【MOVIE BLOG】東京国際映画祭 Day8

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レハ・エルデム監督
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24日、木曜日。細かい小雨。台風はかなり足踏みをしてくれているようだけど、ギリギリ回避できるだろうか? もう、いよいよ終盤。おかげさまで体調は万全。ここまま最後までスパートしよう。

午前中はクロージングの準備などしつつ、周りのスタッフからいかにヴィッキー・チャオが素敵だったかなどを聞いて悔しい。ダンテ・ラムにも会えず、トルナトーレに挨拶できず、そしてロバート・デ・ニーロも全く見られなかったし、スタッフと言えども映画祭の全ての局面を網羅するのは、当たり前だけど無理なのだ。もちろん、それ以上の刺激をたくさん受けているので、全く不満はないけれど!

12時45分から、『ハッピー・イヤーズ』のQ&A司会。会見を含め、3日連続でダニエレ・ルケッティ監督のQ&Aを聞いていると、ますます尊敬の念が深まってくる。今日も質問がとても良くて、終了後に他のスタッフに「グッド・クエスチョンズだったねえ」と話したら、わざわざ横からルケッティ監督が「そうそう、本当にそう」とうなずきながら割り込んできたくらい。もともと日本の観客を高く評価していたようだけど、今回でその思いを深くしてくれたとしたら、本当に鼻が高い!

14時から、MXテレビのインタビュー。山崎紘菜さんのインタビューに答えるのだけど、山崎さんの力強い目で見つめられると、どぎまぎしてしまって滑舌が悪くなってしまう。まったく、修行が足りない。

15時15分からJ-WAVEに行き、レイチェル・チャンさんがナビゲートする「Rendez-Vous」に生出演。「ヤタベさんのグランプリ予想は?」と聞かれ、「とてもではないですけど、僕は答えられません。15本全部がグランプリです。出来れば、賞で勝敗とかつけたくないです」。これは本音で、受賞して喜ぶ人がいる一方で、受賞できずに落胆する人もいるわけで、僕は彼らが落胆する姿を見るのが、本当につらい。出品できただけで嬉しいです、と言ってくれることが多いけれど、絶対そんなはずはないはずで、僕はもう、賞とかなければいいのに、と本気で思う…。

16時半から、日本テレビの「ZIP」という番組の取材。明日(金曜)の朝、映画祭を扱ってくれるとのこと。コンペの作品を数本解説したのだけど、それもこれが最後だろうなという気分にしんみりしてしまう。

17時50分から、『レッド・ファミリー』の2度目のQ&A。今日は時間調整が上手くいかなかった! まあこういうのは運みたいなものなので、しょうがない。監督の話もたくさん聞けたし(キム・ギドク氏がこわそうに見えて実は心が広くて優しくて、新人監督を信じてやりたいようにやらせてくれた、とか)、ギドクさんもきちんとしゃべってくれた。ただ、主演のチョン・ウさんとキム・ユミさんがあまり話せていなかったので、予定時間をオーバーしていることを承知しながら少し語ってもらい、さらに韓国のプレスの人がどうしてもひとこと言わせてくれと譲らなかったので、結局15分くらい予定をオーバーしてしまった。次の上映が『清須会議』なのでヒヤヒヤしたのだけど、まあ何とかなったみたい。

ギドクさんのコメントで面白かったものがあるのだけど、ネタバレになるのでここでは自粛。日本の公開は未定だけど、早晩かならず決まると思うので、先を見越して自粛しよう。

19時15分から、「日本映画スプラッシュ」の『死神ターニャ』の上映後Q&A。なんと登壇者が11人! 僕が経験した史上最多人数のQ&Aではないかな。最初は塩出監督中心に話を聞こうと思ったものの、やがて意外に時間があるだろうということになり、結局登壇者全員に話してもらうことができて、よかった。塩出監督、外見から受ける印象よりよほどしたたかで、計算の出来る方とお見受けするのだけど、どうだろう。演出方法を聞いていると、堅実に映画を作り上げてくる監督という気がする。確実に今年の「日本映画スプラッシュ」のアクセントになった作品だし、塩出監督の今後が楽しみ。

その後、ミーティングが数件。劇場周りで知り合いと話し込むこと数件。

そして、23時から、ついに今年のコンペティション最後の上映、そして最後のQ&Aで、『歌う女たち』の司会。実は、今日は監督の前作の『Jin』の上映も行われ、ちょっとした騒ぎがあったらしい。お客さんが、『Jin』は素晴らしいが、『歌う女たち』は意味不明で良くないので、『Jin』をコンペに入れるべきであり、選定がけしからん、という口調だったらしい(その時の司会は石坂健治ディレクター)。

やれやれ、という感じだけど、難解なものに対する許容度の低さ、あるいは自分の理解が及ばない事態を怒りという感情に直ちに結びつける傾向、これはなかなか厄介だ。選定がけしからん、と言われるのは覚悟の上だけど(去年は『アクセッション 増殖』で、「あのディレクターはクビにしろ」と書かれた)、僕はシュガーコーティングされたものばかりが映画でなく、『歌う女たち』のような作品が入ってこそのコンペだと思っているので、そういう意味では完全に確信犯だ。

確信犯なので、こういう展開を期待していた節もあるけれど。それにしても、作品を気に入らなくても、当然構わないけれど、自分には理解不能だから良くない作品だ、というのは、到底受け入れるわけにいかない。その人がかなり特殊な人であると思いたいけど、果たしてそうか? 決して特殊ではないのかもしれない、ということになると少し怖い。まあ、それにしても、怒られるくらいの作品が入らないと面白くない、とは開き直りではなく、素直に思う次第。

とまあ、夜中(もうすぐ4時だ)に書いた文章を表に出すのはタブーだけれど、映画祭はドキュメント。ナマの心境を書いて、このままアップします(そして後悔して明日落ち込みます)。

映画祭、いよいよ明日が最終日。賞なんて、なければいいのに。このまま全員受賞で終わればいいのに!との思いを抱きつつ、今年もフィナーレに突入!

(写真はレハ・エルデム監督!)
《矢田部吉彦》

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