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【シネマモード】夜を彩るヌードの女神…“究極の美”が舞う『ファイアbyルブタン』

ビヨンセ、クリスティーナ・アギレラ、「U2」、カニエ・ウェスト、ジェイ・Z、スティーヴン・スピルバーグ、ナオミ・ワッツらショービズ界の大物を始め、世界中の美の追求者たちを夢中にさせる「クレイジーホース・パリ」。

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『ファイアbyルブタン』-(C) Antoine Poupel
『ファイアbyルブタン』-(C) Antoine Poupel
  • 『ファイアbyルブタン』-(C) Antoine Poupel
  • 『ファイア by ルブタン』ポスター -(C) Antoine Poupel
  • 『ファイアbyルブタン』-(C) Antoine Poupel
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ビヨンセ、クリスティーナ・アギレラ、「U2」、カニエ・ウェスト、ジェイ・Z、スティーヴン・スピルバーグ、ナオミ・ワッツらショービズ界の大物を始め、世界中の美の追求者たちを夢中にさせる「クレイジーホース・パリ」。それは、シャンゼリゼ通り近くのジョルジュ・サンクで、1951年の創立以来半世紀以上もの間、その官能と芸術が入り混じる究極の美を提示しながら、パリカルチャーの中心として君臨し続けているナイトショーの最高峰にして、エンタテインメントの殿堂です。

ここでたった80日間だけ上演され、観客を熱狂させた伝説のダンスショーが、「FIRE」。2012年に史上初のゲストアーティストとして招かれたシューズ・デザイナーのクリスチャン・ルブタンが手がけ、デイヴィッド・リンチが音楽を手がけたことでも話題となりました。その映画化が『ファイアbyルブタン』。2人の天才が生み出す世界観、世界最高峰のエンタテインメントを日本にいながらにして堪能できるのが魅力です。

実は今回、特別にクレイジーホースへの取材が許され、関係者たちの貴重な声をお届けすることが可能になりました。まずは、2005年から現在に至るまで、総支配人を務めているアンドレ・ダイセンバーグのインタビューから。彼は、シルク・ドゥ・ソレイユの広報を12年務めた経歴の持ち主。

「クレイジーホースのスタイルは特別です。踊りもとてもユニークです。たとえば振り付けは審美性をとても大事にしていますし、感情や官能性をかき立てるようなものが必要とされます。そのためには、どんなディテールもおざなりにしないようにとても気を使っています」。

ダンサーを選ぶ基準、最も重視されるポイントについては、「まず肉体面、そしてある種のカリスマ性や精神性も基準になります。肉体的には身長が168センチから172センチであること。整形などではなくナチュラルな美しさがあること」とか。

そしてもちろん「ダンスの経験があること。できればクラシック・ダンスが望ましいですが、ともかくダンスを習っていることが求められます。それからいわば“女優”であること。観客を魅了するような素質がないといけないのです。さらに“ショーガール”であること。つまりステージに上がって、カリスマ性を発揮できることが大切です」。


――初めての外部演出家としてルブタン氏を選んだ理由についてはこう語ります。

「演出家として彼に仕事を頼む以前から、私たちは彼と何度も仕事をしてきました。ゲスト・スターとして、ディタ・フォン・ティースやアリエル・ドンバルスを招聘したときなども、彼にコラボレートしてもらったんです。彼はいつも快く引き受けてくれましたよ。それであるとき、いっそのこと彼をゲスト・スターとして迎えてショーをクリエイトしてもらったら面白いのではないかと思いついたのです。

というのも彼は私たち、クレイジーホースのスタッフ同様に女性を美しく見せることに長けていますし、さまざまなものからインスピレーションを受けていますから。それにディテールにもとても気を配り好奇心旺盛で、一緒に仕事をするのが楽しい人です。クレイジーホースとルブタンは互いに、女性を美しく見せるために同じような仕事をしてきたと言えるわけです。ですから、彼とコラボレートするのはとても自然なことで、理に叶っていると思いました。

実際、彼との仕事はとてもナチュラルで、お互いにとってやりやすかったと思います。彼は振付家でも衣装デザイナーでも演出家でもありません。いわば大きな意味でのクリエイターです。彼が素晴らしいのはさまざまなものからインスピレーションを受けている、その多彩さにあります。

