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【MOVIEブログ】12日/ベルリン Day7

12日、水曜日。曇り時々晴れ、気温は8度くらい…

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『Black Coal, Thin Ice』
『Black Coal, Thin Ice』
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12日、水曜日。曇り時々晴れ、気温は8度くらい。

今日も9時からのコンペ部門のプレス試写で『The Third Side of the River』というアルゼンチンの作品へ。ふたつの家庭を掛け持ちする父親に対する軽蔑を深めていく青年の物語。これといった面白みを感じることが出来ず、朝から残念。

11時から、このマーケットで最後のミーティングを数件。もうかなりの人が帰り始めていて、マーケット会場はもはや終了な雰囲気。やはり土曜日から月曜日にかけての3日間がマーケットのピークだったのかな。やはりフィルムマーケットは3日間がちょうどいいのかも。

ところで、旧知の日本の批評家の方に会ったら、「フォーラム部門の『ブラインド・デート』がいいですよ」と言われたので、「去年のトウキョウのコンペで上映したのですが…」と答えて、ちょっと気まずい感じになってしまった…。やはり、東京のコンペはまだまだ見てもらうべき人に届いていないことを改めて痛感し、これは本当に僕の努力不足なので、ひたすら猛省。

そのままマーケット会場で、数名の知り合いの人たちと、しばし雑談。

15時に上映に戻り、「フォーラム」部門で、Josephine Deckerという新人女性監督による『Thou Wast Mild and Lovely』というアメリカ映画へ。Decker監督は今年の同部門に2作品が出品されている。本作は田舎の自然をバックに、ふわふわした世界観の中に奇妙なジャンルもののテイストを混ぜてくる内容で、なるほどなかなか個性的で悪くない。

17時に、「フォーラム」部門に出品されている日本映画の『FORMA』(昨年の東京国際映画祭の「日本映画スプラッシュ」部門で作品賞を受賞)の坂本あゆみ監督に、ベルリン参加を祝しつつ、ご挨拶。プレス試写は1昨日に行われていたのだけど、一般上映は本日が初回。さて会場の反応やいかに?! (僕は残念ながら立ち会えず)。

17時半から、「フォーラム」部門の『Souvenir』というドイツの作品へ。身辺のあらゆることをビデオに撮影しながら世界中を旅していた男性が北極圏で行方不明となり、残された映像を知人が1本のドキュメンタリー作品にまとめたもの。ひとりの人間の人生の記録がこのような形で見ることができることに、静かに感動。

続いて19時から、コンペ部門でクラウディア・リョサ監督の新作『Aloft』へ。主演はジェニファー・コネリー、キリアン・マーフィー、そしてメラニー・ロラン。治癒能力を持つ母親と、その息子の愛憎の物語。荒涼とした雪と氷の世界を背景にしてスケール感はあるのだけれど、虚構性の強い物語を大自然の力で正当化しているような印象を受けてしまい、僕には響かず。ちょっと意地の悪い見方かもしれないけれど。

最後は22時から、コンペ部門の中国映画で『Black Coal, Thin Ice』(写真)という作品へ。猟奇殺人を追う刑事の物語。トラウマを抱える刑事が、怪しげな美人に惹かれていくという、ファム・ファタールものでもあり、アイス・スケート場や観覧車といった装置も素敵で、魅力的な中国ノワール。途中から全然話が分からなくなってしまうのだけど、それも含めて、これはなかなかいいな。いささか響かないコンペ作品が続いていた中で、本作には久しぶりに映画的カタルシスを覚えることができて、とても満足。

ファム・ファタール役にはグイ・ルンメイで、とても美しい。脇役に、昨年のトウキョウの『オルドス警察日記』で主演男優賞を受賞したワン・ジンチュンさんが出演していたのも嬉しい。ご本人も来場していたのだけど、挨拶できず無念…。

宿に帰り、明日帰国してしまうアジア部門のディレクターの石坂氏と軽く打ち上げ飲みをし(とは言っても1時を過ぎていたのでビール1杯だけ)、部屋に戻り、ブログを書いて早くも2時半だ。1日の早いこと! そして、早いといえば、長期出張もあっという間に終盤戦。あと2日、がんばっていこう。
《矢田部吉彦》

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