富士登山ツアーに集まったそれぞれの過去に闇を抱えた参加者たちが、登山を通じて己に向き合っていく姿を描く本作。角田光代と言えば日本アカデミー賞10部門に輝いた「八日目の蟬」、小泉今日子主演の「空中庭園」など映像化作品も高い評価を集めており、直木賞受賞の「対岸の彼女」がWOWOWのドラマWで実写化された。

短編小説集が原作とあって1話ごと、一人ずつをフィーチャーしていくが、2時間の映画では描ききれない物語を全4話で濃厚に表現し、地上波ドラマではできない鋭い描写で心の“闇”に切り込んでいく。

『まほろ駅前多田便利軒』、『さよなら渓谷』とタイプは違えど人間の内面を鋭く表現する大森立嗣監督の下に実力派キャストが集結! 主演の坂井真紀は近年、『ノン子36歳(家事手伝い)』などで同世代の女性の共感を集めてきたが、本作では“娘を愛することができなかった母”という難役で女の業を体現する。

第2話では宮﨑将、満島ひかりが「道理」や「運命」に縛られたまま、出会いと別れ、再会の果てに沈み込んでいく男女の愛憎を演じる。特にヨリを戻そうと“道理”を説きつつ執拗に迫ってくる元恋人を演じた満島さんの鬼気迫る演技は注目!

井浦新の登山ガイド、永瀬正敏の山小屋の主人は、少年時代のある“秘密”を共有する幼なじみ。過去と対峙し、闇の底から光を求めて浮かび上がろうとするさまを紡いでいく。

そして忘れてはならないのが富士山という霊山の存在。キャストは実際に富士登山に臨み、10日ほどの撮影を敢行! 頂上付近の山小屋に寝泊まりし、早朝に登頂し撮影後にまた山小屋へという繰り返しだったが、台風の直撃を受けたことも…。公式サイトなどのメインビジュアルに使用されている4人の写真はまさに富士山での嵐の中の1枚である。

罪を背負い、救いを求めて頂へと辿り着いた彼らは最後に果たして何を見るのか――?

シネマカフェではヒロイン・日都子(ひとこ)を演じた坂井真紀と、メガホンを握った大森立嗣監督の特別インタビューを敢行。「日常の中で埋もれてしまっている声を届けたい。女優として常々そう思ってます」と語る坂井さん。そんな彼女に「現場で反応することを大事にしてほしい」と伝えた大森監督。舞台は標高3,776mの日本最高峰の山・富士山。登場人物たちが抱えるは、“過去の罪”。物語も決して甘いものではない…心も体も極限の状況を経験した2人が語る「かなたの子」をお届け。

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