【インタビュー】井上芳雄 “ミュージカル界の貴公子”の絶やさぬ「夢の灯火」

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井上芳雄(エル・チュパカブラ役)/ディズニー最新作『プレーンズ』
  • 井上芳雄(エル・チュパカブラ役)/ディズニー最新作『プレーンズ』
  • 井上芳雄(エル・チュパカブラ役)/ディズニー最新作『プレーンズ』
  • エル・チュパカブラ(通称エル・チュー)/『プレーンズ』 -(C) 2013 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
  • 『プレーンズ』- (c) 2013 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
  • 井上芳雄(エル・チュパカブラ役)/ディズニー最新作『プレーンズ』
  • エル・チュパカブラ(通称エル・チュー)と日本代表飛行機・サクラ/『プレーンズ』 -(C) 2013 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
  • 『プレーンズ』-(C) 2013 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
  • 主人公ダスティ/『プレーンズ』 -(C) 2013 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
新しい挑戦はいつだって人を輝かせる――。

2000年にミュージカル「エリザベート」のルドルフ役で鮮烈なデビューを果たし、今では“ミュージカル界の貴公子”の異名を持つ井上芳雄さん。その実力、その魅力は映画界にも広がり、昨年の『宇宙兄弟』のケンジ役も好評を得た。そんな彼が新たに挑戦するのはディズニー・アニメーション『プレーンズ』の声優だ。

「ディズニー作品は大好き。『美女と野獣』とか『アラジン』とか良いミュージカル作品がたくさんありますし、エンターテインメントの頂点だと思う」と見せる爽やかな笑顔は、まさに貴公子。声優の話、演じたキャラクターの話、『プレーンズ』のテーマの話を通して、井上さんを形成しているもの、井上さんを輝かせているものが垣間見えてくる。

「“演じる”ということは同じであっても、舞台で演じるのと、声だけで演じるのとでは必要な技術が全然違うなって思いました。経験して、改めて声優さんへの尊敬の念を抱いたとうか。決められたところでしゃべってキャラクターを作っていく、すごい仕事ですよね。ミュージカルや舞台は体も心も声もその役になって演じるので、その一部、声だけでキャラクターを作ることは本当にすごいこと」。

井上さんの声が吹き込まれたのは、エル・チュパカブラ(通称:エル・チュー)というキャラクター。主人公・ダスティと一緒に世界一周レースに参加するメキシコ代表のカリスマ・スターだ。愛こそすべての情熱闘士のエル・チューを「一生懸命で、愛らしくて、憎めない、とてもいいキャラクター」だと愛しい眼差しを向けつつも、「自分の声は本当にエル・チューにハマるのか…」という不安もあったそう。

「映画の吹き替えとか漫画原作の声って、『このキャラクターはこの声じゃないんだよな…』『イメージと違うんだよな…』って思ってしまうことが僕自身あるので、いざその立場になってみると、自分の声でいいのか? という心配はありました。

でも、英語版の声に似せるわけでもなく、井上さんらしくていいと言ってもらえたので、オファーをいただいたことを信じて一生懸命やりたいと思ったんです。普段の自分の声よりも多少太かったり勢いがあったり、監督さんに指示をもらいながらエル・チューを作っていきました」。井上さんだからこそ表現できたエル・チューがスクリーンの中にいる。

レース中に日本代表のサクラにひと目惚れ。彼女への愛情が生きる原動力! という恋愛に真っ直ぐな性格については、「猪突猛進というか突っ走るところがあるんです。僕のなかにもそういうところはあると思うけれど、もう少し冷静かな(笑)」と、ちょっぴり照れながらも、エル・チューを始め主人公のダスティが勇気を持ってレースに挑む姿が“心に響いた”と言葉に力を込める。

「高所恐怖症な上、レース用飛行機ではない農薬散布機のダスティが世界最速のレーサーを夢見る、マイノリティな彼が大きな夢を持って成功する、というストーリーは勇気を与えてくれますよね。物語そのものがいい。ただ単に分かりやすくてハッピーエンドというだけじゃなくて、子どもから大人までみんなが共感できるってすごいと思うんです。

あと、飛行機を擬人化することによって、人間がやるとドロドロするようなこともうまくメッセージが前に出てくるというか。僕が一番強く感じたメッセージは、自分は何もできないよ…って思うのではなく、自分を信じて夢を諦めないこと、苦手なことや出来ないと思っていることを克服すること。自分の力だけでなく周りの人の協力を得て為し遂げられるっていうのも、いいですよね」。

そして、ダスティのような経験をするには「まず自分の足で飛び出すこと、飛び出す勇気を持つこと」だと言う。それは井上さん自身もミュージカルという夢に向かって一歩を踏み出し、努力を続けているから伝えられるメッセージでもあって。ミュージカルとの出会いは小学校4年生のときに観た劇団四季の「キャッツ」。そこからすべては始まった。

「きっかけは地元の福岡で家族と観たミュージカル『キャッツ』でした。衝撃を受けて、いつか自分も『キャッツ』に出るんだ、出るんだ! と思い続けてきたので、ダスティの気持ちはよく分かります。

ただ、自分で動き出したけれど、自分だけの力ではなくて、助けてくれる先生がいたり支えてくれる人がいたり、そういう人たちとの出会いもあって僕はいま夢が叶ってここにいる。もちろん、誰もが夢を叶えられるものではないのも分かっていて…。でも、最初から叶わないと思って動かなければ何も生まれない、動き出したことで得るものは何かしらあるはず。

たとえ1つ目の夢は叶わなかったとしても、人にはそれぞれの役割があると思うので、その人にしかできないことが2つ目の夢にあるかもしれないし。結果よりもその過程、やってみるかどうか、夢に向かっていくことの方が重要な気がします」。

現在34歳。10歳の頃に出会ったミュージカルは井上さんのなかに夢という火を灯し、その火をずっと絶やさずに灯し続けている。しかも、以前よりもより大きくより明るくより強く。「好きこそ物の上手なれ」とは言うけれど、改めて聞いておきたい。井上さんにとってミュージカルの魅力とは何ですか?

「いつも思っていることなんですけど、男女の恋愛に例えるなら、運命の人に出会ったと思うんですよね。この人が運命の人だと思っても違うときもあるだろうし、出会っても結婚までいかないかもしれないし、いろいろなパターンがあると思うけれど、僕の場合は、すごく早い時期に運命の相手を見つけて、それが相思相愛だった。ミュージカルが僕にとって運命の相手だったんです。

あとは音楽が好き、歌うことが好き。音楽と歌うことは生きていくうえで必要なもの、欠かせないものなんですね。だから、今回はアニメーションの声のお芝居だったけれど、エル・チューとして歌も歌わせてもらったのはすごく嬉しかった」。

そう喜びを語る井上さんの表情はもちろん輝いていて、この人のさらなる輝きを見たいと思いは募るばかり。でも、まずは『プレーンズ』のなかに刻まれた彼の輝きを記憶に留めて――。
《text:Rie Shintani》

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