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“母”ニコール・キッドマンが語る「どんな苦痛に見舞われてもユーモアを失わない」

深い深い悲しみの穴の先に見える、未知なる瞬間とは——。ある日突然、最愛の息子を失った一組の夫婦のやり場のない悲しみと喪失、それでも進む彼らの時間をとらえた珠玉の人間ドラマ『ラビット・ホール』がまもなく公開となる。本作で初めてプロデューサーを務め、またこれまでに見たことのない“母”の感情をあらわにし、入魂の演技で喝采を浴びた女優、ニコール・キッドマンがそのあふれる思いを口にした。

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『ラビット・ホール』 -(C) 2010 OP EVE 2, LLC. All rights reserved.
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深い深い悲しみの穴の先に見える、未知なる瞬間とは——。ある日突然、最愛の息子を失った一組の夫婦のやり場のない悲しみと喪失、それでも進む彼らの時間をとらえた珠玉の人間ドラマ『ラビット・ホール』がまもなく公開となる。本作で初めてプロデューサーを務め、またこれまでに見たことのない“母”の感情をあらわにし、入魂の演技で喝采を浴びた女優、ニコール・キッドマンがそのあふれる思いを口にした。

デヴィッド・リンゼイ=アベアーの舞台劇を原作に、本人自らの脚本で映画化された本作。この戯曲に感銘を受けたニコールは自ら映画化に動き出し、初のプロデュース作品の公開に漕ぎつけた。
「私はいつも、極限の題材を扱った映画に興味を抱くんです。人々が愛を渇望するとき、人々が愛を失うときに、その人々に興味を覚えるんです。子どもを失うということは、自分が行き着く中で最も恐ろしい場所。そして自分をクリエイティブに向かわせる場所とは、自分が恐れを抱く場所でもあるんです。今回、私は考えられないような重い悲劇にさらされながら、とても異なるリアクションをするこの夫婦に、本当に心を鷲づかみにされました。ベッカとハウイーの夫婦は、それぞれのやり方で悲しみに暮れながらも一緒に生活している。それがとても面白いと感じましたし、私自身がベッカ(舞台ではシンシア・ニクソンが演じていた)を演じてみたいと思いました」。

ニューヨーク郊外の美しい住宅街。平穏に暮らしていた夫婦の間には、ひとり息子の突然の死をきっかけに、深い溝が生まれる。前に進もうと必死なベッカは感情を押さえ込もうとするあまりに反動で怒りに似た感情を周囲にぶつけてしまい、夫・ハウイーは亡き息子の面影から立ち去れないでいる。
「生きたいという欲求を奪い去ってしまうような、このような大きなショックを受けたとき、どうやって人は生き続けられるのか? それは結婚に関することであり、家族に関することであり、そして究極的に生き続けることと希望に関する問題でもある。それは私がこの物語のとても素晴らしいと思う点であり、同時に驚くほど皆の痛みが感じられる、まるで地雷原のようなもの。人々は地雷原の中を歩いている。痛みを通じて私たちがひとつになる多くの時間が、この物語を通じて照らし出されるのだと考えました」。

そして、この想いをニコールはジョン・キャメロン・ミッチェル監督へと継ぐ。『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』、『ショートバス』で人の孤独と繋がりをセンセーショナルに描いた彼だが、今回彼を監督に迎えた理由は?
「ジョンは自身でこの作品を見出し、私たちはそんな彼を見つけたのです。そう表現する方がずっとしっくり来ます。ジョンは粋な人で、とてもオープンな人。また、それと同じくらい、それが理にかなったことならば抑制も持ち合わせていた。この映画の題材自体がとても円熟した、生々しいものだったから、登場人物の感情の多くを抑える必要があったけど、ジョンは芝居がかった映画にならないよう、とても抑制を働かせていたました」。

そして、本作でニコールと夫婦を演じ、静かな中に強く繋がれた絆を見せるのがアーロン・エッカート。「彼が(夫役として)一番の選択肢だった」というが、そのオファーから決定までのいきさつが何とも可愛らしい。
「彼が脚本を読んで、そして脚本を気に入ったと聞いて、私たちは『やった! もしかするとアーロンはイエスと言うかもしれない』と思い、そして私が彼に電話をしたのです。でもかけるまでは、私は電話で話すのが得意ではないし、人間的にとてもシャイなので『彼に電話をするのは得策だろうか?』と考えてしまいました。でも彼にはいままでも何度か会っていたし、彼をとても高く評価していること、そしてスクリーンで素敵な夫を演じるのに素晴らしい男性だと感じていることを、ただ彼に伝えたくて電話をしたの。そんな経緯があってのち、アーロンは『イエス』と言ってくれました(笑)」。

満を持しての入魂作となったニコールだが、自身も女優として本作で『めぐりあう時間たち』以来8年ぶりのアカデミー賞主演女優賞にノミネート。一人の母である彼女の内から発せられる深い慈愛、そして優しさから生まれるユーモアが物語を温かく包み込んでいる。
「人生の中で、どんなにひどい苦痛に見舞われてもユーモアを失わない。それこそが人間の魅力だと思います。それがまた、このような物語を分かりやすくしているんだと思うんです。だって、もし誰かが苦しんでいたとしても、その人を笑わすことができれば、多少なりとも心を開かせることができるわけだから。ユーモアはいつだって存在するの。たとえ、それがダークな形をとっていたとしても。この映画の登場人物に対して、私たちは心を開くことができると思います。それは彼らがみな、正直で本物だからです。家族とはそういうものだし、映画を観た人たちは登場人物たちと一緒に、彼らの体験を分かち合えると思っています」。

先の見えない孤独と苦しみ、それはやがて形を変えていく。“母”ニコールの慈愛にあふれた演技から、ぜひ感じ取ってほしい。
《シネマカフェ編集部》

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