【TIFFレポート】仏映画『もうひとりの息子』がグランプリ&監督賞2冠

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第25回東京国際映画祭クロージングセレモニー
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  • 『もうひとりの息子』 -(C) Rapsodie Production - Cité Films
  • 『フラッシュバックメモリーズ 3D』 -(C) SPACE SHOWER NETWORKS.inc
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10月20日(土)より東京・六本木ヒルズを中心に開催されていた第25回東京国際映画祭が10月28日(日)に閉幕。各賞が発表され、フランス映画の『もうひとりの息子』が最高賞の「東京サクラ グランプリ」と最優秀監督賞(ロレーヌ・レヴィ監督)の2冠を獲得。昨年の『最強のふたり』に続いて2年連続でフランス映画が最高賞を受賞する結果となった。また一般観客の投票で選ばれる「観客賞」を日本から出品された松江哲明監督の『フラッシュバックメモリーズ 3D』が受賞した。

授賞式に先立って六本木ヒルズではグリーンカーペットイベントが開催され、各出品作品の監督や俳優陣、各賞の審査員、公式クロージング作品でクリント・イーストウッド主演の『人生の特等席』のロバート・ロレンツ監督らがグリーンカーペットを歩いた。

東京 サクラ グランプリの栄誉に輝いた『もうひとりの息子』の舞台はイスラエル。兵役義務のためにイスラエル軍への入隊の準備をしていた青年・ヨセフが、両親の実の子ではなくパレスチナ西岸出身のパレスチナ人家族の息子とすり替わって育てられていたことを知り、価値観や信念を見つめ直していく姿を描く。

ロレーヌ・レヴィ監督は最初に監督賞受賞を告げられ「光栄ですし、この映画は幸せを運んでくれました。この幸せをチームで分け合いたい」と笑顔で語っていたが、続いてグランプリ受賞が発表されると「これは本当のこと?」と信じられない様子。スタッフ、キャスト陣への感謝を述べると共に「イスラエルとパレスチナの子供たちにこの賞を捧げたい」と語った。主人公・ヨセフ役のジュール・シトリュクは「監督、非常にユニークな役のオファーをありがとう。この役を通じて素晴らしい経験をすることができました」と喜びを語った。

最優秀男優賞は韓国映画『未熟な犯罪者』主演のソ・ヨンジュが獲得。壇上へ上がったヨンジュは「感謝の言葉しか出てきません。映画祭に出席すること自体、大きな経験でありプレッシャーでした。その中でこのような素晴らしい賞をいただけて嬉しいです」と満面の笑みを浮かべた。本作は審査員特別賞も獲得しており、カン・イグァン監督、共演女優のチョン・イェジンも壇上で共に喜びを分かち合った。

最優秀女優賞はトルコ・ドイツ共作の『天と地の間のどこか』で、都会と地方を結ぶハイウェイ沿いのドライブインで働き、都会に憧れながらもどうにもならない思いを抱える少女を好演したネスリハン・アタギュルに送られた。アタギュルは緊張した表情で「母が喜んでくれると思います」と語った。

日本映画の多様性を世界に紹介することを目的とした「日本映画・ある視点」の作品賞は、2005年に実際に起こった、少女がタリウムを実の母に飲ませたて殺害を図った事件(いわゆる“タリウム少女事件”)をモチーフにした『GFPバニー -タリウム少女のプログラム-』が受賞した。土屋豊監督は本作制作費用の400万円を自ら負担したこと、宣伝のためにさらに200万円が必要であることを告白。費用不足の中でも自身の作品を世に送り出そうとする国内のクリエイターたちの思いを代弁した。過激な内容だけに賛否が分かれる本作だが「双方の意見いただけたのはよかったと思います」と異なる多様な意見、称賛と批判を歓迎した。

また、『フラッシュバックメモリーズ 3D』で観客が選出するグランプリとも言える観客賞に輝いた松江監督は、映画の完成が映画祭開催の3日前だったことを明かし「映画祭の上映を見ながら完成させたような状態でした」と語る。交通事故で高次脳機能障害を患い、記憶の維持に障害を抱えるミュージシャンGOMAのリハビリを経ての復活への過程を描いた本作。映画の中では彼のスタジオライブや過去の映像演奏も映し出されるが、監督は改めてGOMAさんや関係者への敬意と感謝の思いを口にした。なお、松江監督の本映画祭での受賞は第22回で「日本映画・ある視点」に出品された『ビデオテープ』の作品賞受賞に続き2回目となる。

このほかアジア映画を対象にした「アジアの風」部門の最優秀アジア映画賞がトルコ映画の『沈黙の夜』に送られ、審査員の意見が大きく分かれたことを考慮して“スペシャル・メンション”として『兵士、その後』、『老人ホームを飛びだして』、『ブワカウ』の3作品の名が挙げられた。

環境問題や自然との共生をテーマにした作品を集めた「natural TIFF」部門より選出される「TOYOTA Earth グランプリ」には、インドのシク教総本山の寺院で毎日行われる10万食分もの無料の食事提供がどのように行われているかを圧巻の映像で映し出した『聖者っからの食事』が輝いた。

授賞式ののち、今年最後の上映作品となる公式クロージング作品『人生の特等席』のロバート・ロレンツ監督が舞台挨拶に登壇。本作の上映をもって記念すべき25回目の東京国際映画祭は幕を閉じた。


第25回東京国際映画祭 受賞一覧

【コンペティション部門】

■東京 サクラ グランプリ:『もうひとりの息子』

■最優秀監督賞:ロレーヌ・レヴィ(『もうひとりの息子』

■最優秀男優賞:ソ・ヨンジュ(『未熟な犯罪者』

■最優秀女優賞:ネスリハン・アタギュル(『天と地の間のどこか』

■最優秀芸術貢献賞:パンカジ・クマール(『テセウスの船』撮影監督)

■審査員特別賞:『未熟な犯罪者』

■観客賞:『フラッシュバックメモリーズ 3D』


【日本映画・ある視点部門】

■作品賞:『GFPバニー -タリウム少女のプログラム-』

【アジアの風部門】

■最優秀アジア映画賞:『沈黙の夜』

■スペシャルメンション:『兵士、その後』/『老人ホームを飛びだして』/『ブワカウ』

【natural TIFF】

■TOYOTA Earth グランプリ:『聖者からの食事』
■特別賞;『ゴミ地球の代償』

特集「東京国際映画祭のススメ2012」
http://www.cinemacafe.net/special/tiff2012/
《text:cinemacafe.net》

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