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【MOVIEブログ】10日と11日/ベルリン Day5&6

10日と11日のベルリン…

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『The Forest is Like the Mountains』
『The Forest is Like the Mountains』
  • 『The Forest is Like the Mountains』
10日と11日のベルリン!

【10日(月)ベルリン Day5】
6時起床でパソコン叩いて、朝食をいつものようにたくさん食べて、外に出ると、快晴! 毎日同じことを書いているけど、本当にこんな天気のベルリンは初めて。

今朝も9時のコンペ部門のプレス上映に並んで入場し、中国のロウ・イエ監督新作『Blind Massage』からスタート。マッサージ院に勤務する盲目の男女たちの愛を巡る物語。僕はあまりロウ・イエ監督の作品と相性があまりよくなくて、今作もそれは変わることがなく、どうにも入り込めず…。

入り込めない理由をつらつらと考えながら会場を出ると、なんとマチュー・アマルリックがいたので、興奮してご挨拶。昨年東京に来てくれたお礼を言うと、彼もとても再会を喜んでくれた!

すっかり気分が晴れて、そのまま11時から数件ミーティング。

15時過ぎに上映に戻り、コンペ部門に出品されているアラン・レネ監督新作『Life of Riley』(仏語の原題は「Aimer boire et chanter」)へ。戯曲を芝居仕立てで映画化したキッチュ(?)なコメディー作品で、老いてますます若々しく軽やかさを増す作風に、しみじみ感服。

17時半から、「フォーラム」部門で、『The Forest is Like the Mountains』(写真)というドイツとベルギーの共同監督による作品へ。ルーマニアの僻地に暮らすロマ族の暮らしを追ったドキュメンタリー。人々の日々の営みをじっくりと見つめる姿勢が佐藤真監督の『阿賀に生きる』を連想させ、ギミック抜きのとてもまっとうなドキュメンタリー映画を久しぶりに見た思い。うん、これはとてもいい!

20時から、韓国の映画機関が主催するパーティーに少しだけ出席。韓国映画躍進の礎を築き、プサン映画祭の名誉ディレクターであるキム・ドンホさんがプロデュースをした『10Minutes』がとてもよかったので、感動しましたと感想をキム・ドンホさんにご挨拶。

そして21時から、日本の某劇場支配人の方が夕食に招待して下さったので、いそいそとお誘いに乗り、久々の中華料理をたくさん頂く。美味しい!が、少し疲れが出たのか、久しぶりのワインが効いたのか、終盤にウトウトと舟をこいでしまった…。情けない…。

0時にお開きとなり、タクシーでホテルに戻り、そのままベッドへ直行。

【11日(火)ベルリン Day6】
6時半起床、朝のルーティンをこなして、明日のチケットを確保すべくマーケット会場のチケットカウンターに行くと、システムトラブルで列が全然進まない。映画祭でのトラブルは他人事ではないので、しょうがないな、という気分で待つものの、心はやはり落ち着かない。こういうところで映画祭を訪れるお客さんの気持ちになって、トウキョウにも活かさねば…。

結局、9時からの上映には10分ほど遅刻することになってしまった。むむー。

遅れて見たのは、コンペで『Inbetween Worlds』というコンペ部門のドイツ映画。タリバン勢力に対抗すべくアフガニスタンの小さな村に駐留するNATO軍のドイツ部隊の隊長と、通訳として雇われた地元の青年との関係を巡る物語。描かれる悲劇がいささかとってつけたような展開で、深い印象を与えるに至らない。上映後には一部でブーイングも。観客の反応が容赦の無いカンヌに比べたら、ベルリンはまだ穏やかな方だけれど、ブーイングはイヤだなあ。

11時から2件ほどミーティング。マーケット会場は今日から人が減ってきたようで、明日の水曜日に帰る人も多いのかな。今年は例年より人が少ないという印象は各社が持っているようで、果たしてこれは一時的なことなのか…?

親しくしている映画会社のプロデューサーから、某監督のドキュメンタリーの新作があるけど見ないかと言われたので、12時半にその会社がベルリンに構えている事務所に赴き、スクリーニングルームで出来立てホヤホヤの作品をDVDで見せてもらう。

いやあ、これがかなり強烈なシロモノで、まだここでは書けないけれど、ひとりで「ううー」とか「うわー」とか唸りながらの鑑賞となってしまった。現代ヨーロッパ人の(というか人間の)暗部を描く内容で、恐ろしくも素晴らしいのだけれど、例によって(?)局部の露出が遠慮ない激しさで、これは映画祭とは言えども日本での上映は難しいか…。こういうことで躊躇してしまう状況が、とても悔しい。そして、こんな作品を自分ひとりだけで楽しんでいる(楽しい作品では全くないけど)のがもったいなく、何とかしたいジレンマにも陥る。カンヌでは上映されるだろうから、その反応を待つことにするか…。

時間が少し空いたので、ソーセージとザワークラウトのファーストフードを食べて、一瞬ホテルに戻って少しだけ休憩。

16時に上映に戻り、「フォーラム」部門で『The Honour Keeper』というインドの作品へ。おとぎ話的な愛の寓話で、美しい映像抒情詩と呼ぶにはほんの少しだけ足りないけれど、それなりに雰囲気のある出来。60分という尺が程よい。

17時半から、同じ会場の「フォーラム」部門で『Everything that rises must converge』というアメリカの実験映画的作品。ポルノ映画の撮影に臨む4人の男女の日常をスプリットスクリーンで描くのが主な内容となる作品で、セックスとセックス描写の相対化を試みた作品、ということでいいのかな…。

19時から、メイン会場でのコンペ部門で、『Praira du Futuro』というドイツ在住のブラジル人監督による作品へ。陽光降り注ぐブラジルの海岸と、冷たい空気のベルリンの街とを舞台にした、ゲイのカップルの物語。そもそも、男女の物語だったら陳腐過ぎて映画になりえない設定が、ゲイのカップルだからと言って許されるのだろうか?そんなことはないはずだし、もしそうだとしたら、それこそ偏見なのではないか?

ベルリンでは(まあロッテルダムでもそうだけど)ゲイの映画が全く珍しくないので、ついつい上記のような思いで見てしまう。その結果、ゲイのカップルという設定に甘えているのではないかと思ってしまうことが少なくない。本作もまさにそうで、男女だろうが男どうしだろうが女どうしだろうが、つまらない脚本はつまらないのだ。

雰囲気感情ショット(主人公が物思いにふけって街をさまよう様を延々と撮るとか)の多用でいたずらに時間を稼ぐばかりで、これはつらい。

むぐー、と思いながら、台湾の映画機関が主催するパーティーに少しだけ顔を出して、知り合いの方々にご挨拶。

パーティーでお酒は飲まず、22時から上映に戻り、コンペ部門の『Stratos』というギリシャの作品へ。凄腕の殺し屋が主人公となる設定は興味を惹かれるものの、映画は冗長でなかなかドラマが盛り上がらない。22時からの停滞した2時間越えはなかなか楽ではない…。

今日は、露出満載のド変態SM(前述の某監督によるドキュメンタリー映画のひとつのエピソード)、アメリカンなポルノ映画のあからさまな描写、そしてゲイカップルによるセックスシーンと、図らずもありとあらゆる肉欲を目にすることになる1日となってしまった。もう、グロッキー…。

宿に戻って1時。これ書いて、もう2時を回った。限界!
《矢田部吉彦》

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