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【MOVIEブログ】4月7日~13日のつれづれ日記

またまた、つれづれ日記…

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またまた、つれづれ日記。

【4月7日(月)】
前回のブログで「衣装合わせ」なるものを経験したと書いたけれど、それはテレビ番組出演のためのもので、その収録が、本日。

1か月ほど前に、NHK ワールドさんから「新しい日本映画に関する番組を作るのだが、出演しませんか?」と打診があって、東京国際映画祭の宣伝になるなら基本的に何でも受ける姿勢の僕としては、喜んでお受けした…。のはいいのだけれど、なんと全編英語なのだ! いや、NHKワールドなのだから当たり前ではあるのだけど、改めて知らされると、これは本当にビビる!

僕はテキトーな日常会話や、それこそ映画祭の業務の遂行に必要な程度の英語は出来るけれど、いわゆる「軽妙なトーク」などは到底できない。日本語なら何とかごまかせるけど、英語となると全く話は別で、どうして引き受けてしまったのだろうかと、実は数日前から頭を抱えていた…。

が、まあとにかく先方がそれでもいいと言ってくれているのだし、僕から英語力をごまかして売り込んだわけではないのだ、と開き直ることにして、収録に臨んでみる。かっちりした台本があるわけではなく、ディレクターさんは、「堅苦しくなる必要はないので、司会のエレーヌさんと普通にトークしてくれればいいですからね~」とおっしゃるけれど、その「普通のトーク」が一番難しいっす…。

ちょうど一週間前の上映イベントで、杉野希妃さんとまさに「軽妙なトーク」が出来ていたその片鱗すらなく、日本映画の新作旧作に対する僕の英語でのコメントは、もう壊滅的にメッタメタ。言いたいことが全くスラスラと出てこない。一体、今自分の口から出ている言葉は意味を成しているのだろうか?と、とてつもなく不安になるのだけど、ディレクターさんは何故かOKを出してくる。本当?

言いたいことが言えていないのはまだマシなのだけど、言いたくないことを言ってしまっているような気がして、もうダメ。いや、そもそもオレに言いたいことはあるのか?とやがてはアイデンティティー・クライシスに陥ってしまう始末。

とにかく、この記憶は抹殺することにして、収録もなかったことにしよう…。と職場に帰って報告したら、「そんなのダメに決まっているじゃないですか。放映日決まったら大々的にアピールしますからねっ」と映画祭広報宣伝部の全員から総スカンをくらってしまった。やっぱりね…。そうなのね…。でもねえ、本当に電波に乗せる英語じゃないのだよ…。

でも、僕の英語力はともかくとしても、番組を作る現場の人たちは本当にえらいですね。収録は13時から20時までかかり、後半はセットに座ってボーッとしているだけの僕でさえくたびれたので、スタッフのみなさんのご苦労やいかに。必死に作っているみなさんの労に報いるためにも、僕個人のちっちゃい傷なんぞを理由に記憶を抹殺してはいかんですね。はい。精進します。

20時半くらいに収録場所を離れ、新宿方面に歩き、ぐったりしていたけれどこのまま帰るのもなんなので、新宿ピカデリーで21時20分から『ロボコップ』を鑑賞。

ビールにポップコーンを買ってみたら、新ピカのポップコーンのサイズが小さくなっていた! ショック! あー。新ピカの堂々としたポップコーンのサイズが好きだったのだけどな…。

ロビーで顔見知りの女優さんに遭遇。何を観るのですか? と聞かれたので、『ロボコップ』ですと答えると、びっくりされた。そう、僕は本当に何でも観たいのですよね。でも、毎回ビール買っているわけじゃないです!

