【インタビュー】藤原竜也 初の父親役――出会いと自己否定が築く30代の道のり

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藤原竜也『神様のカルテ2』/PHOTO:Naoki Kurozu
  • 藤原竜也『神様のカルテ2』/PHOTO:Naoki Kurozu
  • 藤原竜也『神様のカルテ2』/PHOTO:Naoki Kurozu
  • 『神様のカルテ2』 -(C)2014「神様のカルテ2」製作委員会 -(C)2010夏川草介/小学館
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  • 『神様のカルテ2』 -(C)2014「神様のカルテ2」製作委員会 -(C)2010夏川草介/小学館
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うまく説明できないが、藤原竜也が『神様のカルテ』の続編に出演すると聞いたとき、何となく意外な気がした。インタビュー冒頭、そんな思いを本人にストレートにぶつけてみると「分かります。実際、僕の中にも迷いはありましたからね」と静かにうなずいた。「でも」――少しはにかむような表情を浮かべ、言葉を繋ぐ。

「完成した映画を観て、やらせていただいてよかったなと思いました」。

2013年は映画の撮影に明け暮れた。5本の待機作の第1弾としてまもなく公開されるのが『神様のカルテ2』である。初めて演じた医師役、そして父親役。年齢を重ねることによって訪れる役柄の変化、さらに自身の結婚の影響について。公開を前に話を聞いた。

原作は「本屋大賞」に史上初のシリーズ作品で2年連続ノミネートを果たした夏川草介の小説。地方都市で「24時間365日」を謳う本庄病院で一心に患者と向き合う医師・栗原一止と周囲の人々のドラマを描いており、藤原さんが演じたのは本庄病院に赴任してくる、一止のかつての同級生・進藤辰也。膨大な量の仕事、救いを求める患者たちと家庭のはざまで苦悩する。

まずは早速、冒頭でも触れた藤原さんが出演を決めた経緯について。「月並みな言い方ですが」と前置きし、こう語る

「いま、僕にとって何が大事なのか? それはこの瞬間にしか出会えない人や作品との出会いだなと。完成度の高い脚本や深川栄洋監督との出会い、櫻井翔くんや宮崎あおいちゃんと一緒に映画を作れるということ。自分が新しい出会いによってどう変化し、成長できるのかに非常に興味がありました。これまでやったことのない医者役に娘を持つ父親役、守るべきものは何なのか? という問いかけ――全てが合ったタイミングだったんだなと思います」。

脚本を手がけたのは前作に続いて後藤法子。藤原さんが2011年に出演したドラマ「遺恨あり 明治十三年 最後の仇討」でも脚本を執筆している。インタビューに先立って行われた記者会見でも藤原さんはしきりに脚本を絶賛していた。俳優の目から見て「完成度の高い脚本」とはどういうものなのか?

「語弊があるかもしれないけど、この物語、何か大きな事件があるというわけではないんですよ。感情の起伏も決して大きくない中で淡々と進んでいく。でも、そこにずっと“重低音”とでも言うような重みのある音が鳴り響いてるんです。普段から脚本を読むとき、自分の感情に沿って読んでいくと『これはないよな』とか『感情が途切れるな』というのはよくあって、『うーん』と唸りながら読んでたりするんですが(笑)、この本に関してはそういう粗が一切なく素直に読めた。そういう作品は実はあまりなくて数年に1本、出会えるかどうかってくらいです」。

進藤という役を「台本の感情をそのままなぞるように自由にやらせてもらった」と藤原さん。“台本通り”に“自由に”という一見、相反するような要素がピッタリと静かに同じ場所に収まるほど、脚本と藤原さんの感性が一致したということだろう。そして、初めて触れる深川監督の演出も新鮮だった。

「耳元でね、ボソッとつぶやく感じです。『藤原さん、ここで進藤としての思いをぶつけてほしい』『ここは立ち止まってほしい』とかね。それが非常に端的で分かりやすくて、心地よかったです。現場によっては助監督が監督の意図を伝えることもあるし、監督が大声で伝えたりもするんですが、今回の深川さんのやり方でより集中力を高めてもらったと思います」。

