牧口じゅん 『アラバマ物語』

素晴らしいオスカー受賞作の中に、大好きな作品は数あれど、
どうしても1本だけと言われれば、迷わず選ぶのが『アラバマ物語』。
ダンディーなグレゴリー・ペックが大好きという理由もありますが、彼が演じた正義感溢れる弁護士、アティカス・フィンチという役柄にもしびれます。人種差別が色濃い1930年代のアメリカ南部を舞台に、とある事件の容疑者とされる黒人青年の弁護士として、不正や偏見と闘う一人の男の姿を、彼の子供たちの視点で描いていきます。正義のためには、決して脅迫にも屈しないアティカス。何度観ても、いえ、思い出すだけでも、その凛とした姿勢に心が震える名作中の名作。やはり映画と言うものは、エンターテインメントでありながら、人を信じ、この世界に生きていくことの素晴らしさを教えてくれるものであって欲しい。そんな理想に応えてくれる一作。モノクロ作品ですが、登場人物たちの感情描写が豊かなので、観終わった後の印象はとても色鮮やかです。

『アラバマ物語』

第35回アカデミー賞　主演男優賞、脚色賞、美術賞（白黒部門）受賞
3/23（土）午前8:00 WOWOWシネマにて放送

新谷里映 『明日に向って撃て！』

アカデミー賞受賞作品で素晴らしい映画だと分かっていても、女性目線で選んでしまうと男くさい映画はなんとなく見逃しがち。昔のアクション映画、しかもウエスタンものとくれば、よほど勧められないかぎり手にする機会はないかもしれません。でも、第42回（1969年）アカデミー賞で脚本賞・撮影賞・作曲賞・歌曲賞に輝いた『明日に向かって撃て！』は、意外と女性目線で観ることのできるウエスタンもの。主人公の荒くれ者、ブッチとサンダンスを演じているのがポール・ニューマンとロバート・レッドフォードという色男コンビで、自分ならブッチとサンダンスのどちらに惹かれるのだろう…と、2人と一緒に旅をするエッタ（キャサリン・ロス）の立場に立つことで、ウエスタンのなかにしっかりラブストーリーを感じることができるんです。そして、ラスト10分の銃撃戦は、2人は一体どうなっちゃうの!?　とハラハラドキドキしながら、追い詰められるブッチとサンダンスがどうしようもなく男くさくて格好よくて、気づくと応援して愛してしまっているんです。

『明日に向って撃て！』

第42回アカデミー賞　撮影賞、脚本賞、作曲賞、主題歌賞受賞

『愛、アムール』
クラシック／尾関智美さん

外国語映画でありながらアカデミー賞5部門ノミネートという快挙を成し遂げた本作。70歳のハネケ監督が描く老いと死、そしてその先にある究極の愛は、自分の最期をどうやって終えるのだろうかと考えずにはいられない。人生を変えてしまうほどの衝撃です。85歳最高齢で主演女優賞にノミネートされたエマニュエル・リヴァの美しさも必見。

『愛、アムール』

3月9日よりBunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、伏見ミリオン座ほかにて公開
(c) 2012 Les Films du Losange - X Filme Creative Pool - Wega Film - France 3 Cinema - Ard Degeto - Bayerisher Rundfunk - Westdeutscher Rundfunk

『アルゴ』
ワーナー・ホーム・ビデオ／日野慧さん

本作の魅力は何と言っても“ニセ映画”作戦が実話だということ。ハラハラドキドキで最後まで目が離せない、手に汗握るストーリー展開！ベン・アフレック監督の才能が感じられます!!　前哨戦のゴールデン・グローブ賞で作品＆監督賞受賞、さらに日本を含め世界各国の映画賞を席巻しており、アカデミー賞も受賞すると信じています。

『ジャンゴ　繋がれざる者』
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント／
庄司満貴さん

奴隷からガンマンになった男ジャンゴとドイツ人の元歯科医シュルツ。この賞金稼ぎコンビがアメリカ南部で、悪党どもを撃って撃って撃ちまくる。アメリカの黒歴史にタランティーノが挑んだ本作は、アカデミー会員の心も、撃って撃って撃ちまくり、受賞を果たすはず！
そして、日本の観客の心もきっと撃って撃って撃ちまくるはずです！

