【インタビュー】ひとりの少年の笑顔に救われる…フランス発の感動作『グレート デイズ!』

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ニルス・タヴェルニエ(監督)&ファビアン・エロー(主演)/『グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子』
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人生の中で、悲しくて泣くのではなく嬉しくて泣いてしまう、感動して泣いてしまう、そんな映画にどれだけ出会えるだろう。フランス映画『グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子』は、その貴重な1本になるであろう映画。頑固で無器用な父親と反抗期の車椅子の息子が、トライアスロンの中でも最難関と言われる“アイアンマンレース”に挑み、親子の絆を再生していく物語だ。

ニルス・タヴェルニエ監督がこの映画を撮ることになったきっかけは、ドキュメンタリー作品の製作のために精神内科病院を訪れたことだった。重度の障害を抱えながらも、生きるエネルギーに満ちた子どもたちと出会い、車椅子の青年を主人公にした映画を作ろうと決意する。けれど、主人公のジュリアン役は実際に障がいを持つ青年を起用すると決めていたことによって、キャスティングは難航。5か月かけてフランスにある170の施設を訪問し、ファビアン・エローという逸材にたどり着く。ファビアンと出会うまでは「とても長い道のりだった」と監督は語る。

「オーディションでジュリアン役を見つけるのは大変だった。というのも、僕がジュリアン役に求めたのは──イケメンでチャーミングでポジティブあること、賢さ、戦う意欲、そして役者の仕事に努力を注いでくれる青年。それだけの資質をすべて持った人材はそういないからね。200人ほどの少年に会って、ようやくファビアンを見つけた。彼に出会えたのは本当にラッキーだったよ」。

ファビアンの運動療法士が「応募してみたらどうか?」とオーディションをすすめてくれたことが、そもそものきっかけだったそう。
「だから、僕に決まったと聞いたときは冗談かと思ったんだ。最初は楽しいことができるならと軽い気持ちだったしね(笑)。でも、監督が僕を選んでくれたことに浮かれてはいけないと思ったし、もっと努力をして成長しなくてはって思ったんだ」。そんなふうに当時の自分の気持ちを語るファビアンと、本作で演じたジュリアンが自然と重なって見えてくる。2人はどれくらい似ているのだろう? 少しハニかみながらジュリアンという役を説明する。

「最初に脚本を読んだとき、僕自身の経験と似ているところがあるなって思ったんだ。健常者と同じように自立したくて普通高校の工学科に通ったし、周りの人たちに反対されたけど自動車免許も取ったことがある。それってジュリアンと同じ経験だと言えるよね。自分が“こうするんだ!”と決めたら徹底してゴールに向かって頑張るところは似ているかもしれないし、そういうところをジュリアンのキャラクターに注げたと思う。ただ、難しかったのはお父さんとの対立だね。僕自身はあまり怒らない性格だから…お父さんと言い合うシーンは自分ではない自分を出さなくてはならなかったんだ」。前向きで、努力家で、優しさにあふれているファビアン。監督が彼に魅せられたのも納得だ。

とは言っても、いくら演技とはいえ、父と子の2人でスイム3.8km、バイク180km、ラン42.195kmを完走するのはどう考えても過酷だ。しかしながら、父・ポール役のジャック・ガンブランとファビアンは実際のアイアンマンレースに参加してスタートシーンを撮影している。そのときの2人を監督は「本当に素晴らしかった」と称える。

「あの時は、たくさんのアスリートに囲まれていて、その中で2人は内からみなぎってくるパワーを受け止めて、それを感情として出してくれた。これまでの自分の人生にないものを探り出してスクリーンに提示する、本当の役者の資質を発揮してくれた」という言葉を受け、ファビアンも「演技をすることは僕にとって発見の連続、違う人物になることをすごく楽しむことができた。演じている役になりきって、役と自分が融合していく感覚はものすごく楽しかったよ」と声を弾ませる。

もう一つ、監督が印象に残っているシーンとして取り上げたのは、自転車で坂道を下っていく疾走感あるシーンだ。両手を広げて体いっぱい風を感じる父・ポールとジュリアンの笑顔、その背景にあった苦労を監督が明かす。

「実は、撮影ギリギリまで彼らにやってもらうかどうか迷っていたんだ。でも、ロケ現場でファビアンとジャックがとても楽しそうに2人で自転車に乗っている姿を見て、もしかしたらいけるんじゃないか…と思った。もちろん、ものすごいスピードとスリルに圧倒されるあのシーンを撮るまでには、周到な準備をして、何度もリハーサルを重ねて、安全性も確かめた。少しでもファビアンが違う動きをしたらバランスが崩れてスリップしてしまう危険があったけれど、2人が全幅の信頼を寄せて信頼しあって一体となったからこそ、急な下りの坂道であれだけのスピードを出せたと思う。本当に素晴らしいシーンなんだよ」。頑固だった父が心から笑い、反抗期だった息子も心から笑う、壊れかけていた親子の絆がふたたび繋がる瞬間でもあり、胸が熱くなる。

いくつもの感動シーンを経て、父のポールからは家族と向き合う力を、ジュリアンからは決してあきらめない力を教わり、クライマックスには嬉しい涙、感動で流れる涙に包まれることだろう。

そして、監督は言う「人生はいつでもやり直しがきくんだ、ということを伝えたかったんだ」。
《text:Rie Shintani》

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