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自分らしく“生きる”とは? 性を切り口に人間の本質に迫る注目作

この夏、セクシュアルなエモーショナル・ムービーが2本公開される。ジャンルは異なれど、それぞれのアプローチで性を切り口に人間の本質を描く。どちらも「生きる」について考えさせられる作品だ。

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『火口のふたり』8/23(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開 配給:ファントム・フィルム (C)2019「火口のふたり」製作委員会
『火口のふたり』8/23(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開 配給:ファントム・フィルム (C)2019「火口のふたり」製作委員会
  • 『火口のふたり』8/23(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開 配給:ファントム・フィルム (C)2019「火口のふたり」製作委員会
  • 『火口のふたり』8/23(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開 配給:ファントム・フィルム (C)2019「火口のふたり」製作委員会
  • 『火口のふたり』8/23(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開 配給:ファントム・フィルム (C)2019「火口のふたり」製作委員会
  • 『火口のふたり』8/23(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開 配給:ファントム・フィルム (C)2019「火口のふたり」製作委員会
  • 『火口のふたり』8/23(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開 配給:ファントム・フィルム (C)2019「火口のふたり」製作委員会
  • 『火口のふたり』8/23(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開 配給:ファントム・フィルム (C)2019「火口のふたり」製作委員会
  • 『おしえて!ドクター・ルース』8/30(金)より新宿ピカデリーほか全国公開 配給:ロングライド
  • 『おしえて!ドクター・ルース』8/30(金)より新宿ピカデリーほか全国公開 配給:ロングライド
暑さもフルスロットルとなったこの8月、セクシュアルなエモーショナル・ムービーが2本公開される。

直木賞作家による小説を原作とする<R18>ドラマと、米国で最も有名なセックス・セラピストの半生をひも解くドキュメンタリー。

ジャンルは異なれど、それぞれのアプローチで”性”を切り口に人間の本質が描かれる。どちらも「生きる」について考えさせられる作品だ。

“身体の言い分”に身を委ねる男女のエロティシズム
『火口のふたり』


『火口のふたり』8/23(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開 配給:ファントム・フィルム (C)2019「火口のふたり」製作委員会
2010年「ほかならぬ人へ」で直木賞を受賞した作家・白石一文による小説を、脚本家・荒井晴彦が3作目となる監督作として映画化した『火口のふたり』(8月23日公開)。数年ぶりに再会した男女が、世界の終焉を前に、性愛に溺れる姿を追った衝撃作だ。

『火口のふたり』8/23(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開 配給:ファントム・フィルム (C)2019「火口のふたり」製作委員会
東日本大震災から7年後の秋田。十日後に結婚を控えた直子は、昔の恋人・賢治と久しぶりに再会する。直子の婚約者が出張から戻るまでの5日間だけという約束で、ただひたすらに互いを求め合うのだが…。

身体の言い分に、身を委ねる



『火口のふたり』8/23(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開 配給:ファントム・フィルム (C)2019「火口のふたり」製作委員会
昔撮った睦まじくも淫らな2人の姿を写したモノクロームのスナップ写真を見たことで、欲望のままに体を重ねていた青春の日々の記憶を鮮やかに甦らせる賢治と直子。抗いがたい欲望に突き動かされた2人は、それぞれに葛藤を抱えながらも、“身体の言い分”と称してその衝動に身を委ねていく。

壊れゆく世界の中で、閉鎖された濃密な空間に留まり続ける2人。大きな世界の事情が小さな個人の事情とぶつかりせめぎ合うという滑稽でアナーキーな状況が、強烈な余韻となって本作をより輝かせていることは間違いないだろう。

「どう生きるべきか」という根源的な問い


その一方で黒々と口を開けた神々しくも禍々しい火口のビジュアルや、幻想的な西馬音内盆踊りの風景など、本作にはそこはかとなく「死」の薫りが漂う。

『火口のふたり』8/23(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開 配給:ファントム・フィルム (C)2019「火口のふたり」製作委員会
そして否が応でも浮かび上がってくる「世界が終わる時、誰と何をして過ごしますか?」という主題。本作はただひたすらに体を重ねる2人の姿を通じて、「どう生きるべきか」という根源的な問いを観る者に投げかけてくるのだ。

男の女のエロティシズムをリアルに描く監督・荒井晴彦


メガホンをとったのは、暴力的な性愛の継承をテーマとする菅田将暉主演作『共喰い』(2013年)や、女へと目覚めていく少女を追った池松壮亮出演作『海を感じる時』(2014年)など、男と女のエロティシズムをテーマとする脚本を多数手掛け、キネマ旬報脚本賞に5度輝いた荒井監督。本作では性をむさぼる2人を、煽情的でも芸術的でもなく、あるがままリアルにそして生々しくスクリーンに活写している。

