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【シネマモード】『アデル、ブルーは熱い色』…カンヌを魅了した新鋭アデル・エグザルコプロス

世界中の人々を虜にしている、2人の女性をめぐる美しい愛の衝撃作『アデル、ブルーは熱い色』。2013年、第66回カンヌ国際映画祭で、アブデラティフ・ケシシュ監督だけでなく…

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アデル・エグザルコプロス/『アデル、ブルーは熱い色』
アデル・エグザルコプロス/『アデル、ブルーは熱い色』
  • アデル・エグザルコプロス/『アデル、ブルーは熱い色』
  • アデル・エグザルコプロス/『アデル、ブルーは熱い色』
  • 『アデル、ブルーは熱い色』-(C)2013-WILD BUNCH - QUAT’S SOUS FILMS - FRANCE 2 CINEMA - SCOPE PICTURES - RTBF (Télévision belge) - VERTIGO FILMS
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  • 『アデル、ブルーは熱い色』-(C)2013-WILD BUNCH - QUAT’S SOUS FILMS - FRANCE 2 CINEMA - SCOPE PICTURES - RTBF (Télévision belge) - VERTIGO FILMS
  • アデル・エグザルコプロス/『アデル、ブルーは熱い色』
  • アデル・エグザルコプロス/『アデル、ブルーは熱い色』
世界中の人々を虜にしている、2人の女性をめぐる美しい愛の衝撃作『アデル、ブルーは熱い色』。2013年、第66回カンヌ国際映画祭で、アブデラティフ・ケシシュ監督だけでなく、主演女優のアデル・エグザルコプロス、レア・セドゥにもパルムドール(最高賞)が贈られたことは、映画祭史上初の快挙として記憶に新しい。受賞後、女優として新たな一歩を踏み出したアデルに、人生を変えた話題作について聞いた。

「今回、私が出演したかった一番の理由は、ケシシュ監督の作品だったから」そう話すアデル・エグザルコプロス。「監督の作品は大好きなものばかり。いつも必ず真実を映画に登場させているから。本当は脚本を読んでから出演を決めるのが普通の流れなのでしょうけれど、キャスティングの間は原作のコミックしか読ませてもらえなかったの。そのときすでに、時間の経過によって女の子が進化していく物語にとても惹かれていたわ。ラブストーリーだから、その情熱が本物だというのを見せたいと思ったの。時間の経過があればあるほど、表現できるニュアンスの幅が広がるから、演技の幅も広がると思ったのよ」。

5か月半、750時間に及んだ撮影では、シーンごとに気が遠くなるほど幾度もテイクを重ねたという。
「監督は役者が大好きなの。役者を技術で拘束しない人で、床にテープを貼ってここから動くなと言うような指示が一切ない。技術スタッフの方が私たちに合わせてくれるの。人工的なものが嫌いなので、ヘアメイクも一切なし。あなたの感情を出してください、それだけ。このキャラクターのためにあなた自身を投げ出す覚悟があるか、そう問われていると感じるわ。ちょっとどうかなというテイクを、“まあいいか”とそのままにすることがないの。女優が特別なものを出したときにだけOKが出る。だから、1シーンに1週間かかることも。アデルが初恋の相手エマと最初に出会うシーンでは、1日に100テイクほど撮ったわ」。

誰もが印象深く残るアデルとレアの初めてキスするシーンについては「1週間かけてようやくOKが出たのよ。ほかの監督では考えられない。1日で4~7シーンを撮るのが普通のリズムね。彼のやり方は、俳優たちがコントロールできなくなるような、自己忘我のようなところを求めるの。100%出し切っていないときは絶対にOKを出さない。俳優たちが、これはいいテイクだったと思っても、監督がOKを出すのは、それから100テイク後(笑)。五か月半の撮影期間、1テイクで済んだところは、1シーンだけ。自分の中でも、これはいいものが出せたと思えるところね。でも、そこはカットされちゃったけれど」。

また自身と同じ名前を持つ役柄については「私たちの世代で一番大事なのは自由であること」に共感できるとアデル。「彼女は沢山泣きますが、自由なの。自分のラブストーリーを最後まで諦めず、徹底的に歩んでいく。そのために自分自身がボロボロになることすら受け入れる、そんな女性ね」。

恋愛、愛に関するすべてが詰まっている本作。かつての恋愛を思い出す人、恋に憧れを抱く人、観る人の経験によって抱く思いは様々だろう。出演を通じて、アデル自身には愛に関して何か発見があったのだろうか。「ひと目惚れがあり得るんだと確信できたわ。初恋というものは、美しいものになるか、悲しいものになるかにかかわらず、忘れられない恋なんだということも。一目ぼれの経験? あるわよ(笑)」。

監督がはっきりと言及している、2人の女性の間に立ちふさがる社会的格差についてはどう考えているのだろう。
「撮影中、社会的格差については全く意識しなかったわ。私自身は、いくら階級が違っても、同じものを共有できると考えているから。私自身は、育った社会環境が違ってもそれを乗り越えられると思うし、同じ文化、同じ教育を共有していたとしても上手く行かないこともあると思う。人を愛するとは、その人をいったん受け入れたらすべてを受け入れ、問題が起きたら話し合い、関係を続けること。それは可能だと思うわ」。

これは、男女間の恋愛でも同じこと。「撮影中はレズビアンについては全く話題にならなかったの。それが、作品が発表され、レズビアンの物語だと言われてがっかりしたわ。レズビアンのセックスはあんなではないというコメントをした人もいたけれど、それもちょっと的外れだと思う。ただ、セックスシーンに気づまり感を覚える人がいるのはよく分かるわ。あれほど濃密なベッドシーンに長い時間を費やすのは珍しいことだから」。

衝撃的な愛情表現に戸惑う人もいるかもしれない。それでも、この作品は多くの人を惹きつけてやまない。
「このストーリーは本当に普遍的で、誰もが自己投影できる話だと思うの。周りの人たちも、こういう初恋の感情はよく分かると言ってくれたわ。役者にとっては嬉しい賛辞。そういってもらうために、私たちは映画を撮っているのよ」。

誰にでも覚えのある恋を題材とした本作は、観る者にとってはもちろん、出演したアデルにとってもとても特別な存在に。パルムドール受賞後、女優としての意識に何か変化はあったのだろうか。
「これまでにも出演作品は何本かあったけれど、私は目立たない存在だった。陰の存在だった私が、光の中に突如出された感じ。パルムドールを受賞したおかげで、様々なオファーが届いているし、女優として千以上もの扉が開いたという感じね。いままで以上に、演じるモチベーションも高まったわ。映画業界の中に自分の居場所を見つけるのはとても難しいこと。その第一歩を踏み出した気がするわね。もちろん、責任も重くなった気がするけれど(笑)」。
《text:Jun Makiguchi/photo:Nahoko Suzuki》

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