『ツレうつ』原作・細川貂々が明かす、宮崎あおい&堺雅人への特別な思いとは?

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『ツレがうつになりまして。』原作者・細川貂々 photo:Naoki Kurozu
  • 『ツレがうつになりまして。』原作者・細川貂々 photo:Naoki Kurozu
  • 『ツレがうつになりまして。』 -(C) 2011「ツレがうつになりまして。」製作委員会
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  • 『ツレがうつになりまして。』原作者・細川貂々 photo:Naoki Kurozu
世にエッセイ漫画はあふれているが、うつ病になった自身の夫(=ツレ)の闘病生活を赤裸々に、そしてユーモアたっぷりに描いた漫画というのは当時斬新だった。漫画家・細川貂々が「ツレがうつになりまして。」(以下「ツレうつ」/幻冬舎文庫刊)を上梓したのは2006年。それから5年、ツレのうつ病発症からは7年目を迎えたが、「本を出した当時はうつ自体が何なのか分からない人もいたけど、いまは知らない人はいない」(貂々さん)という言葉の通り、うつへの認知度は飛躍的に変化したと言える。貂々さんのエッセイシリーズを宮崎あおい&堺雅人のコンビで映画化した『ツレがうつになりまして。』がまもなく公開、さらに最新刊となるエッセイ「7年目のツレがうつになりまして。」(幻冬舎文庫刊)も先日刊行された。原作者の立場から貂々さんは映画をどのように観たのか? そして改めてこの7年をふり返ってもらった。

うつをきっかけに考え方が前向きに変化

完成した映画を観て「感動して泣いてしまった」と貂々さん。実は、映画ではあえて原作のエピソードが変更されている部分もあるのだが、そうした描写も踏まえて「すごく嬉しかった。私がやりたかったことを実現してもらえた」と明かす。
「お団子頭にすることもそうだし、古い日本家屋に住むのも夢だったんです。イグちゃん(※ペットのイグアナ)にあんなに立派な小屋を作ってあげることもできた。ツレが自殺未遂をするシーンがあるんですが、実際には私はその場にはいなくて、後からツレの日記を読んで知ったんです。(宮崎)あおいさんがその場にいる姿を見て『やっとここにいられた』という気持ちになりました。あおいさんがラスト近くで『描きたいことがこんな近くにあったんだ』というところは号泣で、そこから先は最後まで泣き続けてました」。

映画の中の晴子(宮崎さん)も原作の中の貂々さんも、不安を抱えピンチに陥りつつも、笑顔で前向きにツレを支え続ける。なぜ支え続けられたのか? という問いに「私にとっては『支えた』という意識はないんです。結果的にそうなっただけ」と言うが…。
「理由があるとすれば『この人を逃したら、独りになっちゃう』という意識を互いに持っていたからかな…。自分のことをちゃんと相手にしてくれるのはこの人しかいないっていう意識がきっと強かったんです」。

闘病生活の中で様々な苦労があったことは映画を観ても原作を読んでも分かる。一方で、語弊があるかもしれないが、貂々さんがうつ病のツレの言動や様子を“面白がっていた”ようにも見えるが…。そう尋ねると貂々さんはクスリといたずらっぽい笑みを浮かべた。
「いや、本当に面白いんですよ(笑)。本人は大真面目なんですけど、傍から見てると言ってることもやってることも可笑しいんです。布団にくるまってツレがシクシク泣いてるときも、『大丈夫?』と言いつつ『カメフトンだ』って思ってフフって笑ってました(笑)」。

さらに、闘病生活を通じて、貂々さん自身の生き方にも変化が生じたと明かす。
「やっぱり考え方が変わったというのが何より大きいですね。以前は本当にマイナス思考だったんですが、何事も前向きに考えるようになったことで乗り越えられた部分は多いと思います。そうやって変われたからこそ、いまはツレがうつになって良かったと思えるんです」。

変化は心境だけではない。この7年の間にイグアナのイグは天に召されたが、貂々さんとツレの間には新たな命が誕生した。
「いま、子育てでの私とツレの関係は、私がパパで向こうがママです。息子が体調崩して病院に行っても、ツレの方が『ああでこうで…』って病状を説明してて『お母さんはいかがですか?』って聞かれても『夫に任せてありますので』って感じ(笑)。ただ、ツレがうつになる前は私がツレに頼っておぶさりっきりでしたが、いまは、向こうも私におぶさってくれるようになりましたね」。

「篤姫」のファンの2人。宮崎さんと堺さんが演じることを聞いて…

映画の中での宮崎さんと堺さんを見て、自分たちの姿が描かれているはずなのに「自分の家のことと思えず、うちもこういう夫婦だったらいいなと思った(笑)」と貂々さん。撮影中には宮崎さん、堺さんと言葉を交わす機会もあったそう。
「あおいさんはとってもかわいくて、真正面から顔を見られませんでした(笑)。堺さんは本当に気さくで『あれ、貂々さん来てたの?』って昔からの知り合いみたいに気さくに声を掛けてくださるんです。でも2人とも撮影になるとパッと切り替わって違う人物になりきってて、役者さんてすごいなと思いました。実は、私もツレも『篤姫』のファンだったので、最初におふたりが演じると聞いたときは飛び上がって喜びました。特にツレは、うつが一番ひどかったときに、(堺さんが出演していた)『新選組!』にハマって、(堺さんが演じた)山南さんに感情移入して泣いてたので、『山南さんが僕を…』って感動してました」。

原作の中のコミカルな印象とは裏腹に穏やかで優しい笑みと丁寧な語り口が印象的な貂々さん。エッセイの中で、なぜか初対面の人の長〜い愚痴に付き合わされる姿がたびたび描かれるがそれも納得! インタビューしているこちらが話を聞いてほしい、と思ってしまうような温かさにあふれていた。



特集「あなたならどうする? 『ツレがうつになりまして』」
http://www.cinemacafe.net/ad/tsureutsu/
《photo / text:Naoki Kurozu》

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