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フィリピン映画が注目度上昇中!“第3黄金期”の最先鋭監督とは?

昨年の第69回カンヌ国際映画祭において、フィリピン映画界に世界三大映画祭初の主演女優賞をもたらした『ローサは密告された』が、7月29日(土)より日本公開される。ここ数年、世界各地で勢いをみせるフィリピン映画。実は日本でも、今年はフィリピン映画の公開

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『ローサは密告された』 (C)Sari-Sari Store 2016
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現在のフィリピンの映画制作は、最先端で活躍している現役の監督が若手の面倒をみる、といった流れにより培われ、発達を遂げている。例えば、レストラン経営もしているメンドーサ監督は、映画の勉強をしたい者をその店で住み込みで雇い、現場の撮影スタッフにも起用しながら、実地で映画撮影を学ぶ場を与えている。その結果か、『バードショット』のミカイル・レッド監督は、24歳にして東京国際映画祭の「アジアの未来」部門作品賞に輝くなど、若手監督が世界でも続々と注目を集めている。

●美術監督から45歳で映画監督デビュー!異色の経歴で世界を席巻
本作『ローサは密告された』では、マニラのスラム街で小さな雑貨店を家族で経営しているローサが、家計のために少量の麻薬を扱っていたことから、ある夜、密告を受けて夫婦で逮捕される。麻薬売人の密告要求、高額の保釈金…警察からの要求もまた恐喝まがいの中、ローサたちは、彼らなりのやり方で横暴な警察に立ち向かっていく――。

大学で広告美術を学び、プロダクションデザイナーとしてキャリアをスタートさせたメンドーサ。もともと映画監督になる夢は持っていたが、チャンスはなかった。それが45歳のときに友人に誘われ、初めて手掛けた長編映画『マニラ・デイドリーム』で、一気に映画監督としての才能を開花させた。2008年に製作した『サービス』は、フィリピン映画としては24年ぶりのカンヌ国際映画祭コンペ出品作となった。

続く『キナタイーマニラ・アンダーグラウンドー』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞、さらに『グランドマザー/ばあさん』はヴェネチア国際映画祭コンペ出品、『囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件』はベルリン国際映画祭コンペ出品と、なんとデビューから7年で世界三大映画祭すべてのコンペ部門出品という快挙を果たす。そして、カンヌ3度目のコンペ作品となった本作では、主人公ローサを演じたジャクリン・ホセにカンヌの主演女優賞をもたらし、その歴史を塗り替え続けている。

これだけ海外映画祭で評価される理由の1つは、メンドーサ作品の特徴でもある早撮りにあるという。メンドーサ監督は入念にリハーサルを行い、信頼できる少数のスタッフのみで素早く撮影を行う。そのため、撮影日数は非常に短い。手持ちカメラによる撮影は、スラム街の狭い路地を縦横無尽に駆け巡り、その強度は他に類を見ない。その結果、2005年のデビューから現在に至るまでの12年間に、長編だけで13本の作品を生み出すことができた。

また、“ノイズ主義”と呼ばれる、音の構成も彼の作品特徴のひとつ。登場人物たちの会話が聞き取りづらくなるほどに、街の雑踏や、登場人物を取り巻く環境音を現実そのままに取り入れるのだ。エネルギッシュな“街”の現実を切り取る説得力を持った作風を、すでに確立しているといえる。

●タランティーノもイザベル・ユペールもその才能を絶賛!
『サービス』がコンペに出品されたカンヌ国際映画祭で審査委員長だったショーン・ペンは、本編上映後にメンドーサに駆け寄り、称賛を贈るという感動的な場面があった。『キナタイ-マニラ・アンダーグラウンド-』では、映画を観たクエンティン・タランティーノが「非凡な映画だ!」とベタ褒め。『囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件』に出演したイザベル・ユペールも、「彼はとても力強い世界観を持っていて、それは彼の映画を観れば明らかよ。私は、そんな彼の宇宙を探検してみたいと思ったの」と自らメンドーサ監督作品への参加を熱望したことを激白。

そして『ローサは密告された』ではた批評家たちが「この作品の演技は助演レベルではないか?」と批判したことに対し、審査員であったドナルド・サザーランドは「彼女の演技は超一流なものだ!」と擁護、アルノー・デプレシャン監督も「彼女に心動かされた」と賛同し、マッツ・ミケルセンも「絶対的に美しい主演女優によるパフォーマンス!」と褒め称えた。同じく審査員だったキルステン・ダンストは、授賞式でのホセのスピーチ中にも感涙していたが、その後ホセと会話を交わし、本作のラストシーンに感動して涙したことを語ったという。

さらに、昨年の東京国際映画祭で共に映画づくりを行った行定勲監督は「いま撮りたいことを、全スタッフで作り上げていることが画から伝わる」と本作を絶賛。世界中の映画人が称賛し、その才能に嫉妬する、メンドーサ監督の最新作は見逃すわけにはいかない。

『ローサは密告された』は7月29日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。
《シネマカフェ編集部》

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