【シネマモード】ヴァネッサ・パラディを手本に、どこまでもフレンチ・シックに。

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『ハートブレイカー』 -(C) 2010 YUME-QUAD FILMS / SCRIPT ASSOCIES / UNIVERSAL PICTURES / INTERNATIONAL / CHAOCORP
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ヴァネッサ・パラディといえば、永遠の“フレンチ・ロリータ”。でも、ジョニデ・ファンにとっては、長年にわたり愛しい彼を独り占めする羨ましすぎる女性といったところでしょうか。

『白い婚礼』('88)で衝撃的な映画デビューを果たしたヴァネッサも、この12月で39歳。二児の母にはとても見えない愛らしさを、新作『ハートブレイカー』でも見せています。ちょっと前、SFパニック映画『エイリアンVSヴァネッサ・パラディ』('04)という意外な作品にも出演しておりインパクトが大きかったのですが、今回はエレガントな姿をたっぷり拝めるロマンティック・コメディです。

劇中のヴァネッサは、10日後にモナコで青年実業家との結婚を控えたジュリエット。ただ、彼女の父親がやや変わり者で、優しくハンサム、しかも裕福という文句なしの婚約者に対し「娘にどんなプラスがあるのか」と不満を抱き、別れさせ屋・アレックスを雇うのです。アレックスを演じるのが、ロマン・デュリス。美形ではないけれど、コミカル&チャーミングな彼は、いまやフランス映画界の大スター。つまり、フランスを代表する2人の役者が、モナコを舞台に華やかな恋愛合戦を繰り広げるというのですから、華やかでないはずがありません。

注目はもちろん、優雅な生活を送るジュリエットのファッション。モンテカルロ・ベイホテル&リゾートに滞在している彼女は、シンプルながらとてもシック。リゾート地だからといって、リゾートウェアに着替えるのではなく、手持ちのファッションをリゾート・モードで着こなしているところが素敵。シフォンのキャミソールやブラウスなど、フランス人らしい色気を感じさせる、ゆるいフィット感の(胸が見えちゃいそうな!)トップスに、風をはらんで美しくなびくスカートなど、アイテムは定番ながら、よく見るとディテールに凝っているものばかり。質感を見ただけで、それがかなりの高価なものだということがわかります。

唯一、一味違ったファッションを見せるのは、ジュリエットが変装するシーン。スカーフ×トレンチコート×サングラスという、定番の女優ファッションを披露するのですが、ここでも、ジュリエットのファッションテイストは貫かれています。トレンチコートのカラーは黒。なるほど、カーキよりも断然シック。ファッションの持つ迫力も倍増しています。

そんなシックなジュリエットが愛用するのは、真っ赤なケリー。カジュアル感のより強いバーキンではなく、ケリーを選んでいるあたりに、やはりエレガンス志向が感じられるのです。映画的な解釈をするなら、モナコの王妃にして、女優としてもこの地にゆかりのあるグレース・ケリーにオマージュを捧げたということなのでしょう。母国では、ヴァネッサとロマンのコンビは、南仏を舞台にした『泥棒成金』('55)主演のケリー&ケーリー・グラントのようだとも言われているそうですが、もしかすると、そもそも本作はそこを目指していたのかもしれませんね。

ヴァネッサのファッションに話を戻すと、トレードマークである“幸運の前歯”と、真っ赤な口紅がとってもお似合いなのも見逃せないポイント。もちろん、イメージモデルを務めているシャネルの口紅「ルージュ ココ」を使っているのでしょうが、このルージュの赤と、ケリーの赤もぴったり。なるほど、鮮やかな赤いバッグと同色のルージュを合わせると、かなりカジュアルなウェアでも、フレンチ・シックなテイストになるということですか。というように、ハリウッドとは一味違う上級テクも楽しめます。

テクニックではないものの、ハリウッドと明らかに扱いが違っていて面白かったのが、胸。極めてナチュラルなかわいらしい胸をお持ちのヴァネッサですが、劇中、堂々とイエローのカシュクール風ドレスを着用しています。動いた調子にちょっと中身が見えそうな…と、ドキドキ。ハリウッドならこの手のドレスはかなりバストの大きい女優にしか着せないでしょう。でも、そこはフランス。もちろんノーブラ、もちろんノー・ヌーブラ、もちろんノー・バストアップブラで、堂々と着こなしています。その姿が、「ああ、胸がなくてもこういうドレスを着ていいんだ!」とどれだけ多くの人を励ましてくれることか。でも、ポロリ覚悟で臨める度胸がなければ、着る資格はなさそうですが。

ファッションにまつわる様々な学びが詰まったスタイリッシュな映画ですが、物語の鍵となるのが、いまやスタイリッシュとは正反対の意味を持つ「ワクワク・ウェイク・ミーアップ」(By Wham!)と、『ダーティ・ダンシング』('87)。でも、この微妙なネタの扱いが大胆かつ極めてキュートなので、180度ひっくり返って、ちょっとイカしているように感じられてくるから不思議。そして、おしゃれに笑えます。

全編通してスタイリッシュなこの作品、ファッションをはじめ、掘り起こし甲斐のあるネタ満載なので、自分だけのおしゃれのツボを見つけてみてください。

《text:June Makiguchi》

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