深川監督の“ささやき”で最も印象深かった言葉は? と尋ねると「いや、意外とそれが特にこれと言ってないんです」との答えが返ってきた。

「シーンごとにボソッと言って下さるんですが、それに意外性があるわけじゃないんです。それでも完成した映画を観ると、櫻井くん演じる一止に見入ってしまいました。いまふり返って、あれを深川さんが全て計算して撮ってたんなら、本当にものすごいセンスと感覚の持ち主だと思います。完成した映画を観てピースが全て埋まっていく感覚でした。やっぱり計算してるんでしょうね…現場でも俳優のテンションを本番に持っていくのがすごく上手いです。自分の中で『ここ順調かな?』と思うときはたいてい、監督の方から『ここはもう1回やらせてください』とおっしゃって下さいましたね」。

一止とその妻でカメラマンの榛名(はるな/宮崎あおい)、一止の上司で仕事一辺倒で生きた貫田(柄本明)と長年彼を支え、寄り添ってきた妻の千代(市毛良枝)、そして進藤とその妻で同じく医者である千夏(吹石一恵)。3組のそれぞれ違う形の夫婦の姿が描かれる。

「仕事か? 家庭か?」と二者択一を迫られれば、「舞台の仕事が多いので、冷静に考えれば仕事を優先してしまうと思う。親の死に目に会えないかもしれないけど、僕らは舞台に立たなきゃいけない」と藤原さん。

「それでも、進藤を演じながら考えちゃいましたよ。夫婦というのはどうやってその隙間を埋めていくものなのか? それこそ、そういう問いに直面している方は世の中にもたくさんいらっしゃるでしょうしね」。

本作の撮影の後になるが、自身、昨年5月に結婚を発表した。そのことが俳優としての仕事、役柄への向き合い方に与えた影響は?

「正直、いまのところ何も変わってないなというのが実感ですね。さっき、櫻井くんにも久々に会って聞かれたけど(笑)、芝居に対する姿勢なんかも全くと言っていいほど変わってない。もしこれから、子どもができたりしたら変わってくるのかもしれないですけど…」。

一方で、強く感じるのは年齢を積み重ねたことによる、与えられる役柄の変化だという。今回の医師役、そして父親役然りである。

「10代、20代を経て、30代どうしようかな? と思っているところで、やっぱり役柄も微妙に変化してくるんですよね。今回に関しては、結構ざっくばらんに『ここらで医者と父親、やっておくのも面白そうだ』くらいの気持ちでしたけど(笑)。ただ、俳優にとって年齢というのはすごく大きいと思います。まさにその時しかできない出会いですね。いままで自分が手を出していたような役が若い俳優のところに行き、自分にはまた違う役が巡ってくる。それは面白いし、すごく難しい。常に“自己否定”と“ジャッジ”の眼を持っていないといけないなと感じてます」。

これまで、藤原さんに話を伺うたびに、一緒に仕事をしてみたい監督や気になる俳優の存在を挙げてもらってきた。「三谷幸喜さん」「豊田利晃監督」とその都度、名前を挙げた人々とその後、確実に舞台や映画での仕事を実現させている。改めていま、一番気になる存在は?

「そうですね、今回、櫻井くんと一緒に仕事をさせてもらって、すごく魅力を感じましたね。僕自身、今回はすでに出来上がった作品の中に入っていく転校生のような気持ちだったんですが、そこで初対面で温かく迎えてもらい、その上で一緒のシーンはすごく緊張感と美しい空気感があって面白かったです。同世代の共演陣と作品を作り上げていく楽しさもすごく感じました。また違う作品で櫻井くんと一緒に何かできれば嬉しいなと思ってます」。

※「宮崎あおい」の「崎」は正確には異字体/「大」の部分が「立」
《photo / text:Naoki Kurozu》

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