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『ファインディング・ドリー』の世界ができるまで

シネマカフェが実施した現地取材レポート第5弾では、『ファインディング・ドリー』の舞台のデザインに関わった2人のアーティストのインタビューをお届けする。

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『ファインディング・ドリー』コンセプトアート - (C) 2016 DISNEY / PIXAR.
『ファインディング・ドリー』コンセプトアート - (C) 2016 DISNEY / PIXAR.
  • 『ファインディング・ドリー』コンセプトアート - (C) 2016 DISNEY / PIXAR.
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  • 『ファインディング・ドリー』でセット・アートディレクターを務めたドン・シャンクとシェーディング・リードを担当したロナ・リュー/撮影:Kaori Suzuki
  • 『ファインディング・ドリー』でセット・アートディレクターを務めたドン・シャンクとシェーディング・リードを担当したロナ・リュー/撮影:Kaori Suzuki
  • 『ファインディング・ドリー』でセット・アートディレクターを務めたドン・シャンクとシェーディング・リードを担当したロナ・リュー/撮影:Kaori Suzuki
  • 『ファインディング・ドリー』でセット・アートディレクターを務めたドン・シャンクとシェーディング・リードを担当したロナ・リュー/撮影:Kaori Suzuki
  • 『ファインディング・ドリー』でセット・アートディレクターを務めたドン・シャンクとシェーディング・リードを担当したロナ・リュー/撮影:Kaori Suzuki
  • 『ファインディング・ドリー』シェーディング・リードを担当したロナ・リュー/撮影:Kaori Suzuki
次に、「コンテクスト・ペインティング」と呼ばれる行程で、デザインするセットの具体的な長さや高さ、幅など、機能的なデザインについて監督や撮影監督らとの話し合いが行われた後に、具体的に映画のシーンの中でどのようにその場面が見えるのかが描かれていく。また、ここで照明が与えるセットへの影響や、描かれるセットの素材がどのように見えるかなどについても議論が交わされる。ディズニー/ピクサーの映画で描かれる舞台は、ワンシーンの中で、キャラクターたちが動き回る背景として必要な分だけが描かれるだけではなく、監督の要請や新たなアイディアに対応するために、そこに実際にカメラを入れて、どんなカットが撮れるかがシミュレートすることができるように、リアルな空間的な広がりのある舞台として描かれていくのだ。

さらに、ドンに続きロナから「カラー・スクリプト」についての説明が行われた。あらゆるデザインに対して一旦監督の承認が下されると、ロナたちシェーディングのスタッフによって、デザインされたセットに色や質感が加えられていく。「カラー・スクリプトの主な目的は、そのシーンのムードを確立することです。そのために、照明はどんな色で、どこに照明が置かれているのか、その照明の強さはどれくらいか、という情報をデザインしていきます」。その後、粘土で図形を作るクレー・スカルプチャーが舞台模型を作成し、それをもとにコンピュータ上で3Dモデラーが作成され、そこにペインティングが施されていくという。そこでも、ストーリーの中を生きるキャラクターたちとの感情的な結びつきを忘れないのが、ディズニー/ピクサーのクリエイションだ。「キャラクターたちは生命に満ち溢れているので、環境も生きているというように感じてもらいたいんです。だから、光が通ったり、カメラがパンする時、これらのキラリとした輝いた金色のものが見える。このエリアに命を吹き込むためです」。

「多分、スクリーン上にこの部屋自体が出てくるのは3秒だけだと思います」。仕上げられたセットの画像が映し出された画面を眺めながら、ドンは話す。「でも、もし映画の中のすべての部分のために、これらの作業を全部やらなければ、ストーリーから気持ちがそがれたりするんです。そういうことは出来ません」。たった数秒しか出番がないセットだったとしても、決して手を抜くことがないその姿勢を、なんてことないように語るドンとロナの姿には、なんとも眩しい思いがした。

「ここでやっているすべてのことは、常にストーリーをサポートするということです」。これまでの現地取材レポートでも、ディズニー/ピクサーの最先端の技術によるクリエイションの行程を見てきたが、それらがある種の技術的なプレゼンテーションに終始してしまう描写になることを、ディズニー/ピクサーは徹底して否定し続けている。あくまでそこにはストーリーとキャラクターがあり、それらにいかに生命を与えるかということ、それがアニメーションスタジオとしての彼・彼女たちの至上命題なのだ。それが見失われることは決してない。「そこでキャラクターが何をしていて、それがセットにどのように影響しているかということを考えるんです。僕らはいつもストーリーについて考えています。すべてが関連していますからね」。

『ファインディング・ドリー』で描かれるあらゆる世界は、一見してとにかく美しいものばかりだ。海の中に漂う細かな塵や、海底に差し込む光の揺らめき、さらに海洋生物研究所内の精緻な描写に至るまで、それらはあくまでストーリーの裏側の役目を果たしながらも、ふとした時に私たちの目を奪うほどの存在感をも発揮している。魅力的なキャラクターに感動的なストーリーはもちろんだが、それらを包み込むセットにも、ぜひ注目してみて欲しい。ディズニー/ピクサーが描きたい美しさが、そこには感じられるはずだ。

『ファインディング・ドリー』は、全国にて公開中。

協力:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
《シネマカフェ編集部》

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