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小西真奈美インタビュー 次々起こる化学反応で新たな発見「それもありかも」

社会に出てある程度の時間が経ち、自立した女性として強気に振る舞ってみせながらも、ふとした瞬間に、自分でも思いがけない脆さや弱さがこぼれ落ちる。さらに、彼女は誰にも言えない秘密を胸の奥にひた隠しにしている。『東京公園』で小西真奈美が演じる美咲に共感を覚える女性は多いのではないだろうか。あふれそうな思いと自重する心が綱引きし、波打つ水面のように揺れる美咲を繊細に表現する小西さんは、一観客として以前から青山真治監督の過去の作品を見ていて、「すごく独特の世界観を持ってらっしゃる監督だなと思っていました」と言う。日常を丁寧に描き、爽やかな後味を残す『東京公園』の脚本を読み、「これを青山監督が映像にしたらどんな世界になるんだろうっていう期待感がまずありました。それに美咲という女性が大好きになって」と微笑みながら出演を決めた理由を語る。
「美咲は一見サバサバしているけど、内側にはまっすぐで深い思いを何年も持ち続けています。それを口に出さずにいるのは彼女が臆病だからではないんですね。家族やいろんな人に対する愛情ありき、みたいな彼女の心情を感じたときに、いじらしいような愛おしいような気持ちになって、この女性をぜひ演じたいなと思いました」。

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『東京公園』小西真奈美 photo:Yoshio Kumagai
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社会に出てある程度の時間が経ち、自立した女性として強気に振る舞ってみせながらも、ふとした瞬間に、自分でも思いがけない脆さや弱さがこぼれ落ちる。さらに、彼女は誰にも言えない秘密を胸の奥にひた隠しにしている。『東京公園』で小西真奈美が演じる美咲に共感を覚える女性は多いのではないだろうか。あふれそうな思いと自重する心が綱引きし、波打つ水面のように揺れる美咲を繊細に表現する小西さんは、一観客として以前から青山真治監督の過去の作品を見ていて、「すごく独特の世界観を持ってらっしゃる監督だなと思っていました」と言う。日常を丁寧に描き、爽やかな後味を残す『東京公園』の脚本を読み、「これを青山監督が映像にしたらどんな世界になるんだろうっていう期待感がまずありました。それに美咲という女性が大好きになって」と微笑みながら出演を決めた理由を語る。
「美咲は一見サバサバしているけど、内側にはまっすぐで深い思いを何年も持ち続けています。それを口に出さずにいるのは彼女が臆病だからではないんですね。家族やいろんな人に対する愛情ありき、みたいな彼女の心情を感じたときに、いじらしいような愛おしいような気持ちになって、この女性をぜひ演じたいなと思いました」。

監督の演出法は「味方になってくれてるという気持ちにさせてくれる」

青山監督にとって4年ぶりの長編映画となる本作の撮影現場には、独特の高揚感があったという。
「監督のことは作品を通してしか知らなかったので、初めてお会いするときに、物静かで何も言わないような方が来たらどうしようって思ったんですけど、とても明るい方で(笑)。現場を引っ張ってくださるムードメーカーでした。監督ご自身が映画を作っている瞬間をものすごく楽しんでらっしゃる空気が現場に漂うんですよ。監督を見ているだけで『ついていける!』と思うくらい。そのくらいキラキラされていましたね」。

そんな監督の演出は「味方になってくれてるという気持ちにさせてくれる」と言う。
「最初に撮影したシーンもいきなり長回しだったんですけど、まず自分たちでやってみて、そこに監督がいらっしゃって『それもあると思うんだけど、今度はこういう感じで』と、役者自身の思いも尊重しつつ、違うパターンを提案してくださるんです。『こうして、ああして』とか『これは駄目』と押しつけてくるんじゃなくて。だから監督の提案を素直にやってみようと思えるし、それを試してみると『あれ? また違う感情が出てきた。それもありかも』って、どんどん化学反応が起きるというか。そこに新しい発見があります」。

親同士の再婚で義弟になった光司役の三浦春馬とは以前に同じ作品に出演したが、本格的な共演はこれが初めて。「前回は顔合わせのときに遠くにいらっしゃるのをお見かけしただけでした。三浦さんはまだ学生だった頃で、ナイーブそうな方っていう印象でした。今回は長い時間を一緒に過ごしている姉弟という設定だから、コミュニケーションをどうやってとろうかと悩みながら現場に入ったら、すごくよく喋ってくれる(笑)。弟役なんですけど、お兄ちゃんかと思うくらい受け皿も広いし」。

撮影の合間にどんな会話をしていたかと尋ねると、「えーと…」と口ごもりながら、「芝居の話は…ほとんどした記憶がない」と笑い出した。ではどんな話題を?
「その日のお弁当の話とか(笑)、景色の話とか。でも、そういう他愛もない会話をずっとしていられる感じが、長い時間を特に意識もせずに過ごしてきている姉と弟の雰囲気としてカメラの前でも出たと思うので、逆によかったなと思いますね。特に脚本のト書きに書いていないのに、なにげなく目を合わせるようなことも自然とできたんです。私にとっては、観客の方々に姉弟として過ごしてきた2人のバックボーンを感じてもらうことが課題だったんです」。

三浦春馬のカメラ越しの気迫「向き合うしかない」

三浦さんと共に、血の繋がらない姉と弟の距離感、それが変化していく様を絶妙なさじ加減で伝えていく。特に映画の終盤、光司が美咲を訪ね、2人が向き合うシーンの緊張感は素晴らしい。
「あのシーンで2人がいままで生きてきた時間とか思いとか、これからの生き方とかが見えてくる。『東京公園』の軸になる部分も見えるシーンになるかどうかで、だいぶ映画が変わるじゃないですか。でも、台本のト書きは『光司カメラを向ける、美咲目をそらす』と極めてシンプルなんです。いろいろ考えながら現場に行ったんですけど、現場でワンカットごとにみんなで悩みながら丁寧に作っていけばいいんだと思えたときに、良い方向に回り出しました」。

三浦さんは小西さんの微妙な表情の変化に触発されたと語ったが、小西さんもカメラを構えて迫ってくる三浦さんの気迫を感じたという。
「仕事で写真を撮ってもらうことは多いですけど、カメラに対して特に何か感じたことはなかった。でも、あのシーンの光司には武装して寄ってくるような鬼気迫るものがあって、『もう逃げられない、向き合うしかない』という気持ちになった。だから、光司がカメラを外して、顔と顔で向き合ってくれた瞬間にものすごく安心したのを覚えています」。

「私は東京が大好きなんです」と言う小西さんは『東京公園』について「東京の良い面をたくさん見せてくれる作品」と語る。「この作品に出演して、改めて東京自体も好きになったし、いま自分のいる環境や周りにいる人たちがまた大好きになりました。自分のなにげない日常に対して、あらためて目を向けるきっかけになった、そんな作品だと思います」。

《photo:Yoshio Kumagai / text:Yuki Tominaga》

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