【4月8日(火)】
火曜日は、朝から晩まで会議が多く入っている日なので、とにかく会議。新年度に入り、いよいよ今年の映画祭の準備が本格化するということで、いささか会議がピリピリしてきた…。

18時半に職場を出て、「独立映画鍋」のトークイベントを聞きに、渋谷のアップリンクへ。

「独立映画鍋」というのは、インディペンデント映画のネットワークで、趣意書によれば「インディペンデント映画に関わる製作から配給、宣伝、上映まで、あらゆる場面をサポートし、映画の多様性を守ることをミッションとして活動している」NPO法人のこと。土屋豊監督や深田晃司監督たちが中心となり、インディペンデントの映画作りに情熱と危機感を持った映画人たちが、とても実務に近い勉強会活動を展開している。僕はなかなか足を運べないでいるのだけど、今日は久しぶりに駆けつけてみた。

というのも、2年前の東京国際映画祭で受賞をした『タリウム少女の毒殺日記』について、実際の配給宣伝興行の実績を徹底的に分析しようというのが今夜の主旨で、スピーカーは土屋豊監督と、配給を担当し、そして上映劇場でもあったアップリンクの浅井さん。これは、聞き逃すわけにはいかない!

果たして、最近出席したシンポジウム系イベントの中で、断トツに聞きごたえのある、そして爆笑の中にシリアスが潜む、まるで良質の映画を見るような、素晴らしいイベントでありました。

実際の製作費用や宣伝費用を詳らかにしながら、興行成績がどうだったか、儲かったのか、損したのか、それともトントンなのか、結果に対する要因分析はどうなのか…、などが赤裸々に語られて、これは実に刺激的。浅井さんのトークが爆笑なのだけど、冷静にツッコミを入れる土屋監督の鋭さも見事で、ふたりの掛け合いはほとんど芸の域に達していた…。

けれど、もちろん、喜んでばかりはいられない。現実は、かなり、厳しい。興行成績の損益状態について、ここで触れることは控えるけれども、インディペンデント映画の興行が決してラクではない、ということくらいは書いてもいいでしょう。その現実を目の前に突き付けられた思いで、満席の聴衆も背筋を正したはず。

浅井さんの「インディペンデント映画の観客は東京にしかいない」という断定に、客席は唸り、実際に質疑応答時には「本当に地方に可能性はないのか」との質問が繰り返し出るほどであったけれど、「現実として駅前にも人なんかいないのだからどうしようもないではないか」とのダメ押しに誰も何も言えず。むむー。

時間が足りないとはまさにこういうことで、「映画鍋」は本当に有意義な勉強会を企画して素晴らしい。ヨコの連携がもっと強化され、筋肉質のインディ業界が育ちますように。本当に面白く、勉強になり、見につまされ、現実を直視した夜でした。映画鍋、いまさらではありますが、応援します。

【4月9日(水)】
久し振りにスーツにネクタイを締めて、東京税関へ。新橋からゆりかもめに乗ると、本当に観光に来たようで、仕事をする気がなくなってしまうので困る。天気もいいし、眺めが抜群。お台場で降りて遊ぶわけにもいかないので、がんばってテレコムセンターで降りて、税関へ新年度のご挨拶。

午後に戻り、3件会議。

夜は、仕事のDVDを見る。そう、仕事のDVDを見る季節が、今年もやってきたのだ。まだまだ慌てる時期ではないけれど、本当に今年も始まったのだ…。

【4月10日(木)】
18時に職場を出て、渋谷のイメージフォーラムへ。19時からの『コーヒーをめぐる冒険』をようやく鑑賞。評判どおり、とても素敵な作品で、見逃したらとても後悔するところだった!

