【MOVIEブログ】6月の日々とフランス映画祭

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早くも6月後半突入で焦る! というのも、7月以降は日常が100%仕事モードになるため、劇場で一般公開作品を観たり、人と会って飲んだりするのも6月が最後なのでした。モグラになる前の最後の人間としての日々を、いかに悔い無く過ごすか…。

というわけで、6月の日々を少し。

【6月7日午後】

マスコミ試写で観て良かったのが、廣原暁監督新作『HOMESICK』(写真)。本作はPFF(ぴあフィルムフェスティバル)の助成金を得て製作される「PFFスカラシップ」の1本で、最近では石井裕也監督のヒット作『川の底からこんにちは』がこの枠で作られていますね。

廣原監督は前作『返事はいらない』を2011年の東京国際映画祭に招待したのですが、「間の外し方」の上手さと、その「外した間に流れるもの哀しさ」が好きで、僕は監督に惚れてしまいました。まだ20代後半のはずで、確実に期待の若手のひとりです。

『HOMESICK』は、方向の定まらない人生に立ち向かえないでいる青年の心境の揺れを描くもので、青年と近所の子供たちとの不思議な交流が軸となる青春映画。青年期の不安をアンチ・ドラマチックに描ける才能が『返事はいらない』から継続発展していて、ベタにも下ネタにも転ばず、かといって深刻シリアスにも陥ることなく、さわやかリアリズム的な世界を展開できるのが廣原監督の魅力だ。

少年たちとの交流で心が癒されるとかいう分かりやすい自己発見の物語でないのがまず嬉しいし、青年の鬱屈は鬱屈として描いているのだけれど画面は瑞々しくて明るく、優しさのようなものも見受けられるのがとてもいい。開かれたエンディングも秀逸。8月から公開とのことなので、有望新人監督を発見したいという方は是非!

【6月7日夜】

このCinema Cafeブログでもお馴染みの玄里さんからご連絡を頂戴して、なんでもユーロスペースで主演映画が上映されるとのこと。これは何を差し置いてもいかねばなるまい! 作品は、著名監督による短編を3本上映する『プラスワン Volume4』という企画の中の1本で、『夜の途中』

実は、絶対観たいと思った理由がもうひとつあって、それはこの『夜の途中』が安藤尋監督作品だから。安藤監督が2003年に作った『blue』を、僕はもう心の底から好きで、過去10年の日本映画で最も好きな作品の1本かもしれないくらい。今回は玄里さんから連絡がなければ気づいていなかったので、この場をお借りして、玄里さんにお礼を申し上げます。ありがとうございました!

作品は、女優の卵が不倫相手と別れようとする一夜を描くシンプルな物語で、玄里さん演じるヒロインをどう描くかが全てのポイント。ここで書くとお世辞のようだけど、お世辞抜きで玄里さんが上手い。淡々とした語り口調もいいし、無表情から表情への転換にハッとすることがある。『blue』で市川実日子を日本映画史に刻んでしまったように、安藤監督は女優の素(のように見えるもの)を引き出すことに長けているのでしょう。ラストの長廻しが秀逸で感動的。ああ、見逃さなくてよかった!

【6月10日】

もうひとつ、イベント上映系では、渋谷のアップリンクで行われていた「三代川達」と名乗る映像制作集団の上映にも行ったのでした。お目当ては頃安祐良監督。僕は数年前の東京学生映画祭で見た『シュナイダー』の衝撃が忘れられず、以来頃安監督という名前を意識していたものの、なかなかほかの作品を観る機会に恵まれなかったのが、今回ようやく数本観ることができたという次第。

突発的な暴力描写で不穏な空気を描く監督、というイメージを持っていたのだけれど、1本(『ひからびた肌』)はその世界観に近く、もう1本(『あの娘、早くババアになればいいのに』)はガラリと違う路線で、振れ幅の大きさに驚いた。後者は、もう少しで自主映画の域を超えそうなプロダクションレベルで、頃安監督の将来に一層注目しなくては!

【その他】

一般公開映画で観たのは、『建築学概論』『エンド・オブ・ホワイトハウス』『リアル ~完全なる首長竜の日~』(本当は黒沢清監督について長々と書くつもりだったのだけど、収拾がつかなくなったのでやめてこの書き込みに変更したのでした)、『バレット』(ウォルター・ヒル新作とあれば、行かないわけにいかない!)、『フィギュアなあなた』(これも長文を書きたい)、『殺人の告白』、などなど。

あとは、今年もおかげさまでたくさんのご応募を東京国際映画祭に頂いているので、続々と世界中からDVDが届く。空いている時間は、徐々にそれら仕事のDVD鑑賞用に充てられていく…。

【6月21日からフランス映画祭】

そうこうしているうちに、フランス映画祭が今週後半から始まりますね。各作品の魅力の紹介については雅子さんのブログにお任せします! 僕は、上映後のQ&Aの司会などでちょこちょこお手伝いする予定です。

今年のフランス映画祭の話題は、なんといってもフランソワ・オゾン監督の来日でしょう。彼の来日の記憶って、ほとんど僕は無いのですが、来たことあるのかな? 僕が以前フランス映画祭の事務局で仕事をしていた時は、オゾンは声をかける前から無理、という空気が流れていた記憶があるほどなので、今回の来日決定には驚きました。

初期のオゾンを僕はとても好きで、ずいぶん昔にパリで新作が公開された時、日本の会社員だった僕は我慢できずに週末だけパリに行って映画を観て即帰国(金曜出国、日曜帰国)という、なんとも頭のネジのはずれたことをしたほどでした(同様のことをクレール・ドゥニ作品でもやったことがある)。

そのオゾン監督が、銀座のアップルで1時間のトークショーをやることになり(20日の木曜日)、そのお相手を僕が勤めることになりました。いやあ、これは久しぶりのビビリ案件! どうなることやら。ブログできちんと報告できるようなまともな結果になりますように…。
《text:Yoshihiko Yatabe》

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