パトリス・ルコントが語る“映画作り” 「女優と恋に落ちるのは最低限、必要なこと」

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フランスの名匠パトリス・ルコント(監督)&柴崎友香(作家)/『暮れ逢い』トークイベント
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フランスの名匠パトリス・ルコントが新作『暮れ逢い』の公開を前に来日。12月3日(水)、監督の作品の大ファンで、今年7月に「春の庭」で第151回芥川賞に輝いた作家の柴崎友香とのトークイベントが都内で開催された。

池田理代子の「ベルサイユのばら」に多大な影響を与えたといわれる歴史小説を手掛け、『グランド・ブダペスト・ホテル』のウェス・アンダーソン監督も同作において影響を受けたと公言するオーストリアの作家ツヴァイクの短編を映画化。大富豪の秘書を務める青年と大富豪の若き妻の道ならぬ恋、第一次世界大戦に翻弄されていく彼らの運命を描き出す。

幾度となく新作を携えて来日しているルコント監督だが「なかなか僕の日本語は上達しなくて…。電話に『もしもし』と答えるのは知ってるけど、使う機会がない」と語り、冒頭から笑いを誘う。

柴崎さんは「高校生のときから監督の映画を観てました」と語り、ヴァネッサ・パラディ主演の『橋の上の娘』や「男性同士の友情が好き!」という『列車に乗った男』などお気に入りの作品を伝え「ここにいるのがまだ信じられないです…(笑)」と緊張した面持ちで語る。

柴崎さんはこの『暮れ逢い』における、登場人物たちの眼差しが印象的だったそうだが、監督は自身の撮影スタイルとして「ファインダーを自分でのぞき、自分でカメラを回します。映画の中の人物になった気持ちで撮っているのです。実はそういう監督はフランスでもまれらしいですが、僕はこのスタイルが好きだし、役者もまた自分の演技を監督に見られるのを好むもので、そこで“共犯関係”が出来るのです」と説明。柴崎さんは「監督の作品はいつも人物に見つめられているような気持ちになるんですが、(カメラを通じて)監督と視線が通じ合っていたんですね」と納得したようだった。

柴崎さんはまた、ほんのわずかしか出てこない登場人物も含め、本作のいずれの俳優も素晴らしいと称賛を送る。特にこれまでフランスを舞台にフランス人俳優を起用することが圧倒的に多かったが、今回の英国人俳優陣との出会いは監督も「目を瞠らされた」という。特に大富豪を演じたアラン・リックマンについて「実は、アランのことは知りませんでした。『ハリー・ポッター』を観てないので…。だから英国人のキャスティング・ディレクターに『次はアラン・リックマンと会ってください』と言われて、知らないのに『それはいいね』と言ってたんです(笑)。さすがに会う前にiPhoneで調べて『あぁ、彼なら知ってる!』と気づいたんですが、そこからの出会いはもちろん、人間としても非常に素晴らしかったです。ここからは、僕のうぬぼれ話として聞いてほしいのですが、最初、彼はここ2年ほど大作に出続けていて疲れていたのですが、脚本を読んで気に入ってくれて『あなたの作品は好きだし出るよ』と言ってくれたんです。撮影後の打ち上げでは、僕を強く抱きしめ『忘れかけていた映画への情熱をあなたが思い起こさせてくれた』と言ってくれました。以上でうぬぼれの時間はおしまいですが(笑)、僕にとってはどんな勲章よりも嬉しい言葉でした」と落ち着いた口調の中に喜びをにじませる。

柴崎さんの「女優を選ぶときや撮影するときにどこに注目しているのか?」という問いには「ひと目ぼれです」と語り「自分が(登場人物に)恋していなくては感動する映画は撮れません。自分が撮っている女優と恋に落ちるというのは最低限の義務なのです」と言い切った。

長編映画デビューかちょうど40周年を迎えるが、最初の現場のことを覚えているかと尋ねられると「全くうまくいかなかったので、よく覚えています(苦笑)。『キツすぎてこの仕事はやっていけないかも…』と思いました」と述懐。それでも続けられたのはなぜか? という柴崎さんの問いに「映画を撮ることは昔からの夢であり、あきらめられず、夢を見続けたかったんです。2作目が幸運なことに大ヒットし、そこからは羽が生えたように好調でいまに至ります」と笑う。

観客からは、以前、監督がインタビューで「あと3本で引退する」と語ったことについての質問が飛んだが「まだ撮り続けますよ」と語り、ファンを安心させる。その上で「でも、いいタイミングでやめようとは思ってます。映画が僕の前から立ち去る前に、僕の方が映画から去ろうと考えています」と語った。最後にファンに向けて「あなたの人生において、一瞬たりとも恋に落ちることをためらわないでください」と呼びかけ、会場は温かい拍手に包まれた。

『暮れ逢い』は12月20日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国にて公開。
《text:cinemacafe.net》

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