【MOVIEブログ】2016ベルリン映画祭 Day2

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【MOVIEブログ】2016ベルリン映画祭 Day2
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12日、金曜日。6時半起床、8時に外へ出ると、快晴! くっきりと晴れた冬の青空で、これは気持ちいい! 最高の気分でマーケット会場に行ってチケット確保を済ませ、メイン会場へ。

本日は9時からコンペ部門のプレス試写からスタート。僕のような(プレス登録ではない)マーケット登録者も一応見られることにはなっているのだけど、プレス登録者が優先なので、しばらく列に並んでからの入場になる。システムが変わることがあるので、ちゃんと入場できるのか映画祭の最初はいつも不安なのだけれど、問題なく良い席が確保できて、ひと安心。今年も例年通りのペースで進められそうだ。

ということで、コンペの1本目はチュニジアの『Hedi』という作品。仕事にヤル気を出さず、マンガを描くことだけが楽しみの25歳の内気な青年が、抑圧的な母親の干渉に耐えながら、自分の人生の本当の意味を見出していく物語、と要約してもいいかな。設定に既視感は拭えないものの、チュニジアの地方都市という馴染みの薄い土地が醸し出す空気に独自性があり、見応えはある。ダルデンヌ兄弟がプロデューサーにクレジットされており、なるほど底辺で生きる人物の内面に寄り添うキャメラに、ダルデンヌの影響が伺える…。

続けて、12時からまたコンペ作品のプレス試写。ちょっと気が早いかな…、と思いつつ1時間前から並んでみると、マーケット登録者は僕を含めて十数名しか入れなかったみたいで、ギリギリセーフ。危なかった! 毎年そうだけど、12時のプレス試写はマーケット登録者にはなかなかリスキーだ。

見たのは、ジェフ・ニコルズ監督新作の『Midnight Special』。マイケル・シャノン主演で、共演にサム・シェパードやキルステン・ダンストなど。これは日本公開はあるのかな? 可能性はもちろん大なので、あまり内容は書かないほうがいいかもしれない。『テイク・シェルター』や『MUD-マッド-』で、暴力的な自然や南部の土着的な空気と人間との関係を独自の語り口で描いてきたジェフ・ニコルズが、さらに一歩踏み込んだのは、シャマラン先生の世界だった…。って、これだけでネタバレか。とにかく、特殊能力を持つ少年と、その周辺の大人たちを巡るドラマで、ジャンル分けが困難。びっくりしながら楽しんでみられつつ、若干の不満点も残しつつ…。いや、面白いのだけど。うん。

14時に終わり、マーケット会場に移動して、ミーティングを3件。今日のミーティングは少なめで、16時半からまた上映へ。

16時半から、「フォーラム」部門の一般上映で、ミャンマーのMidi Z監督の新作『City of Jade』。ミャンマーの地味な(失礼)ドキュメンタリー作品なのに、300人はゆうに入る会場がぎっしり満員で、圧巻だ。やっぱりベルリンはすごい。とはいえ、ミャンマー出身で台湾をベースに活動するMidi Z監督は、国際映画祭では既に注目の存在で、会場が満員になるのはベルリンでは当然のことなのかもしれない。

監督が自分の兄を撮る、いわゆる「セルフ・ドキュメンタリー」。兄は麻薬使用で服役していたが、大統領選挙に伴う恩赦で釈放され、20年間働いていた翡翠を採掘する鉱山での仕事に戻っていく。映画は、兄が何故アヘン中毒になってしまったのか、そして翡翠採掘現場はいかなるものなのかを追っていき、見たことのないミャンマーの黄色い岩山をひたすら掘り、一獲千金を夢見る労働者たちの姿を映し出す。そこにミャンマーの政情も重なり、見事な社会派ドキュメンタリーにもなっていく…。んー、この展開はとても上手い。そしてスケールが大きい。淡々と進行するシーンのリズムがとても「映画的」で心地よく、編集のセンスの非凡さは明らかで、あらためてMidi Z監督の才能の深さを感じさせる。アジアで最も注目すべき若手の才能のひとりであることは間違いない。

続いて19時10分から、「フォーラム」部門のフランス映画で、ギヨーム・ニクルー監督新作の『The End 』(写真)。ギヨーム・ニクルーは、僕が知る限りまだ日本では未紹介のはずで、しかし現在のフランス映画界で最も旬で、刺激的な存在のひとり。2年前のベルリンでは、人気作家のミシェル・ウェルベックの(実際にあった)失踪事件をフェイクドラマで再現した作品で評判を呼び、昨年のカンヌでは、ジェラール・ドパルデューとイザベル・ユペール共演の夫婦ドラマでコンペ入りを果たし、毎回全く異なる作風で観客を煙に巻いている。

今回の新作も、なんというか、ストレートな変化球。ジェラール・ドパルデュー扮する男が、狩りに出かけた森の中で迷ってしまう、というシンプルな物語。しかし、メタファーが張り巡らされ、明快な答えは用意されない。ただ、ある意味難解な作品ではあるけれど、不条理ではなく、人生と折り合いをつけなければいけない老年の心境を見つめる普遍的なテーマを潜ませた作品であるかもしれない。いや、分からないけれど。とにかく、ドパルデューの巨体が森をさまようという、その姿を見るだけで映画の魅力は確約されたようなもので、森と肉体の神秘が溢れる甘美な作品を、僕は心から堪能。ギヨーム・ニクルー、まとめて特集上映を組みたいものだなあ。

ちょっと時間が空いたので、20時半に軽く食事。愛してやまないソーセージ屋さんがもう閉まっていたので、ショッピングモールの中のアジアン料理店でやむをえず「チキン・ヤキソバ」。残念。

22時から、コンペ部門の一般上映で、カナダの鬼才ドゥニ・コテ監督新作『Boris Without Beatrice』へ。ドゥニ・コテ監督も常々注目している監督のひとり。東京国際映画祭では、2012年にドキュメンタリーの『檻の中の楽園』を上映しているけれど、今回はフィクション長編。経済的に成功している裕福な男が、自らの傲慢さと対峙することになる物語。空間を活かした画面作りを僕は堪能したものの、ドラマ自体にフックが足りないというか、いささか思わせぶりが勝ってしまい、どことなく掴みどころの足りない出来になってしまっていた…。んー、これは少し残念。

0時半にホテルに戻り、上手く感想が整理出来ないままブログを書いて、そろそろ2時。いつもの映画祭のペースだ! ということで、殴り書きでごめんなさい。推敲もせず、このままアップしてしまいます。これもライブということで! おやすみなさい!
《矢田部吉彦》

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