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レオ×イーストウッド×ナオミ・ワッツが激論!『J・エドガー』超レア座談会<後編>

クリント・イーストウッドがレオナルド・ディカプリオを主演に迎え、半世紀にわたって“影の独裁者”としてアメリカを牛耳った初代FBI長官ジョン・エドガー・フーバーの実像に迫った『J・エドガー』。レオ&イーストウッド監督、さらにフーバーの部下のクライド・トルソンを演じたアーミー・ハマー、同じく部下のギャンディに扮したナオミ・ワッツ、脚本を手がけたダスティン・ランス・ブラックが顔を揃えての異色の座談会の模様をお届け! 後編となる今回は、劇中のキャラクターたちの強く結びついた、そして時にいびつにすら映る関係性をどのように捉え、演じたのかをレオたちが語り合い、さらにイーストウッド監督が自らの“現在”について語り明かす。

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『J・エドガー』 -(C) 2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
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クリント・イーストウッドがレオナルド・ディカプリオを主演に迎え、半世紀にわたって“影の独裁者”としてアメリカを牛耳った初代FBI長官ジョン・エドガー・フーバーの実像に迫った『J・エドガー』。レオ&イーストウッド監督、さらにフーバーの部下のクライド・トルソンを演じたアーミー・ハマー、同じく部下のギャンディに扮したナオミ・ワッツ、脚本を手がけたダスティン・ランス・ブラックが顔を揃えての異色の座談会の模様をお届け! 後編となる今回は、劇中のキャラクターたちの強く結びついた、そして時にいびつにすら映る関係性をどのように捉え、演じたのかをレオたちが語り合い、さらにイーストウッド監督が自らの“現在”について語り明かす。

——レオは本作のフーバー役だけでなく、ハワード・ヒューズ(『アビエイター』)、さらにはセオドア・ルーズベルト(『The Rise of Theodore Roosevelt』)など歴史的な人物を演じていますが、そうした歴史的人物に特に惹かれる理由は?

レオ:ランスが以前こう言ったんだ。「もし僕らがフーバーを始めとした人たちのこと、彼らを突き動かした動機、彼らの政治的な野心をより深く理解することができれば、そこから学べることもあるし、彼らの築き上げた歴史から教訓を得ることができると思う」とね。この映画でも決して彼の全てを描き上げているわけじゃない。ただ、大事な事実は、彼が20世紀のアメリカで最も強力な男でありながら、母親の下で40年間も一緒に暮らしていた男だったということなんだ。彼は常に母親に政治的アドバイスを求めていた。ここの母子には——ワシントンでフーバー家の名を挙げてやろうとする母の願望——野心があった。その結果、若き天才だったフーバー青年は大いなる野心を抱いたんだ。そして実際にアメリカを変え、いまもって尊敬され、恐れられるFBIまで作り上げたわけだけど、それでも彼は“マザコン”だったんだ。情緒的に非常に抑圧された男で、自己表現ができる唯一の手段が仕事しかなかったんだ。そして、この国の変化に対応することが出来なかった。僕は役者として、こうしたリサーチをするのがとても好きなんだ。ワシントンに行って、彼を知る人に取材することで僕なりのベストを尽くして彼を理解し、その人物像を捉えようとした。僕にとって映画作りの醍醐味の半分はこうしたリサーチにあるんだ。

——この映画ではフーバーとトルソンの複雑な関係にも着目しています。

アーミー:トルソンに関していえば、クライドが常にフーバーと一緒にいたり、時として彼がフーバーに対して熱くなったり、冷めたりする。その理由は、この2人の間にあるのが“ラブストーリー”だからなんだ。でも最初に脚本を読んだときには、僕はこのラブストーリーの部分が理解できなかったんだよ。トルソンがフーバーと常に行動を共にしている理由が分かっていなかったんだ。逆にフーバーがトルソンを常にそばに置いていた理由や、なぜトルソンがそばにいることが危険なのかは分かっていたけど、トルソンがなぜフーバーから離れなかったのかは飲みこめなかったんだよ。でもその後、キャスティングのフィオナ・ウィアーや友人たちととても実りの多い話を幾度となく重ねる中で、2人の複雑な関係がよりクリアに理解できるようになったんだよ。そうしたら、どんどんトルソンというキャラクターのことで頭がいっぱいになっていったんだ。フーバーというのは色々な逸話と側面があった人物だった。レオはその点に関し、素晴らしい演技を見せてくれたと思っているよ。

