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【MOVIEブログ】6日/ベルリン Day1

6日、木曜日。ベルリン映画祭、いよいよ初日。ということで気合いを入れ過ぎたわけでもないだろうけれど、とても不快な悪夢を見てしまい、4時半に目が覚めてしまって…

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The Kidnapping of Michel Houellebecq
The Kidnapping of Michel Houellebecq
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6日、木曜日。ベルリン映画祭、いよいよ初日。ということで気合いを入れ過ぎたわけでもないだろうけれど、とても不快な悪夢を見てしまい、4時半に目が覚めてしまって、そのまま寝られず。なので、モヤモヤのスタート!

9時にマーケット会場に行き、明日の一般上映のチケットを数枚確保してから(マーケットパスの提示だけで見られる上映と、チケットを事前に入手しないと入場できない上映とがある)、9時半の上映へ。

見たのは、「フォーラム」部門の『The Great Museum』というオーストリアの作品で、ウィーンの美術史美術館の内側を描くドキュメンタリー。字幕やナレーションはなく、美術品の修復作業から予算会議に至るまで、美術館の様々な活動を淡々と追っていく、ワイズマンスタイル(あるいは、想田監督の「観察映画」スタイル)。修復作業を見ているだけで楽しい気分になれて、なかなか面白いな。

続いて11時45分から、フランスの大手映画会社のスタジオ・カナル社の「プロモ・リール集」へ。これは、マーケット参加者向けに、これから完成されてくる新作映画の抜粋映像を繋げて見せる予告編集みたいなもので、いままで文字情報しか知らなかった作品のイメージが得られるので、とても貴重な機会。

それからマーケット会場に戻り、同僚と合流し、12時から16時まで各社とミーティング。マーケット会場はまだまだ人が少なくて、本格的なスタートは明日からなのかな。売買のディールが激しくなると、映画祭関係者相手のミーティングは後回しにされがちなので、こういうまだ空いている時にどんどんこなしてしまうのが、僕たちにとっては効果的なのだ。

もっとも、まだ2月なので、秋の東京国際映画祭に向けての本格的な出品交渉を行うわけではなく、新年の挨拶周りに近いかな。今年もよろしくお願いしますと挨拶しながら、各社の夏以降のラインアップを紹介してもらうのが主な目的。まだまだ気楽ですね。

17時に上映に戻り、「フォーラム」部門で『The Kidnapping of Michel Houellebecq』(写真)というフランス映画へ。これは(いい意味で)大珍品だった!やはり「フォーラム」は面白い。フランスの実在の作家ミシェル・ウエルベックが本人役で出演するドキュメンタリー風ドラマで、彼が実際に2011年に著作のキャンペーン中に忽然と姿を消した事件を元に、その時に何が起こったかをフィクションドラマに仕立てたもの(たぶん)。

変人作家のウエルベックが、ある日屈強な3人の男に誘拐されて軟禁されてしまうのだけど、彼らとその家族と仲良くなって、奇妙な交流が生まれてくる物語。何も知らないで見始めたので、最初はドキュメンタリーかなと思って見ていると、どんどん荒唐無稽な展開になってくるのが痛快。あまりにもナチュラルな役者陣の演技と、ふざけているようで計算され尽くされた演出が見る者をとても混乱させる…。

あまり情報がないので、どこまでが本当でどこまでがフィクションなのか、よくは分からない。まあ、もちろんフィクションなのだろうけど、本人が本人役で出ているので始末が悪く、いやはや、こんな映画はあまり見たことがない!

映画は面白かったから文句ないのだけれど、隣の女性がかなり重い風邪をひいているようで、ひどく咳き込むので困った。ヨーロッパにはマスクをするという習慣が無いので、絶対にうつされたくない僕としては、自分でコートを口元にあてて防ぐばかり。うつってないことを祈るばかり…。

続けて、19時20分から、マーケット上映でアメリカ映画の『Life after Beth』という作品へ。先日開催されたサンダンス映画祭に公式出品された作品で、これが上出来の青春ゾンビ映画。ファンタ映画祭にぴったり! 大好き。

最後は、21時15分から「パノラマ」部門のオープニング作品で、『Nuoc 2030』というベトナム映画へ。ベトナムは年間の映画製作本数が10~20本くらいのはずで、その中でもアート系はあまり多くはないはず。今作はそれなりのスケール感を備えた近未来もののアート系で、それだけでとても貴重な作品には違いない。ただ、ストーリーテリングにいささか難があり、要所に見応えがある場面はあるものの、少しだけ退屈してしまった。残念。

今夜はもちろんベルリン映画祭全体のオープニング作品も上映されていて、ウェス・アンダーソン監督の新作が『グランド・ブタペスト・ホテル』。日本でも6月に公開が予定されているので、まあベルリンで見なくてもいいかと僕は自重し(もちろんとても観たいけど)、本日はこれで終了。

23時半には宿に戻り、どうにもネットに接続しづらいパソコンと格闘しながらブログを書いて、そろそろ1時。今夜は悪夢を見ませんように…。
《矢田部吉彦》

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