昭和40年代、全国に邪馬台国ブームを起こした盲人の文学者、宮崎康平(竹中直人)。学者というよりも独断的な行動や、突飛な言動から破天荒な男として知られる彼には、妻がいた。彼女の名は和子(吉永小百合)。2人は福岡の放送局で出会い、彼の憎めない人柄に誘われるままに、和子は島原へ向かい、彼の手伝いをするようになる。やがて昭和32年、災害の際に土器の破片を見つけたことを機に、康平が「邪馬台国」への探究心に駆られると、和子は目の見えない彼に古代の史書・魏志倭人伝、日本書紀、古事記などを読み聞かせ、康平の目となり、杖となり、二人三脚で後にベストセラーとなる「まぼろしの邪馬台国」を完成させた――。悲運や貧苦を乗り越え、「邪馬台国」に情熱を捧げた夫婦を描いた感動作。
堤幸彦