『火口のふたり』8/23(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開 配給:ファントム・フィルム (C)2019「火口のふたり」製作委員会
また賢治役を演じた柄本佑と、直子役の瀧内公美の愚直なほどまっすぐな“体当たり”の演技も印象的だ。

原作よりもいくぶんか若くなった主人公2人によってもたらされた、青春ムービーの軽やかさもまとう“セクシュアル終末ファンタジー”をどうぞご賞味あれ。

90歳、現役セックス・セラピストの人生レッスン!
『おしえて!ドクター・ルース』


『おしえて!ドクター・ルース』8/30(金)より新宿ピカデリーほか全国公開 配給:ロングライド
そして多様性のこの時代に、自分らしく「生きる」とはどういうことなのか教えてくれるのが『おしえて!ドクター・ルース』(8月30日公開)。抜群の人気と博識を武器に、社会にまん延する偏見や差別と戦い続ける、米国で最も有名な90歳の現役セックス・セラピスト、ドクター・ルース・K・ウエストハイマーの半生をひも解くドキュメンタリーだ。

驚くほどエネルギッシュで波乱万丈な人生


ユダヤ系ドイツ人のルースは、10代半ばにホロコーストで家族を失い、終戦後はパレスチナでスナイパーとして活動。1度目の結婚の際パリへと渡り、心理学を学ぶため、帰国希望の夫と離婚してソルボンヌ大学へ。

2度目の結婚ではアメリカへと居を移すが、娘が産まれほどなくしてシングルマザーに。その後、最愛の夫となったフレッドと3度目の結婚後、ニューヨークの医療系非営利団体で様々な性の悩みに触れたことで一念発起。コロンビア大学、コーネル大学に通って博士号を取得した後、性心理と恋愛関係を専門に扱うセラピストとして開業する。

『おしえて!ドクター・ルース』8/30(金)より新宿ピカデリーほか全国公開 配給:ロングライド
そんな折、縁あって参加したのが、1981年に放送開始された日曜深夜のラジオ番組「セクシュアリー・スピーキング」。番組に寄せられた誰にも言えない性の悩みに、学術的視点から的確かつ具体的にアドバイスするドクター・ルースはすぐに評判となり、彼女はテレビや雑誌、講演会とひっぱりだこに。

身長140cmの小柄な体にパワーを漲らせ、ドイツ訛りの英語で朗らか&赤裸々にセックスを語るルース。「“サイズ”と女性のエクスタシーとの相関関係」についてもオブラートにくるむことなくズバッと言い切る彼女は国民的人気を得るが、その一方で検閲と戦い、時にはその発言に反発する一般人から市民逮捕をされそうになることも…。

『おしえて!ドクター・ルース』8/30(金)より新宿ピカデリーほか全国公開 配給:ロングライド

なぜ彼女は“性”の問題に切り込むのか…?


家族や恋愛、性の問題に関心を持つことになったきっかけの1つは、10歳で両親と離ればなれになったことで、「誰かに触れられ、愛されることの大切さ」を痛感したことだとルースは語る。

『おしえて!ドクター・ルース』8/30(金)より新宿ピカデリーほか全国公開 配給:ロングライド
そして女性が正しい性の知識や家族計画を知らずに予定外の妊娠をして、人生を犠牲にする姿に心を痛めた彼女は、住民から寄せられた早漏やオーガズムの問題に答えられなかったことを悔やみ、その道のスペシャリストになることを志したのだ。

自分らしく生きるために、恋して学んで、何事にも前向きな彼女の人生哲学には「生きる」ヒントが満載だ。現在もセックスや人生の悩み相談を受けながら、その一方でHIV感染の正しい知識を広め、LGBTQに寄り添い、様々な偏見や中絶問題と戦い続けるスーパー・ポジティブなドクター・ルース。大いに笑って、考えさせられる彼女の人生サバイバル講座は間もなく開校!

『おしえて!ドクター・ルース』8/30(金)より新宿ピカデリーほか全国公開 配給:ロングライド
ギラギラと照り付ける太陽にも負けない、エネルギッシュで示唆に富んだ“生きる”を描いた夏映画2本。バイタリティあふれる主人公たちから、あなたなら何を学ぶ!?(text:足立美由紀)
《text:Miyuki Adachi》

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