『ジャンゴ　繋がれざる者』

3月1日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開

『世界にひとつのプレイブック』
ギャガ／根本千恵子さん

アカデミー賞作品賞ほか8部門ノミネートし、全演技部門制覇は31年ぶりの快挙となった本作。作品賞もまさかのダークホース!?　と期待が高まります。傷ついた男女の出会いと再生を描く本作はシリアスなテーマながら、観客は爆笑＆号泣してしまう感動作。もはや「病んでる」のが当たり前の現代社会、主人公を人事とは思えず、共感すること間違いなし！　そして、あなたの人生にもまた少し＜希望の光＞が見えてくるかもしれません。

『世界にひとつのプレイブック』

2月22日よりTOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほか全国にて公開
(c) 2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.

『ゼロ・ダーク・サーティ』
ギャガ／依田苗子さん

本作は実はCIA女性分析官による女子のお仕事映画！　『ハート・ロッカー』監督のビグロー姐さんの新作ですが、あまりに大胆な切り口にハリウッドや政界の関係各所からのイジメに合ってます…。 しかし、そんなことで負けるわけがありません！　大金星、間違いなし！

『ゼロ・ダーク・サーティ』

2月15日より全国にて公開
（C）2012 CTMG. All rights reserved.

『ハッシュパピー　～バスタブ島の少女～』
ファントム・フィルム／長壁なつみさん

スクリーンを超えてビシビシと伝わってくるハッシュパピーの無限大のパワーには何度見ても鳥肌が立ちます。自分を信じ、感じるままに生きる6歳の少女、小さな体で大切なものを守ろうとする彼女は逞しく、美しい。ひとりでも多くの人にバスタブ島の住人になって、このジブリ作品実写版のような世界観を味わってほしいです♪　本年度アカデミー賞史上最年少主演女優賞ほか主要4部門ノミネート！ がんばれ、ハッシュパピー！

『ハッシュパピー　～バスタブ島の少女～』

4月20日よりシネマライズ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか
全国にて公開
(c) 2012 Cinereach Productions, LLC. All rights reserved.

『ライフ・オブ・パイ／トラと漂流した227日』
20世紀フォックス映画／鷲谷一さん

『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー賞受賞のアン・リー監督の最新作は、16歳の少年とトラが227日間漂流する、心揺さぶるドラマ。『アバター』のジェームズ・キャメロンが大絶賛した映像美と、衝撃と感動が待つストーリーの質の高さは、本年度ゴールデングローブ賞でも11部門にノミネートされました。オスカー獲得は間違いなしの作品です！

『ライフ・オブ・パイ／トラと漂流した227日』

TOHO シネマズ日劇ほか全国にて公開中
(c) 2012 Twentieth Century Fox

『リンカーン』
20世紀フォックス映画／栗花落寛さん

最多12部門にノミネートされた作品賞の大本命。自分と家族までもの犠牲を恐れ ず＜数千万の未来を救う決断＞をした伝説的リーダーの知られざ るドラマが、 今の時代の多くの人の心を動かしているのだと思います。主演のD.D.ルイスは受賞すれば、史上初の主演男優賞3度受賞！　アカデミー賞でも、最も愛された大統領の“夢”が叶うことを期待しています。

『リンカーン』

4月19日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開
(c) 2012 TWENTIETH CENTURY FOX

『レ・ミゼラブル』
東宝東和／石田聡子さん

通常ミュージカル映画は先にレコーディングして、その歌に合わせて口パク演技をしていますが、本作は全編実際に歌いながらの撮影。その「生歌」のパワーが圧倒的な臨場感で、心を揺さぶります。思いきり涙を流していただくために、ご観賞の際はハンカチではなくタオル持参をお勧めしていますが、授賞式を観る時にはバスタオルが必要かな…。

『レ・ミゼラブル』

TOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開中
(c) 2012 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.