※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

【MOVIEブログ】2017ベルリン映画祭 Day9

17日、金曜日。出張最終日。映画祭の終わりは寂しいなあとしんみりしつつ外に出ると、ついに雨! 連日の好天続きもついに崩れてしまった。気温も上がっているので雪でないのが残念。雪だったらよかったのになあ。

最新ニュース スクープ
注目記事
"Have a Nice Day"
17日、金曜日。出張最終日。映画祭の終わりは寂しいなあとしんみりしつつ外に出ると、ついに雨! 連日の好天続きもついに崩れてしまった。気温も上がっているので雪でないのが残念。雪だったらよかったのになあ。

本日も9時からのコンペ部門のプレス試写で、中国のアニメーション作品『Have a Nice Day』(写真)へ。リュウ・ジェン監督は知る人ぞ知る中国のアニメ監督で、僕は恥ずかしながら初見だけれども、日本では「中国インディペンデント映画祭」で『ピアシング』(09)が紹介されている。『ピアシング』は実際の事件をもとに現代中国の道徳観をえぐる社会派作品とのことで、これは今後何としても見る手段を見つけよう。

というのも、新作『Have a Nice Day』が極めて面白かったから! 今作も現代中国社会のダークサイドを背景にしたアート作品であるものの、同時に非常に優れたエンターテイメントでもある。青年が盗んだヤクザの金に様々な人物たちが絡んでいく展開を、実に鮮やかに描いていくノワールで、これは中国のタランティーノだ。根柢にあるのは「欲」。経済大国の恩恵とは無縁な人々が悲しい欲に運命を狂わす。普遍性を備えた作品で、今後世界を席巻することになるのではないか?

脚本の面白さ、絵の個性、進行のテンポ、黒いユーモア…。とにかく演出のセンスが素晴らしい。審査員長のポール・ヴァーホーベンも気に入りそうで、ひょっとしたらグランプリも狙えるかもしれない? いやあ、さすがベルリン。こういう作品をコンペに持ってこられるのは実に素晴らしい。

エンドクレジットを最後まで見て(最後の最後にオチがもうひとつあった!)客電が上がると、中年男性が近づいてきて「あなたは中国人でないかもしれませんが、とにかくアジアの人にこの素晴らしい作品をありがとうと言いたくて」だって! なんだか嬉しいなあ。

(以上を昼間の空き時間に書き、以下は午前2時を回ってしまったので箇条書きで失礼します!)

・11時45分から、最後のコンペ作品。『私の、息子』が2013年のベルリンで金熊賞(グランプリ)を受賞したルーマニアのカリン・ピーター・ネッツァー監督新作で『Ana Mon Amour』。さすがの力量で、ルーマニア映画の底力と豊かさを改めて感じさせてくれる。良い。

・空き時間が出来たので、ブログの前半をスタバで書く。

・17時半から「フォーラム部門」で『Railway Sleepers』というタイのドキュメンタリー映画。

・19時半から「パノラマ部門」で『Insyriated』というベルギー人監督の作品。これは書きたいことが多いのだけど、極めてヘヴィーで(本作以上にヘヴィーな作品に今年は出会わないだろう)、そしてとても優れた1本。

・22時から、最後だから許してもらえるかなと(誰に?)甘えて、『ローガン』のワールド・プレミア上映へ! 最高に素敵な生ヒュー・ジャックマンを拝み、有終の美を飾る!

・ホテルに戻って1時。同僚と合流して軽い打ち上げと称してロビーでビールを飲み、部屋に戻って2時。

・2時だけど、やはり受賞予想はしておかないと!
グランプリの金熊賞は、普通に考えたら断然カウリスマキ。対抗で『A Fantastic Woman』。大穴で『Have a Nice Day』。いや、これはずるいな。やはりグランプリはカウリスマキで!
審査員賞は『Have a Nice Day』。
監督賞は『A Fantastic Woman』のセバスチャン・レリオ監督。
大激戦の女優賞は、とても悩むけれど、『Felicite』の女優さん!
男優賞は本命不在で…。んー、ここはずばり、チャン・チェンで!

というわけで、これにて春の出張も終わりです。一瞬の歯痛以外は体調万全で乗り切れてよかったです。これから2時間半寝て、5時15分起床で空港に向かいます。寝過ごしませんように!

お疲れさまでした!
《矢田部吉彦》

特集

【注目の記事】[PR]

関連記事

特集

page top