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【MOVIEブログ】29日/ロッテルダム

29日、水曜日。実質ロッテルダム最終日。ついに晴れた! ようやく最後にしてきちんとした青空。気持ち良い朝の空気を吸いながら、外へ…

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29日、水曜日。実質ロッテルダム最終日。ついに晴れた! ようやく最後にしてきちんとした青空。気持ち良い朝の空気を吸いながら、外へ。

まずは9時から「Bright Future」部門で、ポーランド映画。気の効いたセンスの良い小品を目指しているのだろうけれど、物語の骨格がしっかりしていないので、ディテールで遊んでいるばかりで空回り。全く映画に入れず、朝イチなのに残念。

11時から、旧知のイタリアの映画機関の人とミーティング。雑談を含めて1時間ほどお話し。

上映に戻り、13時から「Spectrum」部門で『Bad Hair』というベネズエラの作品へ。貧困階級で必死に職探しをする母親と、カーリーヘアをストレートにして歌手のコスチュームで写真を撮ることに固執している幼い息子の物語。母子の愛の不調がテーマ。題材は悪くないのだけれど、とにかく物語が全く転がっていかず、同じ場所にずっととどまっているので、1時間を超えたあたりでうんざり。起承転結がなく、起起起結。

もっとも、児童虐待すれすれの愛の不調というヘビーなテーマを、深刻さを巧みに回避して描いていると言えなくもないので、ちょっと評価に悩むところ。ベネズエラ作品を見る機会はそれほど多くないので、これはこれで貴重だと思うべきだろうな。

続けて15時半から、コンペ部門で『Han Gong-Ju』という韓国映画。本作は昨年のプサン映画祭でも話題になっていたようで、なるほどさすがのクオリティー。問題を抱えた女子高生が転校するところから始まり、新しい環境での日々が描かれる一方で、さて過去に何があったのか、が徐々に明らかになっていく内容。

僕はあまり「過去に何があったのか」が脚本の軸になっている映画を評価しないのだけれど(観客だけ何も知らない立場に追いやられていることにイライラしてしまうことがあるのと、そもそも「これから何が起こるのか」で興味を引っ張る方が脚本として上だと思っているから)、本作は構成がとても巧みで、過去も未来もきちんと描き、なかなか素晴らしい。

ネタバレ厳禁映画なので詳しく書けないのが苦しいところ。ロッテルダムのコンペに出品される韓国映画に失望したことが無いけれど、本作も例外ではなかった。やはり韓国映画の底力は大したものだと、今年も感心…。

今日は観る映画の予定を上手く組むことが出来ず、次が最後。18時から、『Southcliffe』という190分の作品へ(写真)。これは2013年に4回に渡って放送された英国BBCのテレビドラマだそうで、今回はそのイッキ見上映。イギリス映画でおなじみの面々が出演しているということから、ロッテルダムも映画扱いで上映しているのかもしれないけれど、とにかく役者が実に素晴らしい。

田舎の町で起きた銃乱射事件に巻き込まれる人々を描く一種の群像劇で、3時間を超える尺が全く気にならない。去年はジェーン・カンピオンが監督したテレビシリーズ(全6話)が各国の映画祭で上映されて話題を呼んだけれど(僕は未見で、見た同僚が絶賛していた)、こういう優れた「映画的な」テレビドラマをイッキ見する上映形式もこれから増えていくのかも。アサイアスの『カルロス』も、もともとテレビだったし。

ということで、今日はこれでおしまい。21時台で終わっていいのか? とちょっと焦ってしまう気持ちもあるけれど、まあでも、ロッテルダムに入ってから7日連続で睡眠時間は4時間で、そしてまだ先も長いことだし、たまにはゆっくりしてもいいかな。

おかげさまで体調は絶好調。明日は午後にロッテルダムを離れて、移動日!
《矢田部吉彦》

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