——フーバーとトルソンがケンカをするシーンでは、過去のイーストウッド作品から見ても、非常に型破りと言える演出があったと聞きましたが…。

アーミー:ああ、あのシーンについては、セットの中で「絶対に笑わない」という空気が流れていたよ。ホテルの一室でのケンカのシーンだった。クリントは僕らにどう演じてほしいかを目の前で実演することにしたんだ。そこで、クリントと彼の仲間で「ローハイド」以来の付き合いがあるバディ・ヴァン・ホーンが実際にお手本を見せてくれたんだ。

イーストウッド:彼とはユニバーサルとの契約があった1953年から共演してきた仲なんだ。

アーミー:それで、僕らの前で2人が実演してくれたんだ。クリントはゆっくりと僕らのところにやって来て「よし、これは非常に重要なシーンだと思う。だからこのケンカについてはこんな風にやってほしい」と言って、実際にやって見せてくれた。しかも2人とも泣き叫びながら、床の上を転がり回って揉み合っていたよ。実演を終えて、ホコリを払い落としながら立ち上がったクリントから「こんな感じでよろしく」と言われて、僕らは「はい、仰せのままに」という感じだったよ(笑)。

——70代、80代になっても新たな、そしてクオリティの高い作品を次々と生み出していますが、歳をとるということと仕事への情熱の関係は?

イーストウッド:年を取ることについては、いまのところいい感じだよ。順調だと思う。若いうちがピークだと言われる社会で暮らしているせいで、多くの人が後悔を感じているけれど、本当は人生の最盛期なんて人それぞれなんだよ。私の場合は…

レオ:いまがまさにそうだね。

イーストウッド:そう…いまがそうだ。ある特定のことについては昔よりもいまの方がより上手くいっているんだよ。それ以外のことは昔の方が良かったのかもしれないけれどね。

レオ:第三者の視点から言わせてもらえば、クリントは本当にすごいよ。もし彼が監督をしていなかったとしても、きっと役者をしたり、映画音楽を作曲していると思うんだ。クリントの仕事の対する熱意は見ている僕らにとって驚くべきものだし、実際、とても刺激になっているんだよ。

イーストウッド:忙しくしているのはいいことだと思うんだ。みんな早く引退したがるけどね。新聞で読んだんだが、ヨーロッパではリタイアする年齢を67歳かそこらにしようという話があるようなんだ。その昔、彼らが退職基金やそれに関連することを始めた頃の平均年齢は70歳か60歳だったのにね。ところがいまじゃ急に80歳になってしまった。やれやれ、しかも私はその80歳も超えてしまったよ(笑)。

——別の作品で再び、俳優としてあなたの姿をスクリーンで拝見できそうだと聞いています。いま、再び俳優として現場に立つことは、あなたにとってどのような意味を持つのですか?

イーストウッド:いろいろな意味があると言えるだろうね。退屈になったからとも言えるかもしれない(笑)。いや、実際には素材次第なんだよ。1970年に初めて監督をやったときに「いつか役者を辞めたならば、カメラの向こうに立って監督だけをするかもしれない」と言ってたんだが、どうも辞めることができないんだ。何しろ僕に役柄をオファーしてくる人がいるものだからね。たまに気難しい老人の物語の話が浮上すると「イーストウッドに頼んでみよう」となるのさ(笑)。だから、これから先もどうなるのか分からないよ。自分がやることで光る素材ならば、それは最高の映画になるかもしれない。でも自分ではないほかの人の方がより一層輝く場合もあるんだ。もしくは素材も良くて自分にもピッタリ合う場合もある。だからやる気になるかどうかは自分で判断しないとね。

隠居して孫の世話をしたり、公園のベンチに腰掛ける姿なんてダーティ・ハリーには似合わない。監督として、俳優として“最盛期”を若い映画人たちに見せつけてほしい。

『J・エドガー』は1月28日(土)より全国にて公開。
《シネマカフェ編集部》

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