【イマ旬!ハリレポ】アカデミー史上前代未聞の破茶滅茶フィナーレの真相!

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第89回アカデミー賞授賞式(C)coutesy
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アカデミー賞授賞式の生放送で作品賞が謝って発表されてしまったというハプニングは、世界中を駆け巡り今年のアカデミー賞ニュースは受賞者や作品が残した功績についてではなく、授賞式でのとんでもないミステイクに焦点が当たることになってしまった。なぜこのようなミスが起きてしまったのか?

とにかく、アカデミー賞というのはいまも昔も仰々しいのが売りである。大統領就任式でも行いような綿密さで計画され実行されている。アカデミー関係者は、候補者からアシスタントに至るまでルールを逸脱すれば相手が誰であれ容赦無くアカデミーの輪から外される。例えば今年はアカデミー録音部門候補者の中に、自分がノミネートされたことを同僚に挨拶したことでアカデミーの自己宣伝禁止法に触れるとされノミネーションを取り消された候補者が出るという事態があった。

この厳重体制はアカデミーの投票周りについては尚更である。世界的に有名な会計監査事務所であるPwC(プライスウォーターハウスクーパー社)が、投票管理の一切を任されており受賞者がプレゼンターに読み上げるその瞬間までを管理しているのだが、米国大統領選挙もここまでやってくれればロシアにハッキングされることもないのでは、などと素人考えで思ってしまうほどの厳戒態勢を敷いている。

数年前、投票がオンラインになる前は、特定の日にPwCのアカデミー賞担当責任者2人がビバリーヒルズのアカデミー本部にやって来て、投票用紙がアカデミーの会員数分きちんとあるかどうかスタッフたちに1通ずつ数えさせたあと、担当者2人が自ら郵便配達のトラックまで運び、郵便屋さんに責任を託す「投票用紙を送り出す日」という特別な日が設けられていた。いまでもアカデミー会員が記入した(インプットした)投票は、PcW社の厳重な警備下で集計され、受賞者が記載されたカードと賞の部門名の入った特別デザインの封筒は同じものが2通ずつ用意される。1通ずつ別々のブリーフケースに納められ、PcWアカデミー賞担当責任者2人のみが知っているコンビネーションロックが掛けられる。

このあと2人は別々の車で別々のルートを通って会場ドルビーシアターへと向かう。万が一責任者のひとりに何かが起きても、受賞結果の入ったブリーフケースが必ず現場に到達するようにである。シアターに着くと2人の責任者はそれぞれがプレゼンターに渡す受賞者カードの入った封筒を持って舞台袖二方に分かれる。これはどちらの舞台袖からプレゼンターが出ることになっても、直前にきちんと封筒を渡せるように、という配慮から。

だが今年の授賞式ではこの最新の配慮が裏目に出てしまったようで、予備として責任者の手元に残っていた「主演女優賞」の受賞者カードを、誤ってプレゼンターのウォーレン・ビーティーに渡してしまったようだ。だがウォーレンの手元を写した写真を見ると、彼の持つ封筒にはかなり大きく「主演女優賞」と記されている。実際に受賞者を読み上げるとき、異常に長い間合いを取ったウォーレンは、カードが妙だということに薄々気がついていたに違いない。そのときにひとことステージマネージャーにでも誰にでも合図をしていたらここまで大事になっていなかったのではないか。まあ後悔先に立たずと言ったところである。

以前、ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルで「Seconds from Disaster」という大事故を検証するシリーズ番組があった。タイトルを訳せば「惨事までの数秒間」というわけだが、大きなアクシデントは様々な要因が絡み合って起きる、というのがその番組の焦点だった。今回のアカデミーの一件は、人命に関わるものではないにせよ「Seconds from Disaster」を思い出させるところがある。

アカデミー賞では、長年にわたって受賞者カードの入った封筒をハンドルする会計監査の老舗であるPwC(プライスウォーターハウスクーパー)社の企業信用問題などもあるため、業界内での“封筒取り違え事件”のインパクトはその連鎖反応を考えると、結構大変な出来事と言えるだろう。

この記事の執筆真っ最中に、授賞式で「作品賞」を発表した俳優ウォーレン・ビーティーに、間違った封筒を手渡した“犯人”が判明した。アカデミー賞の投票周りを一切仕切っているPwC社からの代表男女2人の内ひとりであるブライアン・カリナン氏がそのひと。「カリナン氏が謝ってプレゼンターのビーティー氏に間違った封筒を手渡してしまった」とPwC社が発表した。おまけにどうやらカリナン氏は、封筒渡しの直前までツイートをやっていたということで、この緊張感に欠ける態度に対してはPwC共々非難の的になるのではないかと見られる。

いくらコンピューターで制御しようが、何人護衛を立てようがひとりの人間の気の緩みで全ての努力が水の泡になるという、いい教訓といえよう。
《text:明美・トスト/Akemi Tosto》

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