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日本のマラーノ文学
日本のマラーノ文学

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人文書院 発売日: 収録時間:分

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Customer Review ⁄⁄

骨太の文学論ではないが、うなずかされるところの多い本

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「マラーノ」とは「隠れユダヤ人」をあらわす。「豚」の侮蔑語だ。
著者は転じて、たとえば日本における被差別部落出身者、在日朝鮮人をマラーノと定義づけ、
そこから生まれた文学に何らかの統一観念のようなものがあるか…と探っていく。

…とはいえ、骨太の文芸評論というわけではなく、
中上健次(部落出身)、立原正秋(在日)、松田優作(在日)…といった人々について
それぞれ20ページほど論評を加えている、という感じ。
これまで雑誌などに発表されたものを集めているので、やや散漫な感じはする。

しかし論旨に「ぶれ」はなく、納得させられるところも多かった。
個人的には60年代末から70年代初めにかけて、風のように駆け抜けていった天才詩人
帷子耀(かたびら あき)についての覚書が最も面白かった。
当時、詩を書くか、詩に興味のあった人は何らかの形で彼の洗礼を受けている。
それほど衝撃的だった。
今は甲府で手広くパチンコ店を経営しているという。
ただ帷子耀の詩は、父が在日だったがゆえの特殊性はないと思う。

また「松田優作」のところも迫力があった。やはり自分が実体験として触れあった作家などのほうが
読んでいて引き込まれる。

無理に「マラーノ文学」というくくり方をしなくても、
内容は充分に読み応えはあるし、もう少し素直な打ち出し方でもよかったかも、
と少し感じはしたものの、「出自を隠す」ということがその人の文学に大なり小なり
影響を与え、それが魅力ともなることだけは感じられた。読みやすい好著である。

世界中が異郷である

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高井有一の『立原正秋』について著者はかねてから賛辞を送り、在日朝鮮人であった立原が過剰なまでに日本の伝統美を体現する作家になろうとしたという事実が提起する問題を引き受けようとしてきた。
それが今回立原正秋のみならず、松田優作、中上健次といった自身のマラーノ的状況が生涯の創作活動の桎梏であった人物について、党派的な分類を超えて、本来異国である国で出自を隠して(あるいは偽り、またあるいは公表し)生き、創作することを、アクチュアルな問題として受け止めるために、本書のような形でまとまったのは喜ばしいと思う。
松田優作が執筆した最後の劇作品『真夜中に挽歌』のグロテスクさを、ブラウン管のスターである彼の存在とどのように結びつけてよいのか、誰もが戸惑う。著者は中上健次がある時点で放棄した詩作と重ね合わせることで、彼が向き合い格闘してきた自らの出自を巡る葛藤を、マラーノという概念を使って理解しようとする。
一章を割いて川村湊の在日朝鮮人文学論について厳しい批判をしている。川村の反論を読んでも、四方田に軍配が上がる。

近年の四方田らしく、既読感のある薄味本

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近年の四方田も年とったのか、分析力の鋭い本が以前より格段に少なくなった。既読感のある薄味本ばかりで、読んでいて張り合いがない。物足りない。四方田はたんなるエッセイストに堕落してしまっている。残念な話だが本当だ。

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