【MOVIEブログ】2014カンヌ映画祭 Day6

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19日、月曜日。晴れが続いたカンヌ、ついに今日は雨!とはいっても小雨なので大したことはないけれど、気温は20度に届かないので結構寒そう。ということでカッパを着込んで、今日も7時半に会場へ。

本日1本目は、9時からコンペの『FOXCATCHER』というアメリカ映画。監督は、フィリップ・シーモア・ホフマンにアカデミー賞主演男優賞をもたらしたことで歴史に残る『カポーティー』のベネット・ミラー。主演はチャニング・テイタムにマーク・ラファロ。

84年のロス五輪のレスリング競技で共に金メダルを獲得した兄弟をめぐるドラマで、実話だとのこと。弟はコーチ役でもある兄に依存気味で、彼に自立をそそのかす大富豪の元でトレーニングを積むことになるが…、という物語で、富豪役がとても気持ち悪くていい。実話と聞くと驚くばかりの展開で、テイタムもラファロも本物のレスリング選手にしか見えないほど素晴らしいし、作品全体も淀みなく進行する手堅い作りで、なかなか見応えあり。

11時に上映終わり、直ちにミーティングへ。そして、マーケット会場内で1件ミーティングを終わらせると、なんとカンヌを訪れている長澤まさみさん(初日にカーペットを歩く様子が日本で報道されていたようですね)にご挨拶する機会があり、そのあまりの素敵さにしばし呆然。

クラクラしながら、次の待ち合わせ場所へ向かい、5件ミーティング。

本日のミーティングが無事に終了し、15時からの「ある視点」部門の上映を見ようと14時15分に会場に着いてみると、なんだか猛烈にぐちゃぐちゃに混雑している。ああこれは無理かと思ったら、なんとか滑り込むことが出来て、見たのはスウェーデンのルーベン・オストルンド監督による『Turist(Force Majeure)』(写真)。

前作『プレイ』がそうであったように、人間心理の弱い所を容赦なくグリグリ責めてくる作風は本作でも健在。とにかく状況設定が素晴らしい。ハネケほどの極端に走らず、日常生活で我々にも容易に起こり得る設定から危機的状況を練り上げてくるので、見ていて本当にシャレにならない。本作は、ある出来事によって父親の信用が徹底的に崩壊してしまうことから来る家族の苦難を描く内容で、会場はブラックなユーモアと受け止めて笑う人と、他人事ではないと思い詰めて画面を凝視する人とに別れ、異様な雰囲気に包まれた…。

続けて17時半から、同じく「ある視点」部門で、アルゼンチンの鬼才イサンドロ・アロンゾ監督の新作『Janja』へ。やはりイサンドロ・アロンゾは、煮ても焼いても食えない…。架空の理想郷(なのかな?)で、騎兵隊の格好をした将校(ヴィゴ・モーテンセン)が、さらわれてしまった娘を探して、岩だらけの荒涼とした地をさまよう物語。極めてミニマルなアート作品で、監督の個性を楽しめるかどうかで決定的に評価が分かれてしまうであろうタイプの作品。僕は、堪能。

上映が19時に終わり、小走りで別会場へ。向かったのは、20時からの「批評家週間」部門で、イスラエルの『The Kindergarten Teacher』という作品。幼稚園の女の先生が、天才的な詩を詠む5歳の少年の才能に執着していくうちに、徐々に自分を見失ってしまう物語。設定は興味深いのだけれど、いささか技に溺れたきらいもあって、僕はあまり入り込めず。楽しみにしていただけに、少し残念だ…。

ちなみに、「批評家週間」は、長編監督作2本目までが参加資格の部門で、カンヌにおける新人発掘部門という位置づけ。なので、作品が多少は荒削りであったり、少し物足りない印象を受けたりしても、足を運んで後悔をすることは全く無い。

そして続けて22時半から、同じく「批評家週間」で、『When Animal Dreams』というデンマークの作品。これは内容を言うとネタバレなので書かないけれど、アート系のジャンル映画。デンマークの港町の、暗くてどんよりとした空模様がとても映画的で美しく、効果的。展開にさほど新鮮味があるわけではないけれど、90分にきっちりとまとめ、ジャンルものながらアート色もしっかり打ち出して、新人としては上々の出来栄えと言っていいのではないかな。

上映終わって0時。さっきまで小雨が降ってかなり寒かったのだけど、夜中になって意外なことに寒さがやわらいだ。明日は暖かくなるかな?

ああ、今日は朝から何も食べていないなあ、つまりは通常のカンヌモードに戻ったなあ、とボヤキつつ、宿に戻ってビール飲んで(失礼)、ブログ書いて、1時半。ダウンです。
《矢田部吉彦》

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