【MOVIEブログ】大阪アジアン映画祭、開催中!

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Vulgaria
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3月8日(金)から17日(日)まで「第8回大阪アジアン映画祭」が開催されているので、今年もいそいそと出かけて行きました。本当は長く滞在したかったのだけれど、今週後半には別の予定があるので、今年はほぼ24時間の短い大阪滞在でありました。

プログラミング・ディレクターが、東アジア映画の最前線に極めて造詣の深い暉峻(てるおか)創三さんだということが、僕が「大阪アジアン」に通う大きな理由のひとつですけれど、同様な人は決して少なくないのではないかな。やはり映画祭というのは「顔」の存在が大きいですね。「あの人が選んでいるなら行かなければ」と思わせる暉峻さんはさすがだし、僕もいつかそう思われる日が来るように精進せねばならんです。が、そんな日は来るのだろうか…。

とまあ自分のことはともかく、9日の土曜日、9時45分くらいの新幹線に乗って、西へ。12時過ぎには新大阪到着。地下鉄に乗って梅田駅まで行って、荷物を持ったまま会場のひとつである「梅田ブルク7」へ直行。

シネコンであるブルク7が大阪アジアンの会場として使われるのは、僕が知る限りでは初めてで(違っていたらごめんなさい)、やはり映画を観る環境としてのシネコンは素晴らしい。その分、映画祭独特の雰囲気を醸し出すことに苦労してしまうのは、東京も同じですね。でも、大阪アジアンが使用するスクリーンはお客さんで賑わっていて、ゲストも来てQ&Aで盛り上がっているし、やっぱり映画祭だよなあ、と嬉しくなります。

土曜日はそのままブルク7から一歩も出ずに、5本連続で鑑賞して、その5本目は、パン・ホーチョン監督新作の『低俗喜劇』(写真)でした。パン・ホーチョン監督は、暉峻さんが東京国際映画祭のディレクター時代に発掘した監督で、暉峻さんが育てた監督と言ってもあながち過言ではないでしょう。日本での劇場公開作品こそ『ドリーム・ホーム』1本であるものの、いまや香港映画界の稼ぎ頭であり、中国本土の作品が上位を一斉に占める現在の香港興行界において、パン・ホーチョンはひとり気を吐いている存在と言えそうです。

もっとも、パン・ホーチョンも北京に会社を作り、本土での製作もどんどん行っているわけですが、この『低俗喜劇』は徹底的にエロくて下ネタ満載の爆笑コメディーで、これは中国資本の製作(から受ける可能性のある制約)からは自由に、発想と勢いだけで撮ってしまったスピード感と爽快さに溢れた、なんとも「香港的」なケッサクでありました。

ポルノ映画のプロデューサーが映画作りの現場のエピソードを学生たちに語るという内容で、ヤクザ者に出資を依頼したことに端を発する出来事を中心にした爆笑エピソードの数々は、おそらくいくつかは実話のはずで、映画のキレとノリはカンペキ。きっちり92分の尺にまとめ、バカバカしい内容をこれだけ完成度の高いエンタメ作品に仕上げてくるパン・ホーチョン、何とプロの仕事であろうかと、本当に脱帽であります。

一泊だけして、明けて10日、日曜日。午前中に上映される作品を僕は既に観ていたので、ホテルの部屋でパソコン作業をしてから、持参していた仕事のDVDを鑑賞。チェックアウト12時というホテルを選んでおいて大正解で、ギリギリまで仕事をしてから、九条に向かい、シネ・ヌーヴォへ。

今回の大阪アジアンでは、進境著しいタイの映画会社GTH社の快進撃をふり返る「GTHの7年ちょい~タイ映画の新たな奇跡」という特集が組まれていて、この目の付け方もとても素晴らしい。

僕が是が非でも観たかったのは、コンデート・チャトゥランラッサミー監督の2008年の作品で『手あつく、ハグして』。昨年の大阪アジアンで『P-047』を見て大いに刺激を受け、今年のベルリンに出品された新作『Tang Wong』も逃さずチェックしていたので、同監督の評価を決定付けたと言われる『手あつく、ハグして』をどうしても観ておきたかった。

で、それぞれ全く作風も内容も異なることに驚いた! 『手あつく、ハグして』はファンタジー的青春ロードムービー、『P-047』はフィクションと現実が交差する実験的作風、『Tang Wong』はある程度リアルな高校生の実態もの。が、おそらく3作ともに「アイデンティティーへの問いかけ」がテーマとして通底していて、自我の把握を経たブレイクスルーが語られている(ような気がする)。

アピチャッポン・ウィラーセタクンやペンネーク・ラッタナルアーンなどとともに、一筋縄ではいかない鬼才をドシドシ輩出するタイの映画界でコンデート・チャトゥランラッサミーは全く目を離すことができない存在になりつつありますね。是非、来年はコンデート特集を大阪でやってもらいたい!

ということで、まことに残念ながら、僕の今年の大阪アジアンはこれだけで終了。会期は今週の日曜(17日)まであり、後半に注目作品も多いので、大阪近郊のみなさま(大阪近郊でなくても)、是非ともお出かけ下さいませ!
《text:Yoshihiko Yatabe》
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