新人のヤン・オーレ・ゲルスター監督は、「ドイツ映画を救った存在」というような呼ばれ方をしているらしい。フランスのギヨーム・ブラック監督とか、このゲルスター監督や、そこに日本の深田晃司監督を加えてもいいかもしれないけど、とにかく映画らしい映画を撮るセンスを持った若い監督がいることを知ると、映画の未来に希望が持てて心の底から嬉しい。

上記3人に共通するのは、ヌーヴェル・ヴァーグの影響を自らの血肉として、その感触を現代的に蘇らせ、映画の美と快楽を未来に繋げる才能を持っていることで、彼らがいるなら、この先も映画と付き合っていこうという気にさせてくれる…。

続けて同じイメージ・フォーラムで、21時15分から『シネマ・パラダイス・ピョンヤン』を見る。北朝鮮の映画演劇学校を描くドキュメンタリーで、見る者としては様々なレベルでの映像リテラシーを試されるのがとても面白い。表面を見つつ、裏を想像し、そして行間を読む。このような鑑賞体験はなかなか出来るものではない。シンガポール人が監督というのも、興味深いところ。

【4月11日(金)】
今日も18時過ぎにいそいそと職場を出て、新宿へ。シネマート新宿にて、『ブライアン・ウィルソン ソングライター ~ザ・ビーチ・ボーイズの光と影~』を鑑賞。上映前のトークショーが、なんと萩原健太氏と鈴木慶一氏! これは素晴らしい組み合わせだ!

僕は決してビーチ・ボーイズの熱心な聴き手ではなかったけれど、それでもアルバムはかなり持っているし、もちろんブライアン・ウィルソンは神様のひとりだと思っている。この作品の長さは実に190分あるのだけれど(途中に休憩あり)、60年代のブライアンの苦闘をあますことなく描いて、全く飽きることがない。

終わって23時。もう語りたいことがヤマのように出てくるので、一緒に見に行った職場の同僚と新宿3丁目の「池林房」で痛飲。気がついたら1時半で、とっくに終電なし。ああ、ブライアン…。

【4月12日(土)】
少し掃除などして、8キロランニングしたあと、仕事のDVDを終日鑑賞。6本ほど連続で見てぐったりしたので、銭湯行って、おとなしく就寝。

【4月13日(日)】
朝は8キロランニング。

午後は赤坂に行き、立川志らく師匠と、俳優の相島一之さんとの変則落語会へ。相島さんとは、数年前にCSの映画番組でご一緒したことがあり、その後相島さんがブルース好きで落語好きということを知り、他人とは思えずもっとお近づきになりたいと思っていたところ。僕も大好きな志らく師匠との会ということで、これは逃すわけにはいかないのだ。

相島さんは「洋装で一人称」という独自の落語的語りを開拓中で、さすが役者の迫力で「堀の内」を一気に熱演。「一人芝居」と「落語」の間を攻める果敢な試みに大いに刺激を受ける!

そして志らく師匠は絶品の「親子酒」。昨年のよみうりホールでの「親子酒」は歴史に残る最高の出来栄えとして僕の記憶に刻まれているけれど、もう志らく師匠の鉄板のネタになっているのだな。今日も連続で爆笑を誘い、いやあ素晴らしい。

その後六本木に移動して、森美術館のアンディ・ウォーホル展へ。国内史上最大の回顧展、という宣伝文句に偽りが無く、かなりの規模だ! プレスリーやモンローやジャッキーに囲まれて、とてもドキドキして幸せな気分になってくる。ずっと昔にMoMAで見て引きずりこまれた「Orange Car Crush 14 Times」が来ていなかったのが唯一残念だったけれど、初めて見た作品もとても多く、時間を忘れて没頭する。

それにしても、金曜日のブライアン・ウィルソンから60’s気分が続くなあ。 でも、ウォーホルを見て、ビーチ・ボーイズとヴェルヴェッツを聴いてしまうと、ロックもポップも60年代以降に新しいものなんて何も無いじゃないかと改めてうそぶいてしまいたくなる…。が、そこで「模倣の何が悪い」というウォーホルのメッセージをそのまま受け止めると、思考がグルグルと空回りを始め、とても楽しい。

たっぷり2時間滞在して(もっといてもよかったくらい)、充実し過ぎのショップで興奮してしまった結果、Tシャツやマグカップなどを購入して、楽しい週末はおしまい。
《矢田部吉彦》

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