江戸の時代、赤穂浪士討ち入りのニュースが伝わってきた近江の国。しかし一人だけ、彼らを馬鹿にする人物がいた。元・町人、研屋あがりの守山辰次である。そんな辰次を、家老は叱りつけるが、現実的で抜け目のない彼は、すぐに態度を変え、市郎右衛門の下に剣術の指導を願い出る始末。主君の奥方、萩の上の前で市郎右衛門に散々に打ち据えられて、辰次は仕返しを企てるが…。木村綿花原作の歌舞伎狂言「研辰の討たれ」を、劇作家・野田秀樹が新しい視点で描き、新境地を切り開いた「野田版歌舞伎」がシネマ歌舞伎として蘇える。
野田秀樹