古田新太×天海祐希インタビュー コスプレ御免! “両想い”の2人が踊り狂う

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『薔薇とサムライ』古田新太×天海祐希 photo:Toru Hiraiwa
  • 『薔薇とサムライ』古田新太×天海祐希 photo:Toru Hiraiwa
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同じ舞台に立つのは、野田秀樹演出の「パンドラの鐘」以来11年ぶり2度目のこと。タイプもこれまで歩んできた道も異なるが、古田新太と天海祐希が揃って舞台の中央で肩を並べる姿は妙にしっくりし、“必然”という言葉が浮かんでくる。しかも今回は古田さんのホームであり、彼が“番頭”を自認する「劇団☆新感線」の公演。古田さんにとっては「五右衛門ロック」に続いてのハマり役である盗賊・石川五右衛門役で、天海さんは、煌びやかな衣裳をまとい、宝塚時代を彷彿とさせる凛々しさと美しさを兼ね備えた女海賊・旋風(つむじかぜ)のアンヌとして、文字通り舞台を所狭しと暴れ回り、歌い、踊り狂う。昨年、大反響を呼んだ舞台がゲキ×シネ『薔薇とサムライ』としてスクリーンに復活! 改めて2人に話を聞いた。

10年の時を経ての再共演で改めて感じる“凄み”

共演を果たす前から互いに“両想い”だったという2人。古田さんは、天海さんが宝塚にいたころからのファンであり、天海さんは舞台で見た古田さんに「一発でハートを奪われた」という。「(初共演前に)ある映画の違う現場で、古田さんが座っているのが見えて、走って行きましたからね(笑)。『古田さーん!』って」とまさに“ファン”そのものである。その年の数々の演劇賞と話題をさらった「パンドラの鐘」での初共演にそれから10年以上の時を経ての再共演。天海さんは改めて、古田さんの“凄み”についてこう語る。
「古田さんは(外から)見ていて、存在が大きいんですよ。でも、一緒にお芝居させていただいて『何だろうこの人は? 天才って本当にいるんだ』と感じました。ポンッと立つ位置が絶妙なんですよ。すごく自由でした。自由なのに決め事をしっかり守っていて、ほとんど宝塚でのお芝居しか知らなかった私にノウハウを教えてくださいましたね。今回、こうやってまたご一緒させていただいて、やっぱり安心できる方なんですね。だからいろんな演出家の方が呼びたがるんだな、というのが分かりました」。

映画の現場で「古田さーん」と走り寄ってくる天海さんを「あ、天海祐希がいる。ん? どんどん大きくなっていく(笑)」と見つめていたという古田さん。懐かしそうに笑みを浮かべ、当時をふり返る。
「野田さんの芝居で共演したとき、うちの劇団の子が舞台上のゆりちゃん(※天海さん)を初めて見て、おいらの楽屋に来て『あの人なんなんですか? あのオーラは!』って。おれはゆりちゃんのマネージャーみたいに『なっ?』って言ってました(笑)。今回の芝居でも、女海賊たちにゆりちゃんが『大丈夫だ、元気出せ』って言うともうメロメロになっちゃうんですよ。『てめぇ知ってんな、自分の威力を…』って思ってました(笑)」。

ズバリその“威力”は、古田さん曰く「古いたとえで言うとサミー・ソーサみたいな女優さんです(笑)。打ち取れる気がしねぇ」。すかさず天海さんが「いまの若い子たちは分かんないから!」と突っ込む。互いへの尊敬と称賛の思いをなんのてらいもなく口にしつつ、普段の2人のやり取りはどこか夫婦漫才のようだ。この日のインタビューは映画館内のカフェで行われたが、落ち着きのない子供のようにキョロキョロと客席を眺める古田さんに天海さんが「はい、ビールはまだですよ」。舞台上の五右衛門とアンヌの掛け合いそのまま。実際、壇上での2人の会話のシーンに関しても、「作りこむ」といった作業はほとんどなかったという。天海さんとのシーンについて、古田さんが明かす。
「やり取りの中でストレスがないんですよ。テンポが良くて楽しい。五右衛門とアンヌもポンポンと掛け合いでやるツーカーな関係なのでちょうどよかった。相談するでもなく、2人で“作った”という感じでもなく。いのうえ(ひでのり/演出)さんの言う通り…まあ言うなれば“テキトーに”作った感じですね(笑)」。

