
─初主演作となる映画『君が踊る、夏』では華麗なよさこい踊りを披露していますが、よさこい祭りを再現したシーンでは、ほんとにいい表情を見せていましたね。
「祭り魂は誰にも負けない自信があるんです(笑)。でも、纏(まとい)自体が2メートルもあるので、大きな踊りをしないと旗を振っているというよりも振られているように見えてしまう。五十嵐(隼士)くんとのタイミングとか、旗の角度とか、力加減とか、見せ方が難しかったですね。正直あそこまで難しいとは思っていなくて…。さらに、僕が(高知入りして)参加したときは、“いちむじん”のチームのみんなはすでに出来上がっていたので、撮影が終わってから深夜に練習してという、ハードな練習の日々でした」。
─しかもクライマックスのよさこい祭りのシーンに用意されたのはたった2日間だったとか?
「そうなんです。この映画での僕の一番の敵はプレッシャー。こんなに大きな作品で主役をやらせてもらうのも初めてだし、よさこいという伝統のある祭りであることも初めて。おまけに高知に行ったときの期待度も大きくて。主役なので当然シーンの数も、寄りのシーンも多い。時間のないなかでどれだけ力を発揮できるかという…」。
─だからこそ、踊り終えたあとの感動も大きかった?
「ほんとに。祭りのことだけ考えて、芝居のことだけ考えて、作品に没頭していたので、達成感はもちろんありました。ただ、僕よりも2~3か月前から練習を重ねて踊ってくれたみなさんがいて──。撮影上、僕は特別な角度から撮ってもらったりしているわけですけど、祭りのシーンの撮影の2日目は必要なシーンだけ撮影をしたので、通しで踊ることができなかったんです。予定の時間は過ぎていたけれど、このままじゃ終われない! と思って、プロデューサーの方に撮影とは関係なくみんなで通しで踊れませんか? と提案して。踊りきった後はもうみんな号泣でしたね」。
─たしかに、あのシーンの一体感、ジーンと心打たれました。
「そう感じてもらえたらよかったです。彼らと一緒に練習する時間があまりにも少なかったので、2日目のそのときに、ようやくひとつになれた気がしたんですよね」
─夢と理想と現実のはざまで揺れ動く新平の心情にも感動しました。新平をどんな青年だと捉えて演じたのでしょう?
「実は台本を読んだとき、特徴のない役だなって思ったんです。よく言えば透明感があるけれど、なんだか“無”な感じがしたんですよね」。
─突出したものがないキャラだと?
「そう。おまけに新平のセリフには『…』が多くて、なかなかキャラがつかめなかった。けれど、高知に行ったときに、高知の土地から力をもらったというか──。新平はこの土地で成長したんだなと想像することで、どんどん核ができていったんです。また、監督(香月秀之)はカメラの前でアクションを起こそうとしなくていい、役の気持ちになってカメラの前に立つだけでいい、それがアクターだとアドバイスしてくれて。
その言葉のおかけで新平ならどう感じるのか、どう考えるのか、役としての気持ちを最優先に考えることができた。だから今ふり返っても、当時どういう芝居をしたのか自分では覚えていないんです。でも、NGテイクはなく、すべて1発OKだでした」。
─NGテイクが一度もないってすごい! 今までそういう経験は?
「ないない、ないです。それまではNGを十何回も出したりしていましたから。十何回NG出すってめっちゃヘコみますよ(苦笑)。共演者やスタッフの方に迷惑もかけるし。1年前くらいは本当に自信をなくしていたんです。だから今回、監督が(すべてのシーンで)『オッケイ、オッケーイ!』って言ってくれるのが逆に不安で。本当に大丈夫なんですか? 大事なシーンだけど今ので本当にいいんですか? って。でも完成した映画を観て、監督はちゃんと見ていてくれたんだなと、僕を信じてくれていたんだなと…感動しましたね」。






