【シネマモード】「男ってバカよね」…笑って、笑って2時間59分『ウルフ・オブ・ウォールストリート』

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レオナルド・ディカプリオ主演/『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 -(C) 2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
  • レオナルド・ディカプリオ主演/『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 -(C) 2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
  • スコセッシ監督(向かって左)とディカプリオ Getty Images
  • 『ウルフ・オブ・ウォールストリート』ポスタービジュアル  -(C) 2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
  • レオナルド・ディカプリオ/『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 -(C) 2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
  • 『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 -(C) 2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
  • 『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 -(C) 2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
  • レオナルド・ディカプリオ『ウルフ・オブ・ウォールストリート』/(C) Getty Images
  • マーティン・スコセッシ(監督)/『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 -(C) 2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
久々に、笑わせていただきました。これってコメディだったの? かなり不謹慎だけど、いいかしら? こんなに下ネタだらけなの? と各種の戸惑いを抱きながらも、笑わずにはいられなかった2時間59分。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(公開中)は、そんな作品でした。

レオナルド・ディカプリオ主演×マーティン・スコセッシ監督が描き出すのは、実在の人物ジョーダン・ベルフォートの物語。非合法の株取引で、年収49億円を稼ぎ出した悪名高き男です。これまで破滅型の人物を描いてきたスコセッシ監督ですら、未知とも言える破天荒すぎる人生の詳細は、映画の中でぜひ目撃して驚いていただきたいのですが、このご乱心ぶりはとにかく笑えます。

ほんの一例ですが、フェラーリやランボルギーニを乗り回し、ラリって大破させても平気。1回で260万円のディナーは当たり前、再婚前のバチェラー・パーティではラスベガスの高級ホテルのプレジデンシャル・スイートに社員を集め、どんちゃん騒ぎに2億円。この地に足のついていない乱痴気騒ぎ、たぶん女性の方が楽しめるのではないでしょうか。

貯蓄ゼロからスタートした“サクセス・ストーリー”は、男性にとってはある種の夢。それをここまで笑いのネタにされてしまうと、男性としてはきっと苦笑いしか出てこないのではないでしょうか。うなるほどの収入に、目のくらむような美女をよりどりみどり。豪邸、別荘、スーパーカー、馬、クルーザーにヘリと、何でも手に入れられるのです。まともな人間からの敬意以外は。

私が映画を観た際は、周囲にいた男性の笑い声が弱々しいものであったにもかかわらず、女性たちが大笑い。聞こえてくるのは、「男ってバカよね」という含みを孕んだ女性たちの甲高い笑い声ばかりでした。

欲に飲まれ、それによって破滅していく男の本性を、スコセッシ×ディカプリオは、笑いを武器に炙り出していくのですが、その心は「ジョーダンは模範的とは言えない人生を歩んだ人物で、それはかなり恥ずべき類のものだ」とスコセッシ。

ただ、こうも言っています。「私たちが異なった状況に生まれていなければ、たぶん同じ間違い、同じ選択、同じ行動を取るに違いない」。つまり、男性が思いきり笑えないのは、彼と自分に共通性があるとすぐに自覚できるから。

一方、女性は、男性ならではの欲にまみれたジョーダンを見ても、共感しにくいから素直に笑えるわけです。もし、女性にとってジョーダンの住む世界と自分とをリンクさせやすいものがあるとしたら、劇中に登場するファッションかもしれません。

ジョーダンや彼の2番目の妻を演じたマーゴット・ロビーを含め、登場する人々は、「アルマーニ」とか「ベルサーチ」とか「シャネル」とか「ラ・ペルラ」とか、分かりやすい高級ブランド品を身に着けています。それは、似合うから、好きだから、スタイリッシュだからというより、“高いから”という理由で選ばれたようなものばかり。高級品だからというだけで、見栄を張ってこれ見よがしなブランド品を手にした経験なら、けっこう多くの人にありそうですね。そこを肥大化させるとああなるのかと気づくと、女性だって笑っていられないのです。

それでも、欲を肥大化させた人々を笑わずにはいられません。笑って笑って笑って…その後に、はたっと考えさせるのがスコセッシの腕。彼のキャリアの中でも最もぶっ飛んでいる本作で、やはりキャリア史上“最もクレイジー”と言える役にほぼ捨て身で挑んだディカプリオですから、長期休暇に入る前に、念願のオスカーを手にできると良いのですが。
《text:June Makiguchi》

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