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【雅子ブログ】『ホーリー・モーターズ』byカラックス

前記したように、月曜日に行われた完成披露試写で、レオス・カラックス監督の新作長編『ホーリー・モーターズ』を観てきました。昨年のカンヌ映画祭コンペ部門に出品され、騒然となったという話題作

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前記したように、月曜日に行われた完成披露試写で、レオス・カラックス監督の新作長編『ホーリー・モーターズ』を観てきました。昨年のカンヌ映画祭コンペ部門に出品され、騒然となったという話題作。前作『ポーラX』から13年ぶりという長い年月が経ち、待望の新作長編がいよいよ日本でも公開されます。カラクリアンと呼ばれるカラックス狂のファンのみならず、世界中の映画祭でノミネート、受賞という最高の形で歓迎されました。

映画上映後にQ&Aもあったのでそのまま居て、質疑応答を興味深く聞きました。消え入るようなか細い声でボソボソと応えるカラックス。下を向いたり横を見たり、決して人の目を見ようとしない(カラックスですねぇ)。けれども黒いサングラスに隠された瞳はカメラの如く、こちら側に居る私たちを鋭く観察しているに違いない。

主人公のオスカーは様々な人生を生きている。ある時は富豪の銀行家、またある時は怪物、殺人者、物乞いの老婆、父親…。いくつもの人生から人生へと旅を続け、それぞれの役に成りきるオスカー。彼の本当の居場所はどこにあるのか――。

オスカーには、カラックスの分身と言われたドニ・ラヴァン。かつてラヴァンが演じたアレックス同様、オスカーという名もまたカラックスの本名。これはやはり、カラックスのための映画なのかもしれない。自分自身の疲労と自分自身を作り出す必要、ということが根底にあるという本作。過去の映画を想起させるシーンも散りばめられている。たぶん、ここで一旦回帰し、そうしなければ作れなかったのだと想像する。冒頭に登場するシーンがそれを印象付けている。自分自身から外へ。眠りから目覚め、ゆっくり歩き出したように。

80年代、颯爽と現れたBBC(ベッソン、ベネックス、カラックス)の若き彼らもそれぞれの道を歩き、フランス映画の全容もだいぶ変わってきたように思う。けれどもカラックスはカラックス。独特の映像美、ミステリアスな物語、映画への愛…。テイストは変わらずもデジタルで撮影したり、新しい試みにも挑戦している。個人的には、脱皮した彼の、さらに次回作に期待。13年もかからないうちにと願いつつ。

さて、外に出たら、カラックスがタバコを吸いながら立ち話をしていました。これ幸いツツツと歩み寄り、サインをお願いしました。かの『ボーイ・ミーツ・ガール』、そして『汚れた血』を初めて観た時の衝撃は今でも忘れられない。けれど、正直に言うと、私はカラクリアンではないんだけど、ココはやっぱりサインもらっちゃうよね!
《text:Masako》

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