私は子供が産まれて8週間で仕事に戻ったの。全体の撮影日数は覚えていないけれど、私の撮影は10日間だった。低予算だからゆっくり撮影していられなかったし、デジタルカメラで撮影し大きな照明セットもなかったから、すべてが早かったの」。

では、実際に出産を経験して感じる自身の変化は?
「例えば良い仕事があったとしても、撮影がどこで、どれくらいの期間で行われて、家族のライフスタイルに合致するか? とまず自問自答するようになったわね。仕事に出かけても、家に帰ったらしたら仕事は終わり。昔は翌日の撮影で何が必要か? その日はうまくできたか? とかを夜通し悶々と悩んだりしたけれど、いまは、家のドアを開けて子供の顔を見た瞬間に仕事から離れているの。この仕事のラッキーなところは、休止期間が多いことね」。

さらにナオミは女優としての変化について、こう続ける。
「母親役を演じるときの共鳴具合は変わったわね。『21グラム』のクリスティーナ役をやったとき、私の道具は想像力だけだった。そのときは良かったと思うけれど、母親としての思考回路や、母親としての日常のディテールとか、いまはもっと理解できるし、それを役柄に活かすことができる。例えば『フェアゲーム』に、どこにでもあるような家庭の朝のシーンがあるんだけど、トーストを食べながら何かを忘れてしまったり、子供は呼んでるしっていう状況は、一般的に複数の子供がいる家庭の混乱した状態よね。母親になったからこそ、そういうことも理解できるようになったわ」。

本作では母と娘の関係——その難しさがしっかりと描かれている。
「母親と娘の関係はとても複雑なのもだと思う。多分、女性の人生の中で、一番影響力の大きい人間関係だと思うわ。自分と母親の関係も、少女から女性になる過程で、一度辛いものになった時期もあったしね。良い関係が築けるようになったのは、私が親になってから。私が親のことを理解できるようになったということもあるし、彼女が祖母の役割を楽しんでいるというのも大きいでしょうね」。

まさに体を張って、自らの全てを注ぎ込んで作り上げた本作はもちろん、今後、“母親”という経験が彼女のキャリアにどのような影響を与え、どんな変化をもたらすのかも楽しみだ。

《photo:Shiori kawasaki / text:Yumiko Sakuma》

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