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【インタビュー】橋本愛×ユースケ・サンタマリア “父娘”が語る映画の裏側

亡き母から、誕生日ごとに届く10通のバースデーカードを通して、母の愛、子への想い、そしてそれを受け取る子どもたちの成長を、温かい視点で描いた家族愛の物語…

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橋本愛×ユースケ・サンタマリア『バースデーカード』/photo:Nahoko Suzuki
橋本愛×ユースケ・サンタマリア『バースデーカード』/photo:Nahoko Suzuki
  • 橋本愛×ユースケ・サンタマリア『バースデーカード』/photo:Nahoko Suzuki
  • 橋本愛『バースデーカード』/photo:Nahoko Suzuki
  • ユースケ・サンタマリア『バースデーカード』/photo:Nahoko Suzuki
  • 『バースデーカード』(C)2016「バースデーカード」製作委員会
  • 『バースデーカード』(C)2016「バースデーカード」製作委員会
  • 橋本愛『バースデーカード』/photo:Nahoko Suzuki
  • 『バースデーカード』(C)2016「バースデーカード」製作委員会
  • 『バースデーカード』 -(C)2016「バースデーカード」製作委員会
橋本:実は最初の脚本を読んで、結婚相手がこういう男性では、とても好きになれないという、わがままも言いました(笑)。

ユースケ:そうなの! 中村蒼くんが演じた相手役の立石純くん、愛ちゃんの意見でああいう素敵な青年になったんだ。だって、父親としてアイツだったら娘をとられてもしょうがないもん。まあ、それでも嫌だけど(笑)。

亡き愛妻の忘れ形見にして、男手ひとつで育て上げてきた愛娘。幸せを願っているけれど、本心では嫁にやりたくないという父の複雑な親心を、ユースケさんは見事に表現している。

ユースケ:実は、不思議なくらい葛藤があった。僕、けっこうドライなほうなんだけどな。作品を観てびっくりしたのは、紀子の結婚式のシーン。バージンロードで娘を花婿に渡した後、幸せそうにしている新郎新婦の後ろで、僕がすごく苦しそうな顔をしてるの(笑)。あんな顔をしてるつもりなかったんだよね。ちょっと微笑んでいるぐらいのつもりだったのに。監督から、“紀子がついに嫁に行くというシーンですから”と念を押されていて、どっぷり入り込んでいたら、あんな顔になっていて。すっかり寂しい父親になっていました。僕としては、珍しいくらい。

橋本:私も自然に紀子になっていましたね。脚本が完成する過程も観てきたこともよかった。すぐれた脚本だったので、人と人との会話がちゃんと成り立っていたし。脚本からキャラクターの声がきこえてきたから、その声を代弁して喋っていたという感じですね。こんなときに女の子はこうするということが、とてもよく描かれていたんです。それに、撮影当時、私自身が19歳だったので、同じ年代の紀子はとても親しみが持てたし、年齢による変化もよく分かったから、無理やり納得できないところを力技でもっていったというシーンはひとつもないですね。

ユースケ:完成した脚本を現場で大幅に変えることはなかったけれど、ちょっとした言葉を付け足したり、語尾を除いたりとか、そういうちょっとしたことはあったよね。ただ、それが許されていたのは有難かった。たかだかひとことの違いでも、これでこのシーンは完成した、と思える理由になるものだから。そういうところからも、監督が俳優を尊重し信頼してくれていたのは分かった。もちろん僕らも監督はじめスタッフを信頼していたし。そういうものの積み重ねが、作品を作っていくと実感できる作品だった。

そんな制作途中でのやりとりについて語り合ううち、話はいつしかタイトルへ。

ユースケ:いまでこそ『バースデーカード』というタイトルに落ち着いたけれど、ほかにも案があったんだよね。愛ちゃんはどれがよかったの?

橋本:ほかにありました?

ユースケ:あったよ。『バースデーカード 紀子の〇〇』とか、『バースデーカード 君のまわりには何がある?』とかさ。副題を入れるのは、日本映画界の悪しき習慣で。

橋本:そう、君のまわりに…(笑)。現場では『バースデイ・カード(仮)』だったんですよね。

ユースケ:そう、『バースデーカード 君のまわりには何がある?』もいいタイトルだけど、なんだか想像できちゃう。だから、僕は絶対に『バースデーカード』がいいと押していたんです。これでいくんですよねって念押しして。日本の映画もドラマも、タイトルで説明し過ぎ。ヒントだけで、ちょっと謎めいていたほうが絶対潔いし、お客さんの興味をそそるよって、俺はずっと言っていたんです。あんまりしつこく言うものだから、製作サイドが“じゃあ、これでいきます”と(笑)。

橋本:じゃあ、これはユースケさんが推薦したタイトルだったんですね!(笑)

ユースケ:ロビー活動をずっとやっていたの、待ち時間に。

橋本:確かに、日本ではサブタイトルをつける傾向にありますからね。

素晴らしい作品ほど、いろいろな細工をしなくても観客にきちんと伝わるはずだという、ユースケさんの強い思いが感じられるエピソード。感動させるための映画ではなく、感動を呼び起こすことのできる力を持った作品だという自負があるからこそ、余計なものは付け加えたくないという気持ちになったのだろう。
《text:June Makiguchi/photo:Nahoko Suzuki》

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