レオ×イーストウッド×ナオミ・ワッツが激論!『J・エドガー』超レア座談会<前編>

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『J・エドガー』 -(C) 2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
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悲願のオスカー獲得に期待がかかるレオナルド・ディカプリオを始め、今年の賞レースの注目作のひとつ『J・エドガー』がまもなく公開となる。半世紀にわたってFBIに君臨し、“8人の大統領から恐れられた男”と言われるジョン・エドガー・フーバーの姿を描いた本作。フーバーを演じたレオ、その部下のクライド・トルソン役のアーミー・ハマー、同じく彼の下で半世紀にわたって働いたヘレン・ギャンディ役のナオミ・ワッツ、さらに『ミルク』でアカデミー賞を獲得し本作の脚本を手がけたダスティン・ランス・ブラック、そしてメガホンを握ったクリント・イーストウッドが一堂に会し、なんと座談会を実施! その模様を2回にわたってお届けする。

——イーストウッド監督の演出と言えば、テイク数が少ないことで有名です。ほとんどのシーンをワンテイクで撮られるとも言われてますが、本作に関してはいかがでしたか?

レオ:実は、本作ではたくさんのテイクを撮ったんだ。今回は僕にとっても難しいキャラクターだったし、9〜10テイク撮ることもあったよ。クリントは柔軟で、なおかつ自分のやり方を持っている監督。僕らに対してはいつも地に足の着いた演技を期待してくれたんだ、ジェームズ・キャグニー(アメリカ人俳優)の演技みたいにね。

イーストウッド:そうだね、必要な数だけ撮影したよ。ワンテイクで良いと感じればそれで良しとすることもあったし、3テイク撮ってみて、それぞれから良いと思う部分を使ったこともあった。一番出来のいい仕上がりを求めるのなら、撮影したシーンで最高の部分を使わないといけない。できれば全てワンテイクで済むのがいいけれどね。(『ダーティハリー』の監督)ドン・シーゲルが好んで言っていたのは「分かっていないかもしれないけれど、常に努力する」ということだね。私は撮影をワンテイクで済ませるという評価を受けているけれど、これは非常に嬉しい一方で、その評価に応えるのはとても大変だ。安易にその評価にこだわってしまうと粗雑なことになってしまうからね。

——フーバーというキャラクターについては…?

レオ:フーバー、トルソン、ギャンディ、彼らはまさにFBIそのものであり、FBIこそが彼らにとっての“教会”…魂の拠りどころだったんだ。自分の人生をそんな風に完全に捧げることが出来る彼らの心情を把握するのは難しかったよ。個人的にそんな経験はないからね。それから、この映画ではアメリカの変化に対応しようとしない彼が政治的独裁者となった後年の姿も描いている。公民権運動が起こり、国民が立ち上がる姿を目撃するけど、その変化に適応できなかった上に長く権力に居すぎたおかげで、アメリカとはこうあるべきという信念に固執し過ぎて自分への批判に耳を貸さなかった。その結果として、彼のキャリアが失敗に終わったというのが僕の意見だね。

——フーバーの下で働き続けるギャンディは献身と自己犠牲の人物としてとれますよね。

ナオミ:そうね、フーバーと違い彼女についてはほとんど情報はなかったわ。分かったことと言えば彼の下で50年働いたことと独身だったこと、仕事に人生を捧げていたということくらいね。だから、それ以外の人物像については、私たちが埋めていかなくちゃならなかったの。最初に脚本を読んだときに脳裏に浮かんだのは、『どうして彼女はこんな風に生きたのかしら?』という思いだったわ。だって、キャリアを追求して仕事に生きるなんていうことは当時の女性の常識から外れたことだったから。きっと彼女は時代の先を歩いていた女性だったんでしょうね。周囲とは違う考え方や行動をする女性というのは、世の中の女性の刺激になるものだと思う。あと、フーバーがギャンディを見初めて求婚したということ、しかも、それが彼自身のためだけじゃなくて母親を喜ばせるためだったという設定も面白いと思ったわ。

——劇中、老年期に入ったキャラクターも演じていますが、これらの役作りは?

レオ:ありがたいことにクリントは、老年期の撮影を最後の2週間に持ってきてくれたんだ。キャラクターの足掛かりがしっかりとできている中で撮影に臨めたよ。最後の数週間は毎日、特殊メイク用のイスに6〜7時間座りっぱなしだったよ。僕にとってチャレンジはメイクだけでなく、老年期独特の動きだった。それから50年以上のキャリアを誇る男の貫禄をどう出したらいいのか? 若きロバート・ケネディと対峙したとき、政治の“せ”の字も分かってない鼻持ちならない若造を相手にしているような口ぶりや態度をどう表したらいいのか? これは僕らにとって大きなチャレンジだったけど、クリントはその環境を作ってくれた。最小限の優秀なスタッフだけを揃えるというクリントの演出スタイルは、僕にとっては理想的なものだったよ。

アーミー:メイクはとても有効的だった。というのも、いったんメイクが済むと、そこにいるのは年老いたふりをしている自分じゃなくて、本当に年老いた僕だったからね。

イーストウッド:それに、81歳の監督が目の前にいるしね(笑)。

アーミー:でも僕らより元気すぎて参考にはならなかったよ(笑)。

イーストウッド:フーバーがそれぞれの大統領に会いに行くシーンを見比べてみると分かるよ。どのシーンも同じように撮ってるんだが、年老いて、ニクソンに会いに行くときにも彼は若い頃と同じ所作をする。比較してみると劇的に違っていることが分かるよ。

——脚本を執筆する際のリサーチの中で感じたことは?

ランス:リサーチが大変な作品だったよ。伝記を読むとその本ごとに意見の一致よりもむしろ矛盾する点が多かったからね。だから、まずそうした意見が一致しない部分を確認していったんだ。僕にとっていつも重要なのは「なぜ?」という問いかけだ。このフーバーという男が強大な権力を手に入れ、長くその座にいた男であることは分かった。僕が興味を持ったのは「なぜ彼がそうなったのか?」という部分だ。そこを追究することでこの作品は見ごたえのある人間ドラマになっているよ。フーバーの許されない“愛”や生い立ち…そこに僕は答えを求めたんだ。

具体的に、そこにどんなドラマが隠されているのか——? 座談会<後編>ではフーバーとトルソンの関係を貫く“愛”をレオとアーミーがどのように表現したのか? またイーストウッド監督が採用した、型破りの演出について明かされるほか、イーストウッドが俳優復帰についても告白! あり得ないメンツによる赤裸々な座談会をお見逃しなく。

『J・エドガー』は1月28日(土)より全国にて公開。
《text:cinemacafe.net》

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