【インタビュー】ニコール・キッドマン「無条件に愛を捧げる」 母として思い込めた役
迷った距離1万キロ、探した時間25年。手がかりは、おぼろげな記憶とGoogle Earth――。
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彼女が演じたスーは、インド東部の大都市コルカタ(かつてのカルカッタ)でようやく保護されたサルーを、夫のジョン(演:デヴィッド・ウェンハム)とともに養子として迎えるタスマニア在住の女性。その人物像は、自身も2人の養子を迎えているニコールとも重なって映るが、「(スーは)とても強い母性を持っていると思う。それが、私たちをつなげるベースの部分になったんじゃないかしら」と共通点をあげる。「私たちは2人とも、よき母親になりたい、心が温かくて思いやりがあって、無条件に愛を捧げたいという強い願望を抱えているの」。
とはいえ、「いままで、養子をとる母親、それも無条件に愛を捧げる強いパワーを持った母親というのは演じたことがなかったわ」と彼女は言う。「養子のサルーがスーに『自分の子どもを持つべきだ』と言ったときに、彼女はすぐに息子の言葉を止めたの。彼女は、欲しかったのは彼なんだって確認する。とてもシンプルなことなのよ。子どもに捧げる母の愛は常に存在する。とても力強くて大切で、重要なメッセージが示されているのよ」。
そんなスーの役作りは、特殊メイクをして英国人作家ヴァージニア・ウルフになりきり、オスカーを獲得した『めぐりあう時間たち』のときとは、まったく逆のアプローチともいえるかもしれない。「自然を受け入れて、楽しむこと、それが大切なの。どの役も“自分が演じるべき役”だと思って取り組むから、自ずと結果もそうなる。私は常にそう思って、この長い俳優人生でいくつもの役を演じてきたわ」とニコールは語る。
さらに本作では、“子どもたち”もすばらしい演技で彼女に応えている。「いままで何度も子役たちと共演してきているけど、サニー・パワールは英語をいっさい話せなかったの。そこが違っていた。でも、心を開いてもらうためのトリックなんて、ないわね。信頼を寄せてもらえるように努力するだけよ。それに、これは楽しいな、と感じてもらえるようにすることね」と話し、すっかり人気者となったサニーくんとの共演をふり返った。
また、成長した青年サルー役のデヴ・パテルには、「この映画ですごく変わったわ。いっぱい食べて体重を増やして、オーストラリア人っぽくなった(笑)」と太鼓判。「この間、ある人が、デヴのアクセントはすごく上手だって言ってたわ。実を言うと私も、彼の発音が上手すぎて、オーストラリア人ではないって気づかなかったのよ。オーストラリア人である私が聞いても、自然なの。デヴは役作りに多大な時間を費やしてた。彼の演技はすごく深みがあるけど、シンプルなのが分かると思うわ」と語り、オスカー初ノミネートを果たしたデヴを温かい目で称えている。
最後に、劇中、サルーがインドでの記憶を呼び起こすきっかけとなった“揚げ菓子”のように、自身のルーツを思い起こさせるものについて聞くと…「ベジマイト(オーストラリアのペースト状の発酵食品)のトーストのせね。オーストラリア人ならみんな分かるわ」と気さくに答えてくれたニコール。
自らのルーツを背景に、母としての思いを体現したスーは、やはり、彼女にしか演じることのできなかった役なのだろう。