【MOVIEブログ】ドキュメンタリー映画に浸る

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『The Manor』
  • 『The Manor』
  • 『Maidentrip』
  • 『The Great North Korean Picture Show』
  • 『Everybody Street』
  • 劇場前には行列
突然ですが、みなさんは映画館でドキュメンタリー映画を観ていますか?

正直、私は年に数本、しかもDVDで観る程度だったのですが、2か月程前にどっぷりと浸かれる機会がありました。その機会とは「HotDocs International Film Festival」。今年で20周年を迎えた、北米最大のドキュメンタリー映画祭です。

カナダはもちろん、世界各国から204本ものドキュメンタリーを11日間かけてドドッと上映するこの映画祭。私はボランティアスタッフとして参加したのですが、仕事の後(と仕事中…)には映画を観れるご褒美があったので、これは観なきゃ損! というわけで人生で初めてドキュメンタリー映画に浸かったわけです。

ドキュメンタリー映画というとどうしても身構えてしまう(もしくは寝てしまう)節があったのですが、食わず嫌いな人でもこの映画祭を楽しめるのは、環境から人権、音楽、アート、家族…と見事なまでにバラエティ豊富なラインナップを揃えているから。今年は18万人もの観客を動員したそうですよ。

そんな中、私が観た面白い作品を少しご紹介。

1本目は、カナダの小さな町でストリップクラブを経営する一家のお話『The Manor』。一家の長男が自ら3年かけて家族の姿をフィルムに収めた作品です。その家族とは、400パウンド(約180kg)の巨体から手術を余儀なくされる頑固な父親、逆に食事を作るばかりで自身は食べることを拒む85パウンド(約35kg)の母親、不安定な家族ビジネスに頭を抱える弟、そして今の生活に満足しきれない自分(監督)。一風変わった日常、家族経営の中で直面する様々な問題を通して、衝突や不満がありながらも寄り添っていく家族ならではの姿が共感を誘います。オープニング作品として上映された本作、上映後に登壇した新人監督に拍手喝采が送られていました。

続いては、夢を追うティーネージャーたちの姿を追った2本の映画。一つは、世界最年少の14歳で、世界一周の航海をたった一人で成し遂げたドイツ人少女の2年間にわたる旅路を追った『Maidentrip』。そしてもう一つは、北朝鮮の演劇学校に通う若き俳優の卵たちの日常を初めて外国のカメラが撮った『The Great North Korean Picture Show』です。

片や国の児童福祉局を相手取ってまで若年で出航することにこだわり、学校ではなく大好きな船上での生活を一生の針路として迷いなく選ぶ少女と、片や国家のため自分の夢のために日々演劇の勉強に励む、選ばれし少年少女たち。片や束縛を嫌い自由を選び、片や制限された規則内で(映画自体も監視下で撮られている)充実した学校生活を送る。ある意味正反対で極端な環境ですが、彼らの決意の固さの裏にある背景に思いを巡らせてみるのが面白いかもしれません。

そしてもう1本は、N.Y.で活動するストリート・フォトグラファーたちを撮った『Everybody Street』。ゲリラ的に街行く人々の驚いた表情を撮り続ける写真家、サブウェイを舞台に何十年も撮り続ける写真家などなど、個性的なフォトグラファーたちのスタイルを通して、N.Y.独特の景色、歩みを切り取っています。写真好きな方にぜひお薦めしたい作品です。

さて、この映画祭、トロント市内の16劇場で催されていたのですが、多くの作品で長蛇の列ができ、人気作品は満席で観られない人も続出。また、上映後に行う観客の投票の協力率の高さもバツグン! お年寄りから若い人まで、観客層の幅広さと予想以上の賑わいに驚きでした。

ちなみに、同映画祭で上映された過去のドキュメンタリーはiTunesで購入可能のようなので、興味ある方はぜひ。(決してHotDocsの回し者ではないですよ)
《text:Izumi Kakeya》
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