交通事故に巻き込まれ、シンミンは結婚間近の婚約者を、ユーウェイは妊娠中のピアノ教師の妻を失った。その事実を受け止められないふたりを置き去りに、周囲の時間は流れていく。癒えぬ悲しみをを背負いながら初七日、四十九日、百力日と不慣れな法事をこなしてゆくふたり。しっとりとした台湾の街や自然、沖縄の豊かな海、家族、教え子、教師、さまざまな出会いの中、先立った者たちが残したものの存在の大きさに気づいてゆく。愛する人との忘れられない記憶を辿りながら、ふたりが最後に見つけたものとは――。
トム・リン