たとえばヒップホップにクラシックなものを混ぜたり、ストリート・ペイントから影響を受けたり、デヴィッド・リンチを起用したり。そうしたさまざまな要素を私たちにもたらしてくれます。そんな彼をサポートするために、クレイジーホースからは、長年こちらに務めているダンサーで振り付けも担当するプシコ(パトリシア・フォリー)が彼とコラボレーションをし、いろいろな提案をしました。そのたびに彼は、『それはいい!』『ちょっと違う…』『好きじゃない!』というように選んでいきました。彼の選択はとてもはっきりしています。そうやって私たちは一緒にクリエーションをしていったのです」。


――クレイジーホースならではのポリシーについて聞くと、「一番重要なのは、クリエイティビティ」と総支配人。

「常にモダンで大胆なものを作り上げること。またそのためにはさまざまなものからインスピレーションを受けて活用することが大切です。たとえば絵画などの芸術作品。ルブタンはスペイン人画家のズルバラン(Zurbaran)の絵からもインスピレーションを受けていました。『Fire』の演目の中には、アメリカの経済危機をヒントにしたものもあります。ですから本当に、さまざまなことがクレイジーガールズたちのショーのネタになるのです。そこから照明や舞台装置を効果的に使って、クレイジーホースらしい、アーティスティックなクリエーションを作るのです」。


――ダンサーとしてだけでなく、振りつけ、そしてアートコーディネーターも兼務しているプシコ(パトリシア・フォーリー)は、クリエーションについてこう語っています。

「クリスチャン・ルブタンのショーでは、振付家として彼とコラボレートしました。演出もちょっと手伝いました。というのもクリスチャンはアイディアに溢れた人なので、それを実際にクレイジーホースというユニークな場所でどのように生かすのかということに関して、例えば舞台上での広がりや照明の遊び方などコラボレーションが必要だったからです。

とても刺激的な経験でした。特別なショーのために振付家として雇われる場合もあります。たとえばクレイジーが世界をツアーするショーなどの場合、海外のアーティスティック・ディレターと一緒に振付家として仕事をしたり。ですから仕事内容はとても多岐にわたりますが、そのすべてが繋がったひとつの経験になっていると言えるでしょう。とても刺激的ですよ(笑)」。


――ダンサーとして、今回の映画を観た感想についてはこう語ります。

「改めて、映像としてまとめて観ることができて、とても楽しかったです。作っているときは、ひとつひとつのショーに一生懸命なのであまり距離を持って見ることができませんでしたが、今回は自分でも楽しめましたし、面白いと思いました。また3Dというのも、とてもいいアイディアだったと思います。観客にとってダンサーの肉体や立体性がダイレクトに感じられ、よりエモーションを喚起すると思うからです。それにクレイジーのダンスは女性の身体の美しさを強調していますから、3Dによってそれがもっと顕著になるのではないかと思います」。


――クレイジーホースで「FIRE」を上演したときの観客はどうだったのでしょう。

「3か月しか上演しない特別なショーでしたが、パリ中に口コミで広まって、とても熱狂的に迎えられました。ルブタンの靴をフィーチャーするというユニークなコンセプトも受けたと思います。もともとクレイジーはアクセサリーにも、フェティッシュなルブタンの靴はよく活用してきました。ショーはクレイジーホースというメゾンのイメージをとてもリスペクトしながらもアヴァンギャルドなもので、その点もとても好まれた理由だと思います」。


――クレイジーホース歴が最長というプシコ。13年間に及ぶキャリアの中で、一番楽しかったことは?

「これまでさまざまなゲストスターと仕事をして、そのたびに新たな興奮がありましたが、不思議なことに一番心に残っているのは普段のとても基本的なこと。つまり毎晩観客の前でダンスをすることの喜び、その貴重なひとときの興奮です。

たしかに、特別な観客との出会いもあって、たとえばスティーブン・スピルバーグやペドロ・アルモドバルがショーを楽しんでくれたりするのは、プロとして大いなる喜びです。でも、時には無名のお客さんがショーのあとに声をかけてくれたり、暖かい言葉と共にプレゼントをくれたりする。そういう一つ一つが大いなる喜びで、ダンサーとしてやっていくことのモチベーションを高めてくれるのです。

クレイジーは私にとって “表現の自由”の象徴です。そしてアーティスティックなクリエーションにおいて常により優れたものを目指す場所。新しいテクノロジーを使い、新しい技術を磨きながら、いわば前進することの象徴でもあるのです」。

アンドレ・ダイセンバーグやプシコを始め、世界最高峰のプロたちがしのぎを削るクレイジーホース。その世界へと続く扉を今、日本にいながらにして開いてみてはいかが?
《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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