やりつくしたはずのキャラクターから見える新たな魅力

自身が主人公を演じた作品で、“再演”ではなく新たに“続編”が作られるというのは大変なことであり、当然、役者として幸せなこと。釜茹の刑を生き延び、南の海で大暴れした五右衛門が本作ではイスパニアの海に渡り、海賊たちの用心棒を務めている。五右衛門というキャラクターへの思い、前作との違いを古田さんはユーモアたっぷりにこう説明する。
「新感線としては、やり尽くしたキャラクターですよね。ちゃらんぽらんで女に弱くて、腕が立って頭がいいけどドジ。25年間ずっとやり続けてきたことで、おいらとしては飽き飽きしてるとこもあって『五右衛門ロック』のときは『もうお客さんも飽き飽きしてるだろう』って思ってたら、そんなことはなくてみんな喜んでくれた。そしたらおれも『あぁ、気が付けば10年ぐらい敬遠してこういう役やってなかったなぁ』って(笑)。だから『五右衛門ロック』のときは『またこれかよ』ってかなりイジけてるんです。今回は完全に吹っ切れて楽しんでますよ」。

“キャラクター”という意味では、宝塚時代の役柄や、TVドラマなどでの強烈な印象もあって、少なからぬ人が天海さんに対し「男勝りの凛々しく、強い女性」というイメージを抱いている。本作のアンヌも女海賊であり、強い女王。一歩間違えば全てが“天海祐希”となってしまうタイプの似た役柄を、作品ごとに演じ分け、観る者を納得させるところに彼女の凄さがあるといえよう。だが似たタイプの役柄がオファーされることに女優として思い悩むところはないのだろうか? だが、彼女自身はこうした周囲のイメージを楽しんでさえいるようだ。
「そこはもちろん良い点と悪い点どちらもあると思いますよ、ひとつのイメージを持たれるというのは。でも、望まれているうちはそれをちゃんと全うしようと思いますし、こういう役(=アンヌ)をいただけるのはすごくありがたいと思ってます。素の自分とのギャップ? みなさんが持たれるイメージとの差は、もちろんどの役でもありますよ。でもそこは、騙されてくれてありがとうって思いながらやってます(笑)」。

ちなみにそのギャップとは? 人々が持つ“美しく凛々しい天海祐希”の意外な素の部分は…。
「それは企業秘密です(笑)」

宝塚卒業から十数年 「いまだからできた役柄」

今回は特に、海賊スタイルからドレス、軍服まで、天海さん自身「コスプレ系」と言うほど多彩かつ豪華絢爛な衣裳をまとっている。役柄も含め、宝塚時代からの彼女のファンにとっては、かつての月組の男役トップスターを彷彿とさせる姿と言えるが、宝塚への敬意と、そこで学んだ者としての誇りを込めて、彼女は胸中のこんな思いを口にする。
「私の全ての基本になっているのは、宝塚で教わり、学んできたこと。そういう意味で、今回の舞台で特別に宝塚の経験が活きたとは思っていません。ただ、これだけの時間が経っていなければ、また新感線じゃなかったらやろうと思わなかっただろうな、とも思います。決して私自身、宝塚のことを触れられるのが嫌なのではありませんが、きっちりと区別をつけなくてはいけないと思ってます。自分で区切りをつけて、『もう戻れない』という気持ちで外に出たわけで、それから男役を演じるというのは、宝塚に対して失礼なことだと思っていますから。そこ(=宝塚)は自分が大切にし、頑張ってきたところであって、自分の中の宝塚を傷つけてしまうような気がします。でも、今回のアンヌは女性役であり、新感線ということで、いのうえさんの味付けと中島さんの脚本、劇団のメンバーと一緒に『こういうやり方で、こんなことができるんだ』と思えた。確実に必要な時間だったと思いますが、この年数が自分を柔軟にしてくれたというか、『いまだからできた』という思いは強く感じています」。

自分自身に対してではなく、大切にしているものへの“誇り”——これこそが天海祐希を美しくする。そして、やたらと“こだわり”が叫ばれる世の中で、「おれにはやりたい役はない。誰かが思いついたひどい役を嬉々としてやりたい」と言いきるこの“しなやかさ”こそが古田新太を自由人たらしめる。舞台上であいまみえる2人の表情、その輝きを堪能してほしい。

《photo:Toru Hiraiwa / text:Naoki Kurozu》

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