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【MOVIEブログ】2016カンヌ映画祭 Day12

22日、日曜日。いよいよ最終日! 4時半就寝の7時半起床で、さすがにヨロヨロしながら最後の気合を総動員して8時に外へ。朝のキリッとした空気を吸い込んで、元気100倍。

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22日、日曜日。いよいよ最終日! 4時半就寝の7時半起床で、さすがにヨロヨロしながら最後の気合を総動員して8時に外へ。朝のキリッとした空気を吸い込んで、元気100倍。

最終日の今日は、コンペ全作品の再上映が行われる。見逃した作品をキャッチアップするのに便利なのだけど、上映スケジュールが直前にしか分からないので、前もって予定が組めないのが痛いところ。でも今年は何とか未見の作品の上映時間が被っておらず、最終日を有効に使えそう。

9時から、ルーマニアのクリスティ・プイユ監督の『Sieranevada』へ。映画祭序盤から賛否が分かれていたようだけど、僕は大いに堪能。

親族が一同に集まるクリスマスの1日の出来事を描く内容で、自然光や長廻しを駆使した、これぞルーマニア・タッチのリアリズム演出。世界を席巻したルーマニア映画が得意とする究極の形だ。決して広くは無い家の中で15人を超える人々が部屋から部屋へと移動し、延々と会話を繰り広げる。誰と誰がどういう関係なのかしばらくさっぱり分からないのだけど、1時間を越えるあたりでようやく事情が見えてくると、そこからは至福の映画体験が待っていた!

家族の形を問う内容でありつつ、民主化後のルーマニアに対する世代間の考え方の違いなどを盛り込み、突如勃発する不慮の事態のアイディアもキレがあって、実に奥が深くて面白い。ムンジウがルーマニア・タッチから遠ざかることで進化を図っているのに対して、プイユはスタイルの純化に向かっている。そして両者ともに家族の問題に社会性を盛り込む企図が共通していて、コンペのルーマニア2作品の比較は実に興味深い。

続いて、フィリピンのメンドーサ監督新作『Ma Rosa』へ。マニラの貧困地区で奮闘する肝っ玉母さん(ちょっと違うかも)ローザの物語。メンドーサの自在なタッチが冴えて、これもとてもいい。

上映終わり、中華系ランチを軽く食べ、夜に備えるべくホテルに帰って1時間ほど昼寝。

初の昼寝で元気回復して、17時半からニコラス・ウェンディン・レフン監督新作『Neon Demon』へ。エル・ファニング扮する天才的新人モデルが、異常なロスのファッション界に飲みこまれていく物語。いや、物語を追うよりは、レフンのド派手な映像感覚を楽しむ作品で、モダンアート的に見応え十分。

これにて、今年のカンヌでの鑑賞は終了! いよいよ受賞式へ。

このブログがアップされる頃には受賞結果は明らかになっているだろうから、ここでは列挙しないけれど、結論から言うと、昨夜の僕の予想は壊滅的惨敗を喫した!

パルムドールのケン・ローチは、自分の予想には挙げなかったものの、鑑賞時の感動を思い出すと、納得だ。ストレートな社会派であるということでも、そしてケン・ローチ最後の作品になるかもしれないことからも、予想してしかるべき作品だったのかもしれない。これは素直に祝福!

そのほかの総括はまた改めて書くとして、本命視されたドイツの『Toni Erdman』の無冠は驚きだったし、我がジャームッシュの無冠も、無念。圧巻の『Elle』も無冠…。今年はユペールに取らせたかった! けれど、マニラのお母さん受賞は、これはこれで嬉しい。しかし隠れた評判作の『Aquarius』も無冠。んー、この結果はじっくり分析してみよう…。

21時から同僚と合流して、打ち上げ的に夕食。満腹になり、ワインも飲み、有終の美を飾りました。

ホテル戻って1時。今年も体調万全のまま全期間を乗り切ることが出来て、充実のカンヌでした。明朝は6時起きで、10時ニース発の便で帰国します。連日のダラダラとした日記ブログに付き合って下さったみなさま、ありがとうございました。おつかれさまでした!!
《矢田部吉彦》

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